懐かしき「知床旅情」 知床の思い出 #今日の短歌
昭和の名曲〜「知床旅情」
懐かしい思い出の曲…。
「知床旅情」と言っても、令和、平成世代は、ほぼ知らないかもしれない。
幼い頃に親や祖父母世代が聴いていた曲として、ご存知の方もおられるかもしれないが…
でも初めて聴いても、懐かしい気持ちになれる名曲✨
どんな世代の方が聴いても懐かしい気持ちがする「永遠の名曲」
「知床旅情」は今どきの言葉で言えば「エモい」歌と言えばいいのでしょうか?
知床に行ったことがなくても情景が浮かぶような、懐かしい気持ちになるかもしれません…
聴いてみてください♪
この曲を歌う、作詞作曲者でもある
「森繁久彌の歌う知床旅情」と
「加藤登紀子の歌う知床旅情」
の両方を載せます。
聴きながら、お読みください♪
知床旅情 森繁久彌
https://youtube.com/@niro1211?si=uAaJetUp-S-SyEIc
今日の短歌 知床に寄せて
夏の知床
あの夏に
父母(ちちはは)ともない遊覧船
ウミネコの声 知床旅情
冬の知床
流氷の砕氷船には乗らずとも
心に浮かぶ「しばれる冬の知床の海」
[懐かしの知床旅情]
知床旅情 加藤登紀子
https://youtube.com/@yukion.?si=v1MW-uflf29Mw7Hy
エッセイ 懐かしの知床旅情
あれは何年も前のことになる。
夏のボーナスのほぼ全額を払って、北海道旅行をした。
両親は、「旅行にそんな大金を…」と言っていた。私は何とか説得して旅行社でツアーの予約をした。
バスでの北海道周遊7日間。
もうツアーの順番は覚えていない
遠い記憶…
ラベンダー🪻の咲く富良野平野とラベンダー色のカルピス
広大な十勝平野、
バスが止まるたび
道の駅では、つまみ食いの誘惑
バター味のじゃがいも餅
もろこし🌽の甘さ
毛蟹にズワイにタラバと
蟹三昧の鍋料理とカニ尽くし…
網走刑務所寒き監獄の話を聞く
阿寒湖のまん丸マリモ
利尻昆布と海鮮市場…
北海道を詰め込んだ周遊旅
そして知床旅情と遊覧船
遊覧船を追いかけて飛ぶたくさんの鳥たち…手の届きそうなところで「ニャーニャー」と鳴くカモメたち
「あれがウミネコ?」
そんな事を話しながら船で遊覧した。
甲板に乗る私たちの頬には潮風。
夏のオホーツクの風が心地よい。
最果ての北の海には「冬には流氷が押し寄せる」というガイドの案内を聞いた。
「また、冬に来て砕氷船にも乗ってみたいね!」
そんな話を母とした。
父は「流氷の頃は寒いで…」と笑っていた…
宿泊ホテルでの夕食後、ホテルの近くを散歩した。
ほんの近くにまでやって来たキタキツネの親子連れ。
「エサでもあげたいけど、餌付けはできないのよね…」
とてもかわいいキタキツネ🦊
北海道周遊のバスは道中で野生動物を見かけるたびに運転手はバスを止めてくれた。
バスガイドは「ほら!あそこにシカ🦌が見えます…見えますか?」
そう案内してくれた。
足の不自由な父にとっては、とても過酷な行程…そんな事には気が付かないくらいに私は若かった。
小樽の水路、オルゴール博物館、
そして絶品のボタンエビ…
北海道では札幌の街路樹にりんごが植えてあった。
秋にタワワと実るりんご🍎を想像した…
「花の季節もりんごの実る季節も、何回も来ようね!」
そう母と話しながら…いよいよ帰りの便の時間。
空港では北海道の締めくくりに味噌ラーメンを食べた。バターをのせて食べる味噌ラーメン…冬に食べれば、いっそう美味かろう。
帰ってから届いた宅配便のお土産。
夕張メロン、とうきびチョコ、利尻昆布…
あの海にまた両親と行くという事は叶わなかった…
でも、この「知床旅情」を聴くと、あの時に両親と行った「北海道」がよみがえる。
あの時、父は遊覧船に乗りながら、こんな話をしてくれた。
「この向こうに島がある。今は戦後何年も経っているけど故郷に帰れない人たちがいる」という話…
北方領土の話をしていたのだとわかったのは、ずっと後になってからだった。
父は遊覧船を降りたところにある売店で「森繁久彌の歌う知床旅情」のCDを買った。遊覧船の中でも、その曲がかかっていたように思う。もう、朧げな記憶だ…
帰ってから何回も何回も聴いていた…
行く事のなかった冬の知床。
しかし何故か、あの砕氷船に父母を連れて再び行ったような錯覚さえある。
両親はそれからも北海道の風景が映る番組があると懐かしそうに観ていた。
「あそこに行ったね」
「美味しかったね」
「綺麗だった…」そんな事を何回も何回も言っていた。
冬の知床の流氷も一緒にテレビで観た。
そして、また夏の知床を思い出して「あの時は楽しかった」と繰り返し繰り返し、北海道の話をしていたからだ。
テレビの映像で流れる冬の知床と夏の知床の記憶が重なって、冬の知床にすら行ったような気持ちになってしまっている…
あの海の向こうにある島々。
北方の果てに広がるオホーツクの流氷。
冷たい海と漁師の笑顔、
しばれる冬の宿で食べる温かい鍋…
きっと、そんな旅があったかもしれない…そんな想像をしたものだ。
贅沢な北海道旅行では、ご馳走を食べ温泉に毎日入った。
あの時、同じツアーで他所から来たツアー客の年配の女性にちょっとだけ意地悪な口調で変な事を言われた。その時の私は、ただキョトンと聞いていただけだったけど…
「まあ、せっかくの旅行を…ご両親だけで行かせてあげずに付いて来られたの?」と…
あの時に堂々と胸を張って言えば良かった。
「付いてきたというより、私が全額払って両親を連れて来たんですよ」と。
若かった私が払ったなんて、その方は思わなかったのだろう…「私にとっての大金」を払っての贅沢な旅行だった。
その旅は帰った後、今も心の中の「特別なアルバム」におさめられている。
時が経てば経つほどキラキラと光を放っているようだ✨