見出し画像

夢見る夢子じゃないからこそ

これが世に言う夏バテなのかあ。
そう思い始めてからもう10日間が経とうとしている。

結構傍から見たら活動的なはずの私が(とは言え大人数は苦手なので活動的なおひとりさまである)、
土日一日中ベッドの上にいたり
仕事にやる気が出ずにひたすらInstagramのレコメンド動画を見ていたり
一番嫌いな過ごし方をしてしまっている。

思えば私は夏バテになんか毎年ならないタイプで
皆食欲なくなるなんて羨ましいなあ、くらいに周りを眺めながらアイスを食べるような夏を過ごしてきた。

だから、何かがおかしいのだ。
こんなに落ち込んでいてやる気が出なくて怠くて、時々無性に泣けてくるのは、何かがおかしい。

でも、それを埋めるための言い訳が、ない。
ホルモンバランスが乱れている週でもなく
ネットでググって出てくるような夏バテを加速する食生活もしていない。
「夏バテ」なんて、言い訳でしかないって、自分でもちょっと気づいてる。

ただ分かっているのは、私は今寂しくて悲しくて自分の力不足が情けなくて、何もかもうまくいかなくて、
単純にそんな、ふんわりした原因で緩み切っているって自覚してしまっているから、やっぱり悔しいんだってこと。
だからそんな自分が嫌で嫌で、私は今会社の会議室で訳も分からず泣きながらこの文章を綴っている。情けない。

この年で「人生上手くいかない」なんて嘆くのは大体二つ。恋愛と、キャリア。もうそれでしかない。

まあまずは、彼と喧嘩してしまって、ひたすらに落ち込んでいる。
私と彼は新幹線とローカル線で1.5時間くらいの中距離恋愛なのだが、
会いに行くのは毎回私だ。もちろん、会いに行っているというよりは、私が東京に行くついでに彼に会う、ということなので、
彼からすると「ついでに会ってくれてるんでしょ?」ということらしい。
それは確かにそうだし、たぶんその方がお互いに都合がいい。
だけど、私はワガママなもので、「ついで」だったとしてもいつも会うために物理的に移動しているのは私、という構造は、「私ばかりが彼に時間を割いている」ように思えて、なんだか辛くなってしまう。

毎日こまめに連絡をくれる彼の話題は「俺はこんなに仕事を頑張った!」通信が多くて、毎度「すごいね、頑張ったね」と反応しながら
たまにほんの少しだけ、空しくなる。
私のこの寂しい想いも、悲しい気持ちも、自分の力不足を痛感する悔しさも、あなたの「仕事頑張った!」には、追いつけないんだって思うから。

つい、忙しい彼にそんな想いをぶつけてしまって
「今は忙しくて余裕がないのに、そんなん言われたら辛いわ」
率直にそう言われた。

ごめんよ、そうだよね。しんどい時にそんなん言われたらきついよね。
でも私は、そんな「今は彼にとって仕事が忙しい時期だから…」ってぐっと堪えて綺麗な笑顔を振りまき続けられる、そんな物わかりの良い彼女には、妻には、なれない。

だって彼にとっての「今月が山場」は、たぶん一生続くから。
休まることがない彼の人生は、常に山場で(それは素晴らしいことだと思う、本当に)
私の日々の小さなジレンマや画面の向こうの寂しさは、その山の中で搔き消されてしまうんじゃないかって思うから。

ここまで言うとね、「なら別れれば良いのに」って思う。
たぶん、2-3年前の私ならそうしてたんだろう。
彼に私は相応しくない、もっと明るくてエネルギッシュで、彼が飛び回ってたら笑顔で豪快に送り出せるくらいのカッコいい女が良いんだって腐って、
「ごめんね」とかなんとか言って、自分から別れてたかもしれないし、振られてたかもしれない。

でも、今はもうできない。そんなこと怖くて、出来ない。
いくら世間が「妥協して結婚しないほうがいい」なんて言っても、
「妥協」していない人なんていないはずだということを
「妥協」という言葉が何を指すのか、それが人によって本当に異なることを
真に受け止める年になったから。

息を吸うように私を愛して、息を吸うように家事を手伝って、息を吸うように私を応援してくれて、
そんな男性が良いと思わない人はいないんじゃないか。(いるのかな、いるとしたらすごい、尊敬します)
でもそんな人いないのだ。一緒に人生を紡ぐということは、お互いに譲り合って、妥協しあって、愛する努力をするということなのだ。
もちろんそこで「絶対に譲れないこと」みたいなものは必要だと思う。
けど、「絶対に譲れないこと」以外の「ちょっぴり譲りたくないこと」は、もうすべて妥協…というか譲り合いでしかない。私はそう思ってる。

だから、誠実で勇気と覚悟があって友達想いの素敵な彼を、私はあきらめちゃいけない。後ろ向きな気持ちの妥協ではなく、前向きな気持ちの譲り合いとして。理想ばかりを追い求める夢見る夢子ちゃんではなく、現実的に人生を歩みたい30歳女性として。

はあ、ここまで書いてようやく「恋愛」の1トピックが終わるなんて。
キャリアについてもまだまだ同じくらい葛藤と悔しさを抱えているというのに、アラサーは悩みが尽きない。

でもさ、これって贅沢なことだな、と心底思うんだ。
何でもできるわけじゃない、から悔しい。
でも、何でもやろうと思えばできるからこそ、悔しいんだ。
キャリアだって恋愛だって、「理想」を追い求めることに疲れちゃうことだってある。理想通りに行かないことを痛感しながらも、理想を捨てきれなくてジレンマを感じることだってある。

肩の力を抜こう。こんな風に泣きながら気持ちを吐き出して、一歩一歩自分の負の感情も嚙み締めることが、不器用な私なりの理想への近づき方だから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?