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【あがり症】表情に反応する脳みそ

あがり症克服のために
トライアンドエラー
(セルフ人体実験ともいう)を
繰り返した、ロン毛のあがり症です。


最近、あがり症で困っている方の、
相談にのる機会がちょくちょくあります。


今回は、そのうちのお1人の悩みをもとに
「表情に反応する脳みそ」
というテーマでやっていきたいと思います。


早速ですが、その方のお悩みはこんな感じでした。

・会議など、双方向で
 やりとりする状況ではあまり緊張しない。

・大勢を前にした挨拶など、
 一方的に話す状況に心理的負担感を感じる。

・上記の状況で、聞き手の
 「無表情・無反応」に苦手意識あり。
 それが、目に入ったとたん、
 問答無用で強い緊張に襲われる。


なるほど、、、
問答無用ですか、、、


実はワタクシ、少し前に、
聞き手の「無表情・無反応」によって
緊張する理由をnoteに書きました。

(参考リンク)
話を聞く時の心構え
自分の評価を他人にゆだねないこと


リンク先で紹介したのは、
聞き手の「無表情・無反応」を
認知し、思考したことによって
緊張するケースですね。


つまりは、「意識下」での緊張です。


実は、それとは別に「無意識下」で、
無表情・無反応に緊張するケースもあります。


それは、なにか?


私のnoteに度々登場する「扁桃体」の働きです。


念のため、扁桃体の機能について、
おさらいしておきましょう。

扁桃体は、迫ってくる自動車との衝突の可能性や、恐ろしげな通りがかりの人といった脅威を感知すると、視床下部と脳幹へただちにメッセージを送り、ストレスホルモン系と自律神経系を動員して、全身の反応をまとめ上げる。
~中略~
私たちが危険について意識的に自覚しないうちに、入ってくる情報が生命の維持にとって脅威になるかどうかを判断する。何が起こっているかに私たちが気づいたときには、体がすでに動きだしている場合がある。

体はトラウマを記録する P103
ベッセル・ヴァン・デア・コーク


ひらたく言えば、無意識のうちに危険を察知し、
それに備えて瞬時に体を緊張させる働きです。


実は、その扁桃体、自分にとって
危険な「表情」を察知することが
分かっています。

(“表情”と“扁桃体”でググれば、
その辺りの論文が沢山出できます。)


さて、冒頭のあがり症の方の話に戻ると、
その方にとって、
「聞き手の無表情=危険」
になっているように思います。


だから、その表情を見た瞬間に、
扁桃体のスイッチが入り、
考えるまでもなく緊張が高まったと。


実は、このようなことは、
我々の日常に結構あると思います。


例えば、苦手な上司や先輩から
自分に向けられた怖い表情


他にも、突然出会った怪しい人から
自分に向けられた悪意ある表情

こんな人物に当然出会ったら、思考するまでもなく緊張しそうです。これが扁桃体の働きです。


表情を見た瞬間、考えるまでもなく、
「ウッ、、、」となりませんかね?


その「ウッ、、、」の
出どころは扁桃体なんですね。


扁桃体が、相手の表情から危険を察知して、
体を緊張させたということです。


では、「無表情」に対する
扁桃体の過剰な反応は、
どうすれば改善できるのか?


まず、前提として
扁桃体は無意識下で反応するため
思考の力で抑えることはできません。



反応をコントロールしようとすると、
“コントロールしないといけない
危険な状況”
という刺激を扁桃体に与え、
より反応が強化されます。


扁桃体の反応を弱めるためには、
脳に刻まれた
「無表情=危険」を
「無表情=安全」に変える必要があります。


そのためには、
「聞き手が無表情であっても
安全に話すことができた」
という体験が必要です。


そのことは、情動の研究でも
明らかにされているんですね。

条件づけされてビクビクしているのどが渇いたウサギの近くに水たまりがあったとしよう。キツネに再び出会うことなく毎日水たまりに行くことができれば、ついにはウサギは、水たまりでキツネに会ったことがなかったかのように行動するようになるだろう。

エモーショナル・ブレイン―情動の脳科学 P173
ジョセフ・ルドゥー

森に行ってオオカミに襲われたが、なんとか助かったとしよう。あなたの脳はオオカミ襲われた時のことを簡単によみがえる鮮明な記憶として残す。同じ危険を避けさせるためにだ。それでも同じ場所に行くなら極めて慎重になり、瞬時に逃げ出せるように備えるだろう。しかし後日同じ森に行ってもオオカミは出てこなかった。次に行ってもまた出てこなかった。その次もその次も。そのうちに元の記憶は変化し、大きな脅威として認識されていたものへの恐怖が減っていく。つまり脳が記憶をアップデートし、現実問題どのくらい怯えていなければいけないかを調整するのだ。

ストレス脳 P64,65
アンデシュ・ハンセン


引用元の例のように、
「安全であること」を繰り返し体験すれば、
反応を引き出す能力が弱まってくるということです。


(ちなみに、この方法心理学用語で表すと、

 「恐怖条件付け(※)の消去」と言います。
 ※レスポンデント条件付けの一つ)


では、どこで体験するのか?


“失敗の許される安全な場所”
で体験することをオススメします。


なぜなら、
私のセルフ人体実験の結果から、
凄まじい緊張の改善に一番効果が
あったのはこの方法だから。

(参考リンク)
結局、「場数を踏む」のがベストな選択
場数は「安全な場所」で踏もう!
旅の恥をかき捨ててみませんか?
場数を踏む時、そこに失敗など存在しない
「人前は危険」→「人前は安全」に記憶を更新しよう
場数は「スモールステップ」で踏めば大丈夫
「体験学習」をオススメする理由
45秒でわかる:成功体験が大切な理由
核心的な話:成功体験はどのように脳に働くのか?


まとめます。


「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」


“孫子の兵法” に登場する言葉です。


その意味は、
「敵と、自分のことを
しっかり把握していれば、
百戦戦っても敗れることはない。」

ということ。


“百戦うんぬん” はさておき、
得体の知れない緊張の出どころと
その対処法を把握しておくだけでも
気持ちが穏やかになります。


「暗中模索」状態が
一番しんどいですからね!


私の体験談が
皆さんのあがり症克服の
お役に立てれば幸いです。

(関連リンク)
「恐怖条件付け」について
無意識に湧き上がる緊張はどこから来るのか?
「湧き上がる緊張」の主は扁桃体


※厚生労働省公認の
セルフメンタルヘルスという冊子の
P5、P18にも扁桃体について
書かれていますので、
こちらも興味があれば見て下さいね。

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