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おすすめライトノベル①「バッカーノ!」という始まり

最初に書くおすすめのライトノベルなわけですが。
ここでは、成田省吾先生のデビュー作『バッカーノ!』(2003年2月刊行)を取り上げたいと思います。
古いとか言わない。


なんで、この作品なの?


実は私、過去10年間ほどの時間を掛けて、ライトノベルを中心に様々な本を1,000冊ほど読んできました。そして、それをいちいちメモ帳にまとめ、自分の感想を見ては、「この本はこんなだったなぁ」と感嘆するのが大好きだったんです。

で。久しぶりに、そのメモ帳を確認してみると、最初に書かれていた感想が、この『バッカーノ!』という作品でした。

これは最初の記事にせねばなるまい!

という、超個人的判断によって、記事のネタが決定したのでありました。


メモにはなんて書いてあったの?

十年ほど前の自分は何を書いていたのか。改めて確認すると、こんな文章が書かれていました。

『リアルな時代設定、そこに「不死のフィクション」が混ざり合い、複雑なキャラ視点によって、物語が逆手に取られている。面白い』

……え? これだけ?
いやさ、もっとあるでしょ!?
複数キャラ視点によって、物語の全容が分かる、面白さとかさ!?
キャラクターが立っていて、ストーリが引き込まれるとかさ!?

ともかく、私の感想メモには、それだけしか書かれていませんでした。

……どうしよう、この記事。
というより、逆手って何よ。


『バッカーノ!』ってどんな作品なの?

改めて『バッカーノ!』とは、成田省吾先生が、第9回電撃ゲーム小説大賞(今では、電撃小説大賞)で金賞を取った作品です。
以下、電子書籍サービスの「BOOK☆WALKER」から、あらすじを引用します。

禁酒法時代、ニューヨーク。
裏組織“カモッラ”は重要な儀式を数日後に控えていた。
泥棒カップルはグランド・セントラル・ステーションに着いたばかりだった。
マフィアの三兄弟はちょっとした問題を抱えていた。
チンピラの少年は思い通りにならない現実にムカついていた。
職務に忠実な警部補はそんな彼らを疎ましく思っていた。
そして、錬金術師の野望は200年を経て、未だついえる事はなかった。
彼らはまだ互いに関わりの無い者同士であった。
このマンハッタンに“不死の酒”が蘇るまでは――。

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つまるところ『バッカーノ!』とは、お酒の消費を全面に禁止されていたアメリカを舞台に、「不死の酒」を巡る群像劇的な作品なのです。


群像劇って?

アプリ版大辞林によれば、以下の事となります。

【群像劇】
小説・演劇・映画などで、複数の登場人物に起こる出来事やそれぞれの人生。また、その相互関係などを同時に並行して描く手法。

iphone版アプリ「大辞林」より引用

本来、小説やライトノベルでは、一人のキャラクターを主人公として、その視点から物語を展開させていくことが多いです。
専門的なことを言えば、「一人称」か「三人称」で物語を描くと言うことですね。

ですが、群像劇は違います。5,6人。作品によってはそれ以上のキャラクターの視点が入り、物語が展開していきます。

いやいや、そんなに沢山のキャラクターなんて覚えられねえよ。
読むのに、苦労しそうだな。

そんな声が出てきそうな気がします。
ええ。私も正直、読めそうな気がしなかったんです。

この作品に出会うまでは。


これがデビュー作だって!?

書く側にいた私としても、群像劇は非常に難しい。というよりも、書いていると混乱するし、それを見ている読者も混乱してしまう。いわば負のスパイラルが起こる、非常にやっかいな描き方なのです。

なので、大体が、この描き方を避けます。だって、分かりやすい方が、読者が読んでくれそうだから。

しかし、この作品は違いました。

そんな負のスパイラルなんて、なんのその。
わかりやすく、かつキャラクターを立て、面白おかしく描いているのが、この『バッカーノ!』というライトノベルなのです。

しかも作者である、成田省吾先生は、この作品がデビュー作。しかも後に、同じ群像劇である『デュラララ!!』なども発表されています。

もう群像劇作品の代表といっても差し支えありません。

というより。これが最初のライトノベルだなんて、信じられないよ!


結論なんだけど、面白いの?

現代を舞台にしたライトノベルが好きな人は、先ほど取り上げた『デュラララ!!』の方があっているかもしれません。
しかし、あえて私は、この『バッカーノ!』を推薦したいと思います。

パズルのピースを当てはめて、絵を完成させていくような爽快感を得ることが出来ます。

そこが、たまらなく面白い!

二十年ほど前の、古いライトノベルですが、1920年代のアメリカが舞台であるためか、古くささをあまり感じません。

また、「群像劇」を初めて堪能するには良い作品だと、自信を持って薦めるわけなのです。


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