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2023年に、43年間勤めた証券会社を定年退職しました。 その中で、様々な投資家を見て…

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2023年に、43年間勤めた証券会社を定年退職しました。 その中で、様々な投資家を見て来ました。 それまでは、業者側目線で事象を眺めてきました。 会社を離れ、その目線は、中立的なものに変わりつつあります。 業者と顧客どちらにも偏らないメッセージを心がけていきます。

最近の記事

【大人の金融リテラシー】手の出しにくい相場

本日は3月3日です。 昨年の大納会で、3万3464円だった日経ダウが、今や4万円時代を迎えようとしています。 大きな利益を手にされた方もおられると思いますが、反面未だに買えていないという方も多く、それがさらに上昇を続ける見込みの根拠ともなっています。 実は私も買えていない一人です。 日本証券業協会の規則により、金融機関に従事している場合は、投機的利益の追求を目的として有価証券の売買その他の取引等をすることが禁止されています。 私がいた証券会社では、株を買っても、3ケ

    • 【大人の金融リテラシー】「なんであなたにそんなことまで‥」

      NISAの口座開設は「ネット証券」が好調のようですね。 投資をしようと思ったら「ネット証券」だろうと「対面証券」だろうと証券会社に口座を開設することになります。 そのときに必ず聞かれることがあります。 「ネット証券」では決められたフォームに沿って答えていくことになりますが、「対面証券」では店頭や電話で人が確認をします。 そして何故そのような確認するのかを知ることで、その後の証券会社との付き合いも円滑に運ぶことができます。 まずは「氏名」、「住所」、「生年月日」、「職

      • 「認定アドバイザー制度」が創設されます。

        政府は、お金にまつわるアドバイザーを認定する「認定アドバイザー制度」を創設するとのことです。 認定アドバイザーは講師となって職場や学校で教育を実施したり、無料でお金に関する個別相談に応じたりするそうです。 その「認定アドバイザー」については、中立性を担保する観点から金融機関の従業員、また、金融商品の販売などから報酬を得ているIFAなどは対象外とされたことについて「民間金融機関との連携なくして金融教育のすそ野拡大は難しいのではないか」という意見が出たそうです。 商品をご案

        • 【大人の金融リテラシー】「人のお金を預からない」

          テスタさんというカリスマ投資家がいらっしゃいます。 ある番組で投資詐欺を回避する心構えについて話しをされていてその中で「人にお金を預けない」ことを強調されていました。 それを聞いて頭に浮かんだのが「仮名取引」でした。 ただ「仮名取引」は「人にお金を預けない」ではなく「人のお金を預からない」です。 「仮名取引」とは… 「口座名義人とその口座で行われる取引の効果帰属者が一致しない取引のこと。例えば、顧客が架空名義あるいは他人の名義を使用してその取引の法的効果を得ようとする

        【大人の金融リテラシー】手の出しにくい相場

          【大人の金融リテラシー】「自己責任の原則」を認識していますか?

          前回は、「勧誘」を前提に「適合性の原則」についてお話ししました。 では「非勧誘」の場合はどうなるのでしょうか? 顧客自らが決めたことまで営業担当者に「適合性の原則」が求められるのでしょうか? 原則的にはNOです。 「勧誘」のときに求められた適合性のチェック項目の多くは「非勧誘」であることにより解除されます。 「有価証券の取引等の投資は投資者自身の判断と責任において行うべきである」との考え方を「自己責任の原則」といいます。 顧客にはそれが求められます。 「勧誘」で

          【大人の金融リテラシー】「自己責任の原則」を認識していますか?

          【大人の金融リテラシー】「適合性の原則」とは?

          顧客に商品を勧めて買ってもらうことが営業担当者の仕事です。 営業担当者が顧客に対して商品を勧めることを「勧誘」と呼び、逆に顧客自らが商品を決めたら「非勧誘」と呼んでいました。 追々話すつもりですが、この「勧誘」、「非勧誘」の区分けは、営業担当者の説明義務と深く関わってきます。 対面営業が主体であれば、「勧誘」が多くなります。 「勧誘」の前に営業担当者は、いくつもの関門をクリアしなければなりません。 最初に立ちはだかるのが以前にも少し触れた「適合性の原則」です。 そ

          【大人の金融リテラシー】「適合性の原則」とは?

