鮎を待つ昼下がり
滞る人の流れ
炎天下の昼時
目の前を流れる矢作川
広瀬やなの屋根の下
鮎を求めて並ぶ人の姿
数えきれない程の人だかり
僕もそんな不特定多数の人だかりに
名前を記載した物好き鮎好き
夏の暑さがじりじりと肌に堪える
背中を伝い流れる球体的な感覚
汗の玉のくすぐったさが唯一の涼やかさ
並び始めてから30分が過ぎたが
まだまだ席は開かない
テーブル席はがやがやと盛り上がり
家族連れの賑やかな笑い声が聞こえてくる
まだ配膳すらされてない様子も見受けられ
あぁこれはまだまだ時間がかかりそうだ、、
番号札は106番
63番の人が頼んだ鮎料理が運ばれていく
63..64..66..72…
一つずつ刻まれていく数字
だけどまだまだ時間はかかる
ひたすら待ち続ける暑い中
たまたま空いたテーブル席に
相席させてもらえたので助かった
腰を下ろして待てるだけまだましな方だ
お腹はグゥグゥとなり続けている
後からもどんどん人はやってきて鮎を頼んでいる
12時30分くらいから待ち続けて今は13時50分
まだこない、、まだまだ来ない
96番が呼ばれて運ばれていく
97..98..100..
ようやく100番か、、
あと5人、、
運ばれていく鮎の塩焼き10人分程を横目に
まだまだ我慢を強いられる
辛い心と胃袋をなだめながらまだまだ我慢する
それが日曜日の広瀬やななのだ
鮎を食べるとはそう言う事なのだ
じっと耐えて忍び鮎の到着を待つ
僕が鮎にありつけるのは
果たしてあとどれくらい
我慢していたらいいと言うのか
まだ来ない、、、
まだまだ来ない