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環境保全型農業|栽培マニュアル

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環境保全型農業栽培マニュアル IPMからバイオスティミュラントにICTによる環境制御の情報から 防除のポイント、資材、ノウハウについての栽培マニュアル
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積算温度を利用した植物の生育予測について考える

積算温度を利用した植物の生育予測について考える

5月末に梅雨のような予報になるなんて、やはり今年は10日ほど季節が前倒し。

そんな季節のリズムが例年通りいかなくても、
温度を記録したりすると作業の日程を組むことができます。

例えば、いちじくは「着果」から2000℃〜2100℃温度が積算されると収穫

と目安があります。

積算温度とは1日の平均気温を足していったもので、

1日目の平均気温が25℃で
2日目の平均気温が30℃だったとすると

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マグネシウム欠乏症のサインを読み、果実肥大へつなげる

マグネシウム欠乏症のサインを読み、果実肥大へつなげる

おはようございます。優れない天気に外での作業もできないため今日はマグネシウム欠乏症について綴りたいと思います。

葉は健康のバロメーターで、色や模様でどの栄養素を要求しているか判断することができます。

最近、作業していると葉に黄色の模様があるのに気づいてマグネシウム欠乏症と診断しました。

葉面散布で食品添加物にも使用されるトレハロースを主原料にしている「トレイン」

を薬剤散布の時に混用して施

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日照不足でも光合成を手助けしてくれる強い味方

日照不足でも光合成を手助けしてくれる強い味方

植物にとって最も成長に関与している光合成。
梅雨や秋雨の時期、曇や雨が続くと光合成の量も少なく成長しないし病気にもなりやすいつらい時期である。

そんなつらいシーズンのつよい味方が

「ALA-FeSTA」である!

株が弱っている時は前回ご紹介したネイチャーエイド

と混合して葉面散布してあげるとより効果的で、

ボロボロになりかけていた樹も2年で調子を取り戻しました。

アミノ酸などの力で健康

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健康的に農業作物を育て病気を予防するアミノ酸の効果

健康的に農業作物を育て病気を予防するアミノ酸の効果

現在は栽培していませんが、トマトを栽培していたころ「青枯病」に悩まされていた時期がありました。

青枯病は恐ろしい土の病気で、この病気の原因である細菌が土に入ると土壌感染し、

畑に植えてあるトマトが全滅します。

この病気を克服するために研究機関もメーカーもありとあらゆる方法の研究を進めており、

・病気に強い「Tm-2a」台木に接木したり、

・土を一回一回替えることができる
「ココソイル」

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不耕起による「カリ過剰」の利用

不耕起による「カリ過剰」の利用

果樹園などは特に耕起することはないのでおのずと不耕起栽培になります。

以前、無肥料で野菜と果樹をやっていて

どちらも土壌診断していたんですが

耕起する野菜畑はシーズンごとにほとんどの養分が痩せていくのに対し、

果樹園はカリを減肥してくださいと指示があるほどカリが過剰になります。

なぜ肥料もやっていないのにカリが増えるのかは原因はわかりませんが不耕起栽培はカリ過剰になるのは事実です。

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「啓蟄」予防の効果を最大限にあげるために

「啓蟄」予防の効果を最大限にあげるために

3月6日は二四節気の「啓蟄」でした。
啓蟄は虫たちが眠りから覚め活動をし始める時期で、虫や菌の活動に合わせて農家も防除がはじまる時期になり果樹農家は「石灰硫黄合剤」を撒きます。

硫黄や銅は予防の効果が高く、天然のものであるため抵抗性がつきにくく、環境にも影響を及ぼさないのでこのふたつを中心に散布の計画をたてています。

予防はあくまで予防であり殺菌したり治療したりというような効果がなく発症した後

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