          【大人の金融リテラシー】投資経験と投資知識のギャップは何故生じるのか?

          「投資経験の長い投資家が投資知識を必ずしも持ち合わせているという訳ではない」ということについて、話しを続けて来ました。 逆に言えば、長い投資経験の中で確実に投資知識を身に付けてきた顧客もいるということです。 何故そのような違いが生じるのでしょうか? 私は説明する側である営業担当者と説明を受ける側である顧客双方に要因があると考えています。 まず営業担当者側ですが、「定型的な説明文を読み上げるだけ」で終わっているというのが代表例です。 以前にもお話しした通り、理解度に応

          【大人の金融リテラシー】投資経験と投資知識のギャップは何故生じるのか?

          【大人の金融リテラシー】このようなケースでも投資経験と投資知識のギャップが!

          新NISAの開始が決まってから、多数の方々が証券会社に押し寄せています。 口座開設の際には、取引等を行うにあたり必要なことを顧客カードに沿って確認し、登録します。 顧客カードとは、顧客のプロフィール帳のことです。 顧客の氏名、住所、生年月日、職業、投資目的、資産の状況、投資経験の有無などを顧客に確認します。 「手続きが面倒だ」と言われる方もいらっしゃいますが、これは顧客を守るための情報収集でもあります。 この記載内容を踏まえながら、顧客の意向と実情に適合した取引の勧

          【大人の金融リテラシー】このようなケースでも投資経験と投資知識のギャップが!

          【大人の金融リテラシー】理解度に応じた説明とは?

          証券会社は、投資勧誘にあたって「顧客の目的や属性を確認し、それに適合した取引を勧誘・販売しなければならない」という大原則があります。 これを「適合性の原則」といいます。 また、適合するかどうかは、「知識」、「経験」、「財産の 状況」、「契約を締結する目的」という4点で判断をすることになっています。 そして「知識」、「経験」、「財産の 状況」「契約を締結する目的」は、顧客によって違うので、その説明も顧客ごとに違うはずということになります。 例えば、株のリスク説明として「元本欠損

          【大人の金融リテラシー】理解度に応じた説明とは?

          【大人の金融リテラシー】営業担当者は、金融リテラシーの担い手

          証券会社の営業担当者のミッションは、証券という商品を売ることです。 顧客の中には、営業担当者が何か特別な情報をもって勧めているのではないかと考えるひともいます。 ただ売れば良いだけなら、形式的な商品説明をして「良い商品なので買ってください。」でも売れるのかも知れません。 ところが、ここで「顧客の理解」を求められることによって簡単にはいかなくなります。 良い商品がどのような商品なのか、あるいは、良いという根拠はなんなのかなどは、当然のこと、形式的な商品説明も聞いてるだけなら良い

          【大人の金融リテラシー】営業担当者は、金融リテラシーの担い手

          【大人の金融リテラシー】説明をしても説明義務違反と言われることがあります

          証券会社を区分けする際に、営業の主体が対面営業なのか、非対面営業なのかという切り口があります。 私が居た証券会社は、非対面の取引もありましたが、対面営業が主体でした。 対面営業の場合は、担当する営業担当者が顧客の投資知識に深く関わってきます。 商品を勧誘する場合、証券会社は、顧客に対して説明責任を負いますが、その説明を行うのは営業担当者だからです。 その説明は、説明文を読み上げるだけではなく、顧客がその説明を理解することまで求められます。 顧客が理解をして初めて責任を果たした

          【大人の金融リテラシー】説明をしても説明義務違反と言われることがあります

          大人の金融リテラシー

          2022年4月から、高校家庭科で金融教育が始まりました。 これが根付いて行けば、将来的には、金融知識を持った投資家が増えるかも知れません。 でも既に投資をしているひと達や、今すぐにでも投資を始めたいと考えている大人のひと達の金融教育は、どうするのでしょうか? 私は、2023年に、43年間勤めた証券会社を定年退職しました。 その中で、様々な投資家を見て来ました。 そこで分かった事のひとつに、投資経験の長い投資家が投資知識を必ずしも持ち合わせているという訳ではないということがあり

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