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著者が語る:ハーバード大学で大好評の「論理学」テキスト!

天才論理学者レイモンド・スマリヤンが、ハーバード大学の「論理学」の授業に用いて大好評だったテキストをまとめて、「スマリヤンの論理学3部作」として丸善から上梓した。「翻訳」は川辺治之氏(日本ユニシス上席研究員)と村上祐子氏(立教大学教授)の分担、「監訳」は私が担当した。以下に、その3冊をご紹介しよう。

1.『記号論理学』

本書『記号論理学』は、Raymond Smullyan, Logical Labyrinths, New York: A. K. Peters, 2009, Part I and Part II、つまりスマリヤン著「ロジカル・ラビリンス」前半の全訳である。……「論理学」と名前の付く著作は数えきれないが、スマリヤンの「ロジカル・ラビリンス」から誕生した『記号論理学』と『数理論理学』のように、誰にでも理解できる論理パズルから出発しながら、命題論理から1階述語論理、完全性定理から不完全性定理への道筋を明快かつ厳密に示したテキストは他に類をみない。訳者一同、多くの読者に長く読み継がれることを祈っている。[「監訳者あとがき」より抜粋]

目次

第Ⅰ部 一般化のすすめ
 第1章 正直者と嘘つきの論理学
 第2章 男性か女性か?
 第3章 沈黙する騎士と悪漢
 第4章 マトモかイカれているか
 第5章 二重の厄介さ
 第6章 統一原理

第Ⅱ部 記号化のすすめ
 第7章 命題論理入門
 第8章 正直者と嘘つきの命題論理
 第9章 日がわり嘘つき
 第10章 論理結合子と日がわり嘘つき
 第11章 タブロー法
 第12章 「すべて」と「少なくとも一つ」
 第13章 1階述語論理入門

監訳者あとがき

2.『数理論理学』

本書『数理論理学』は、Raymond Smullyan, Logical Labyrinths, New York: A. K. Peters, 2009, Part III, IV, V and Part VI、つまりスマリヤン著「ロジカル・ラビリンス」後半の全訳である。……「無限」の導入から「完全性」や「スコーレム-レーヴェンハイムの定理」といった1階述語論理の基礎的成果、さらに「公理系」から「表現可能性」、スマリヤン自身の一般化した「抽象量化理論」を解説し、最後に「不完全性定理」に触れて未来への展望を示している。いわゆる文系読者が『記号論理学』によって「論理学」の基礎を身に付けられるように、いわゆる理系読者は『数理論理学』を理解することによって、各々の分野で必要最低限の「論理学」の基礎を身に付けることができるだろう。[「監訳者あとがき」より抜粋]

目次

第Ⅰ部 無限
 第1章 無限の本質
 第2章 数学的帰納法
 第3章 一般化帰納法,ケーニッヒの補題,コンパクト性

第Ⅱ部 1階述語論理の基礎的結果
 第4章 命題論理の基礎的結果
 第5章 1階述語論理:完全性,コンパクト性,スコーレム-レーヴェンハイムの定理
 第6章 正規性定理

第Ⅲ部 公理系
 第7章 公理的方法入門
 第8章 命題論理の公理的方法(続き)
 第9章 1階述語論理の公理系

第Ⅳ部 1階述語論理(続き)
 第10章 クレイグの補間補題
 第11章 ロビンソンの整合性定理
 第12章 ベスの定義可能性定理
 第13章 まとめ
 第14章 この先にあるもの

監訳者あとがき

3.『不完全性定理』

本書『不完全性定理』は,Raymond Smullyan, Gödel’s Incompleteness Theorems, Oxford: Oxford University Press, 1992 の「改訳版」である.……読者は,『記号論理学』・『数理論理学』・『不完全性定理』の論理学シリーズ3冊を順に読破してくだされば,初歩的な論理パズルから出発して,形式的な不完全性定理の証明に至るまで,無理なく学習することができるはずである.[「監訳者あとがき」より抜粋]

目次

第Ⅰ章 ゲーデルの証明の基礎概念
§1. ゲーデルの定理とタルスキーの定理の抽象形式
§2. 言語L における決定不可能な文

第Ⅱ章 算術におけるタルスキーの定理
 I. 言語LE
§1. 構文論の基礎
§2. 言語LE における真理概念
§3. 算術的E および算術的な集合と関係
 II. 連結とゲーデル符号化
§4. b を底とする連結
§5. ゲーデル符号化
 III. タルスキーの定理
§6. 対角化とゲーデル文

第Ⅲ章 べき乗に基づくペアノ算術における不完全性
 I. 公理体系P.E. 
§1. 公理体系P.E.
 II. 公理体系の算術化
§2. 基礎概念
§3. 体系P.E. の構文論の算術化
§4. 体系P.E. におけるゲーデルの不完全性定理

第Ⅳ章 べき乗に基づかない算術
 I. 公理体系P.A. における不完全性定理
§1. 基礎概念
§2. Σ 関係
§3. 素数を底とする連結
§4. 有限集合の補助定理
§5. 定理E の証明
§6. ペアノ算術における不完全性定理
 II. Σ1 関係

第Ⅴ章 ω 無矛盾性に基づくゲーデルの証明
 I. 不完全性定理の抽象形式
§1. 不完全性定理の基礎
§2. ω 無矛盾性の補助定理
 II. Σ0 完全性
§3. 基礎概念
§4. ペアノ算術におけるΣ0 完全な部分系
§5. 体系P.A. における不完全性
§6. 体系P.A. の ω 不完全性定理

第Ⅵ章 ロッサー体系
§1. ロッサーの不完全性定理の抽象形式
§2. 一般分離定理
§3. ロッサーの決定不可能な文
§4. ゲーデル文とロッサー文の比較
§5. 分離性

第Ⅶ章 シェファードソンの表現定理
§1. シェファードソンの表現定理
§2. 完全分離ロッサー体系
§3. ロッサーの決定不可能な文の変形
§4. シェファードソンの定理の強化
 
第Ⅷ章 定義可能性と対角化
§1. 定義可能性と完全表現可能性
§2. 体系S における関数の強い定義可能性
§3. 体系(R) における帰納的関数の強い定義可能性
§4. ゲーデル文と不動点
§5. 真理述語

第Ⅸ章 無矛盾性の証明不可能性
§1. 証明可能述語
§2. 無矛盾性の証明不可能性
§3. ヘンキン文とレーブの定理
 
第Ⅹ章 証明可能性と真理性に関する一般概念

第Ⅺ章 自己言及体系
 I. 自己について推論する論理学者
§1. タルスキー・ゲーデルの定理の類推
§2. 正常型かつ安定型の1 型推論者
§3. ロッサー型の推論者
§4. 無矛盾性の問題
§5. 自己充足信念とレーブの定理
 II. 一般状況における不完全性定理
 III. G 型体系
 IV. 様相体系

監訳者あとがき

読者もハーバード大学で「論理学」を受講している気分で、3冊を読破されてはいかがだろうか?

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