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「ねえ、好きって言って」

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執筆ルール : 物語のラストを「ねえ、好きって言って」で終わらせる、字数制限なし / 第3回とある委員会
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2022年12月の記事一覧

【短編小説】世界一幸せかな

【短編小説】世界一幸せかな

 本日は私たちのためにお越しいただき、誠にありがとうございます。無事本日、式を挙げることができました。こうして2人で夫婦になれたこと、これもひとえに皆様のおかげです。ささやかな席ですが、お開きまでどうぞごゆっくりお過ごしください。

 挨拶を済ますと、司会の人が新郎新婦の紹介をしてくれる。自分の名前の前に、新婦、という代名詞がつき、苗字が呼ばれなかったことに、やっと、実感が湧く。
「やっと夫婦にな

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【短編小説】僕の彼女

翠ちゃんと付き合って3ヶ月経つ。
側から見れば本当に普通のカップルで、僕も彼女のことを大切に思っているし、ある程度恋人同士でするスキンシップは一通りしたし、別に愛されてないとは思ってない。ただ、ひとつだけどおぉぉぉぉぉおしても彼女に願い出たいことがある。
それは、彼女から『好き』って言って欲しいということだ。

僕の彼女はとっても恥ずかしがり屋だ。
彼女に一目惚れした僕は、文字通り付き纏うレベルで

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【短編小説】クールなあの子

綺麗な桜が咲き乱れる春、私は2つ下のクールな君に恋をした。
今日は桜ヶ丘高校の入学式。新入生たちの初々しい姿とこれからの学校生活に期待をするキラキラした目が懐かしいなあ。
「新入生たちは、きらきらしててまぶしいな。私も生徒会長としてしっかりしなくてはいけないな」
「そんなに気を張らなくても、十分しっかりしてるよ、一華は」
「ありがとう、夏希」
私を褒めてくれる心優しいこの子は夏希。中学からの親友

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【短編小説】佐鳥と新村

みなさんこんにちは! あたし、下まつ毛バチバチギャル・佐鳥! 突然ですが、みんなに聞いてほしいことがあります。それは、あたしの隣の席の新村くん─―心の中でシンシンって呼んでるよ!──がカッコよすぎるってこと! 最初は正直、メガネだし地味だし、話とかツマンなそ〜って思ってたんだけど、あたしの目、なんだっけ、シンビガン? が腐ってた。ちょっと長い前髪に隠れてる目の形とか、菅田将暉みたいなツンとした鼻と

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