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SaaSセールスに必要なスキルと理想のキャリアパスとは?ウェルディレクション向井氏×ログラス布川対談

こんにちは!ログラス広報の檜山です。

お客様と共に、理想のあり方に向けて伴走する「セールス」。
特にSaaSセールスは、システム導入ありきではない、長期的な価値提供を行える信頼されるパートナーとしての関係を築くことが求められます。

今回のゲストは、創業当初からログラスのセールス組織のアドバイザリーを行う、ウェルディレクション CEOの向井 俊介さん。
大手外資企業でトップセールスとして活躍してきた向井さんに、SaaSセールスとして求められる素養や、選考で見られるポイントを聞きました。

※このインタビュー全編はPodcastで配信しています。下記は内容を抜粋・再構成してお届けします。なお、Podcastは2022年2月に公開しており、情報が現在と異なる場合がございます。

◆ゲスト
向井 俊介 
ウェルディレクション Founder. CEO 
約20年、IT業界におけるB2Bの営業として従事。国内上場企業から外資上場企業、外資スタートアップの様々な企業に属し、エグゼクティブに対するビジネスも多く経験。グローバルNo.1のセールス実績や、グローバルNo.1のマネージャーにも選ばれるなど実績を残す。2019年には米App Annie日本法人のカントリーマネージャーに就任。2020年、ウェルディレクションを創業し、B2Bセールスのアドバイザーとして上場企業からスタートアップまでを支援。2020年より社会構想大学院大学実務教育研究科に在籍し、営業の暗黙知を学術的に形式知化するための専門職研究も行っている。

◆聞き手
布川 友也
株式会社ログラス 代表取締役CEO

慶應義塾大学経済学部卒業後、2016年SMBC日興証券 投資銀行に入社。PE、総合商社によるM&Aや投資先IPOアドバイザリーを担当。その後、GameWith経営戦略室にてIR・投資・経営管理等を担当。2019年株式会社ログラスを創業、代表取締役に就任。経営管理クラウドサービス「Loglass」を開発・提供。

SaaSセールスに求められる素養とスキルとは?

布川:向井さんがさまざまな組織でアドバイザリーを行うなかで、SaaS業界に初めて飛び込むセールスパーソンも多いのでしょうか?

向井氏(以下、敬称略):はい、もちろん。SaaS自体が新しい概念なので、「昔からSaaS経験者です」という人は少ないです。親和性が高いのは、サブスクリプションビジネス出身者でしょうか。

一方、ハードウェアやB to Cビジネス出身者でも、SaaSに入って活躍している姿を見ます。「働く人たちの素養を伸ばすフィールドなんだな」と思いますね。

布川:SaaSビジネスの魅力や、これからのセールスに求められる素養についてもぜひ教えてください。

向井:SaaSは「売ってからが特に大事」なビジネスです。
お客様からのフィードバックや要望を常にもらいながら、セールスとプロダクトチームが連携してプロダクトを育てていくことが必要です。

言い換えると、SaaSのセールスは「プロダクトを育てる役割も担う」という意識を持たなければいけません。

また、昨今さまざまなSaaSサービスが生まれていますが、単に自社商材を理解するだけではなく、競合企業の理解や、お客様の業務に対して自分の売っているSaaSがどういう立ち位置で、どういうベネフィットがあって、それが周りとどう繋がっていくのかを今まで以上に理解してないと、売れない時代になっていくと考えています。

お客様自身が、「本当に今自分たちに必要なデジタルソリューションが何か」を実はわかっていないんじゃないか、という前提に立ってあげることは情報爆発かつ変化が激しい現在において重要なスタンスだと思います。

もっと言うと、お客様が目指すゴールの達成を阻む要因や障壁、つまり課題が明確に整理できていない。何をどういう優先順位で取り組むべきかどうか判断が難しい、という状態になっていると捉えて捉えてもらうことが大事だと思います。

そう捉えると、困りごとを解決する=ゴール達成をすることに向けて何をしてあげるべきなのか、からスタートする必要があります。結果営業活動としては「課題をヒアリングする」「機能説明をして売り込む」という行為ではなく、まずは課題を整理してお客様に自覚してもらうためのコミュニケーションが必要になります。
例えば、お客様の業務領域に関する海外動向をインプットしてあげたり、同業他社がどうしているかなどの情報を提示してあげたり、周りの企業や人を繋いであげたり。そうしたコミュニケーションを経た結果、自社のプロダクトが課題解決に適していると判断できれば自信をもって提案すればいい。

お客にとって買うことは困りごとを解決する手段の1つです。そう考えるとセールスも売ることは手段の1つであり目的ではないですよね。まず土台として「お客様の困りごとを解決するする姿勢」をもつことが、これからのセールスには求められるのではないでしょうか。


ログラスに必要なのは「寄り添い型」のセールススタイル

布川:他領域のセールスがSaaSに足を踏み入れるとき、「面接に通るためにどのような準備をして行くべきか」というお話と、「入ったあとに、どういうふうに今おっしゃってたようなことをできるようにしていくか」という2つをお聞きしたいです。

