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【あがり症】役に立つ話:「恐怖条件付け」について

あがり症克服のために
トライアンドエラー
(セルフ人体実験ともいう)を
繰り返した、ロン毛のあがり症です。


今回のテーマは、
“恐怖条件付け” といいます。


なんじゃそれ?と思うかも知れませんが、

酷いあがり症の方にとって、役立つ内容です!


ぜひ、読んでみて下さいね!


情動研究の世界的権威、ジョセフ・ルドゥの著書
「エモーショナルブレイン」を
引用しながら紹介していきたいと思います。


そもそも、”恐怖条件付け” ってなに?
というところからいきましょう。

もし隣家の犬に噛みつかれたら、その家の近くを歩くときはいつも用心するようになるだろう。その家や庭は、噛みついた犬の姿や鳴き声と同じように、当の嫌な出来事と結びついて情動刺激となる。これが行動における恐怖条件づけである。

P168

なるほど、、、


あがり症の方が、人前で話す場面を
用心しているのと同じですね。


この “恐怖条件付け”、
動物を使って数多く実験されています。

ラットが小さなケージのなかに入れられる。音が鳴り、そのあと短時間軽いショックが足に与えられる。音とショックの組み合わせが数回続いたあとでは、ラットは音が聞こえただけで恐がりはじめる。ケージのなかにうずくまって、呼吸のために胸部が動く以外、じっと動かない。さらに、毛は逆立ち、血圧と心拍数 は上がり、ストレスホルモンは血液の中に放出される。

P169

“恐怖条件付け” は、ヒトやイヌはもちろん、
ハト、カエル、ハエなど様々な種で
確認されているようです。


そして、かくいうワタクシも、
“恐怖条件付け” された一人です(泣)



過去、人前で話す時に
大失敗したことがトラウマになり、
「人前で話す」ことが恐怖のトリガー
なってしまいました、、、


先ほどのラットの実験に例えると、
ブザー音:人前で話す
電気ショック:人前で失敗する

ような状態です。


さて、この “恐怖条件付け” の獲得には、
脳の一器官である「扁桃体」
中心的な役割を果たしていると言われています。

恐怖条件づけにおける扁桃体の損傷の影響については、トリ、ラット、ウサギ、サル、そして条件反応として自律神経系の活動を用いて人間でも研究されてきた。それぞれの動物で、扁桃体を損傷すると、条件づけされた恐怖反応が起こらなくなる。すなわち、扁桃体が損傷されると、もはや条件刺激が条件反応を引き起こすことができなくなるのである。

P201

扁桃体が損傷していると、
恐怖条件付けが起こらないんですね。


では、そもそも扁桃体の役割とはなんぞや?と。

嫌悪すべき状況を扁桃体が感知すると、自律神経系を含め身体の中のあらゆるシステムにスイッチが入る。引き続き、自律神経系が副腎を活性化することで、アドレナリンが血中に放出される。

P247

恐怖症の対象物と出会うと、扁桃体は刺激を無意識のうちに感知し恐怖を身体的に表現する。

P303

扁桃体は、人が「危険やな〜」と
認知する前に、 過去の経験等に照らし合わせ、
無意識のうちに危険を感知します。


そして、危険を感知すれば、
交感神経を活性化させ、
身体を緊張させるんですね。


さて、前述したように、私は
“恐怖条件付け” されました。


そのため、人前に立っただけで、
扁桃体が危険を感知し、凄まじい緊張に
襲われるようになった
ということです。


ちなみに、実体験でも感じていますが、
「恐怖条件づけ」を消去するのは
なかなか大変です。

恐怖条件づけの形成は、早いばかりではなく長く続く。実際、一度条件付けされた恐怖は忘れ去られることはほとんどない。

P171

扁桃体によって形成された無意識の恐怖記憶は脳の中に消すことができないほど強く焼きつけられるようである。そのような記憶は一生つきまとう。

P315


ヒェー!
そんなこと言わんとって〜!!(泣)


しかし、大丈夫です。
解決策もありますから!

条件づけされてビクビクしているのどが渇いたウサギの近くに水たまりがあったとしよう。キツネに再び出会うことなく毎日水たまりに行くことができれば、ついにはウサギは、水たまりでキツネに会ったことがなかったかのように行動するようになるだろう。

P173


冒頭のラットの実験で例えると、

ブザー音が鳴っても
電気ショックが来ない体験を
何度も何度も繰り返せば、
恐怖反応を引き出す能力が弱まってくる。

こういうことですね。


あがり症の文脈で言い直すと、

人前で話してみて、「安全」であることを
何度も何度も体験すれば緊張が弱まってくる。


こんな感じでしょう。

(専門的な言葉では、
 暴露療法・エクスポージャー療法といいます。)


これは、めっちゃ納得です。


事実、「安全な場所」で
場数を踏んだことであがり症を
改善させることができましたからね。


しかし、注意しないといけないのが、
恐怖反応が起こらなくなったとしても
その記憶までは消せないということ。


何かをきっかけにして再び、
“恐怖条件付け” の状態に戻ることもある
ということです。


これについては、
また、別の機会に書こうと思います。


今回は、私の実体験とあわせて
“恐怖条件付け” について紹介しました。


何かの気づきになったでしょうか?


私の体験談が
皆さんのあがり症克服の
お役に立てれば幸いです。

(関連リンク)
無意識に湧き上がる緊張はどこから来るのか?
「人前は危険」→「人前は安全」に記憶を更新しよう
場数は「安全な場所」で踏もう!
表情に反応する脳みそ
45秒でわかる:成功体験が大切な理由
核心的な話:成功体験はどのように脳に働くのか?

※厚生労働省公認の
セルフメンタルヘルスという冊子の
P5、P18にも扁桃体について
書かれていますので、
こちらも興味があれば見て下さいね。

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