【小説】映るすべてのもの #7
──今日なにがあったんだろう。
勉強机にひじをかけ両手にあごをのせたまま瑠衣は一日をふりかえった。
里穂の告白にこたえた言葉は嘘じゃない。里穂にはなぐさめの軽口にきこえたかもしれないが、今朝、瑠衣もじぶんの顔がいつもとちがって見えたことに違和感をもったのはほんとうのことだ。教室全体のしっとりと浮きだつような気配もひょっとしたらそれが原因のひとつだったのか、そんな考えが頭をかすめる。
じぶんの顔がかわいく見える病気?ウイルス?伝染病?けれど感情がウイルスのように伝染すると