向井:正直、どの会社の面接に通りたいかによりますね。
ログラスの場合、経営企画部門の方々が相手なので、コーポレート系の方達ですよね。

たとえばセールステックのように、ビジネスサイドでグロースさせていく、いわゆる「評価が加点方式」の人たちに向けたSaaSの場合、アグレッシブな提案をして良いと思います。

一方で、コーポレート系の人たちの基本的な評価は減点方式なので、完璧に業務が遂行されていることは当たり前で、逆にミスが起こるとすごく怒られる。そうした評価制度の下で仕事している方には、イノベーティブな提案が刺さり辛い。

このように、お客様の業務を理解して会話する「寄り添い型」のセールススタイルが、ログラスには求められるんじゃないかなと。

布川:ログラスのお客様は、賢い人たちが多いです。準備してきたものを語るより、ディスカッションを発展させられるか、相手が言ってきたことに対して正しく論理的に返答できるかが大事という感覚があります。 

向井:本当にその通りですね。ビジネスサイド向けのSaaSなのか、コーポレートサイド向けのSaaSなのかによって、面接への向き合い方は変わりますよね。

あとは、プロダクトが「こんなことできます」「あんなことできます」だけではなく、「どんなベネフィットに繋がるの?」の話に持っていけない人が多いなと感じています。

フィーチャーとアドバンテージを語るときは、主語が売り手でいいので楽です。
しかし、ベネフィットを語るときは主語をお客様に変えなきゃいけないので、
「お客様にとってのベネフィット」を知らなきゃいけないし、そのためにはお客様の評価ポイントや目指しているゴール、現状の取り組みなどを伺いながら時には不足を指摘し、示唆を提供するという「ディスカッション」をしないといけない。そのプロセスを踏もうとする片鱗が見えさえすれば、あとはいくらでもスキルを伸ばすことはできると思います。

布川:私も創業期に「1人セールス」だった時期があったのですが、ひたすら自分が何を考えてるかを喋り続ける劇場型のセールスをしている時期があって、全然お客様に刺さらなかったんですよね。当時、向井さんに「それは投資家向けのピッチであり、セールスではない」っていう話をされたんですよ。覚えてますか?

向井:覚えてますよ。

布川:最初は理解できなくて、「セールスとピッチって何がそんなに違うんだろう?」って思ったんですけど、最近は「結構違うな」と思えるようになりました。

結局、お客様が欲しいのは製品ではなくベネフィット。プロダクトを使うことで「できるようになること」が知りたいわけですから。それを完全に理解するのに1年ぐらいかかりましたが、それさえもキャッチアップできる、マインドの高い人材がより求められますね。


セールス→マーケティングへのキャリアも拓ける

布川:向井さんが今まで見てきたSaaSセールスで、「この人のキャリアはいいな」と感じる、理想的なキャリアパスのイメージはありますか?

向井:大きく2つの流れがあると思っています。

1つ目は、The Model型で分担されている職務ぞれぞれのプロフェッショナルです。
「プロフェッショナルインサイドセールス」「プロフェッショナルフィールドセールス」みたいに、尖った「エキスパート職」が出てくるんじゃないかなと。

2つ目は、尖ってる人たちを率いてチーム全体として成果を出していくマネジメントとしてのキャリア。

さらにいうと、アメリカでいうマーケティングと日本でいう営業ってほぼ同義なのですが、B to Bマーケティング全体を戦略から実行まで設計できるような人材が今後出てくるんじゃないかという期待を持っているんですよ。

布川:具体的にはどういうことでしょうか?

向井:プロモーションといった狭義のマーケティングではなく、商売全体を設計するという意味です。
「売れる仕組み」を作っていくことは、セールス畑の人はやりやすいんじゃないかなと思いますので、そうしたキャリアパスが今後増えても出てきてもおかしくないと思ってます。

布川:お客様を最も理解し、そこから逆算してマーケティングするのは、すごく腹落ちするし理想形だと思います。一方、求められる動きやスキルセットがかなり違うので、難易度が高そうだなって感覚を持ちつつも、できたらすごいですよね。

向井:そう。たとえば、データを分析して次の施策に落とし込むって、いわゆるプロモーションをやってる人はある程度素養が身に付いてると思うんです。
一方、「ペルソナ作って、カスタマージャーニーマップ作って、どれぐらいのコストをかけて、どういうビジネスをどれくらい創出すればいいのか?」といった商売の仕組みを戦略的に定められる人は少数派のように見えます。

そこで、セールス出身者がマーケティング責任者として立ち、戦略を担いつつ、足元の業務はプロモーション中心に担当しておられる方々をメンバーとして抱える。そんな組織の作り方は、機能するんじゃないかなと思っています。

布川:セールスで結果を出した方が、思考をマーケに落としていくということですよね。

向井:マーケティング責任者っていう立場でなくとも全然よくて、セールスマネージャーが自分の職務の範囲にマーケティングを入れてしまうというのも、僕から見ると全然違和感がないんですよ。ある意味、アカウントベースドマーケティングとかはその一環だったりしますしね。

布川:ありがとうございます。
今のマーケティングの話なども含め、様々な人がセールスを「売ること」だけと捉えないで、商売全体の設計をしたり、顧客と一緒に新しい価値を創出するクリエイティブな仕事だと捉える人が増えると、もっともっとSaaSセールスが面白くなっていくんじゃないかなと思っています。


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