ただゴマが好きだというだけで、特に内容のない話
最近気がついたことがある。
私はゴマが好きだ。
自分の好物くらい把握していそうなものだが、ゴマが好きだということにこれまでまるで気がついていなかった。
本当に自覚がなかった。ゴマ好きだということを知ったのも、人に言われたからだ。
「本当にゴマが好きだよね」
「えっ? ゴマ? そんなことないよ」
その人の視線は私の手元に向かっていた。
「本当に?」
「そうだよ。ゴマのことなんか考えたこともないね」
そこで初めて、私は白いご飯が真っ黒になるまでゴマを振りかけていたことに気がつ