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聞こえが良いからといって、本当に良いかはわからない

一見すると良さそうなことでも、よく考えてみれば、そうでもないぞということはたくさんある。

簡単な例をあげると、「快晴続き」。
「あたしはァ、毎日晴ればっかりでェ、ハッピー♪」という頭すっからかん子ちゃんは今日も用事もないのに外へ行くのだが、晴ればかりが続けば、畑を育てる農家さんや、河童を育てる合羽屋さん、合羽を売る河童屋さんなどが困ってしまう。んん? カッパ屋さんがごっちゃになっちゃった。カッパ屋さんって何。

あとは「プレゼント」。
一見すると「ありがとう」の一言しか浮かんでこなさそうなものだが、いやはやどうして、これがまたなかなかの曲者なのでござる。「曲者」って言葉を使いたかっただけなのに、忍者口調になってしまったでござる。

「ひゃっほー! ラッキー! プレゼント、最高じゃん!」という頭すっからかん子ちゃんはその場ですぐに包装紙をビリビリに破き、「あーマジかー。これ、持ってるわー」とか言ってしまうのだが、単純にプレゼントを受け取って終わりというわけにはいかない。
誕生日プレゼントをもらったときには、相手の誕生日にお返しをしなきゃいけないし、お祝いをいただいたときにもお返しをしなければならないし、相手が私のプリンを勝手に食べたときには仕返しをしなければならない。

このお返しがなかなか難しい。相手との距離感、立場の違いによって、何を渡せばいいものか三日三晩悩み続け、苦しみぬかなければならなくなる。向こうが私に似合うと思って選んでくれたネクタイのお返しに、素麵の詰め合わせセットを送り返すわけにもいくまい。

「プレゼント」というジャンルで言えば、さらに「良きに見えてそうでもない案件」は潜んでいる。
「手作り」だ。

皆さんもすでにご承知おきの通り、この国では「手作り」と言われると喜ばなければならないという法律がある。

作ってくれた人の心がこもっているという点において、やはり手作りのものをもらうのが嬉しいことは確かだ。
だが、本当に手作りのものすべてが嬉しいかと言われると、そうとは限らない。

例をあげてみよう。

EX)品質に疑いあり
男「今度、一緒にドライブなんてどうかな」
女「あら、いいわね。どこに行くの?」
男「海沿いの景色を楽しみながら、なんていうのはどうかな」
女「素敵ね。楽しみ」
男「それじゃあ、当日は僕の手作りの車で迎えに行くから……」
女「お断りさせていただきます」

よっぽどのメカニックでもない限り、ちょっと考えられない。次。


EX)合成獣を生成し女
女「今日はもう帰らなきゃ」
友「どうしたの? 明日も休みじゃん」
女「お腹空かせて待ってるやつがいるんだ」
友「うそー。ペット飼ったの? 犬? 猫?」
女「犬だよ」
友「えーいいな。実際、いくらくらいした?」
女「お金なんてかからないよ。手作りだもん」

こわ。こわいわ。友達やめたほうがいいわ。次。


EX)それって文字通りの
女「今度うちに遊びにおいでよ。ご飯作ってあげる」
男「嬉しいな。何を作ってくれるの?」
女「手作りの手料理だよ」
男「えっと、だから、何の料理を……。あれ? なにしてるの?」
 女は男の腕の周りにひもを巻きつけた。
女「止血」
男「えっ? なに? どういうこと?」
女「手料理だから。材料が必要でしょ」
男「えっ。手料理って手の料理……?」

ぎゃーーーー! やめてください。私はホラーが苦手なのです。


とにかく、手作りのものとは、買って終わりのプレゼントとは違って、それを作るという時間が、手間が、かかっている。そこに贈る相手への気持ちがこもるのは当然のことだろう。やはりありがたく頂戴しておくべきのようだ。

最後にもう一例。

男「おいしい! 君が作ったカレーは最高だ!」
女「喜んでもらえてなによりよ」
男「ん? どうしたの? 顔色が悪いよ」
女「心を……心をこめて……作ったからよ……。ぐふっ!」
男「血が……! だ、大丈夫?」
女「心を……こめたくて……鍋の中に……私の心臓を……」


ぎゃーーーーーーー。

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