鎧を外して表現しよう。これまでにないアート教室【臨床美術の世界】
以前から気になっていた、臨床美術の教室。先日、見学と体験をさせてもらうことができたので、そのレポートを書きたいと思います。
臨床美術とは、認知症の予防や治療に使われるアートセラピーの一つで、楽しみながら作品を作ることで脳を活性化させる効果があります。
子どもの感性教育や、大人のストレス緩和にも効果が期待できるのだそう。(日本臨床美術協会より)
私自身は、小中学生のときに美術の授業が大好きでしたが、大人になってから、自分で絵を描いたり作品を作ることはほとんどなくなりました。
いつの間にか、受験や仕事には関係のないものとして、遠くへ行ってしまったような気がします。
色んな情報をインプットして、アウトプットして。効率的に仕事や家事をして。
そんな日常に、少し余白が欲しくなった。
だからきっと、アート教室に惹かれるものがあったのだと思います。
土曜日の午前9時半。小学生5人がやってきて、緩やかにアート教室がスタートします。
講師のみり先生は、「足の長い鳥は?」「足の短い鳥は?」と子ども達に問いかけ、鳥の話で盛り上がります。
そして、ワイヤーを手渡して、「適当でいいよ」と声をかけながら、鳥を作ってみてと伝えます。
子ども達は、思い思いの鳥を作る。
「鳥の形じゃなくていいの?」「マジでどんな形でもいい?」と子どもに聞かれると、みり先生は「いいよ。自分の鳥だからね」と返す。
雑談しながら、みり先生も一緒になって鳥を作ります。
ワイヤーで形ができたら、紙粘土、和紙で装飾し、それぞれの鳥が完成。
最後は一人ひとりの作品をみんなで見る鑑賞の時間。みり先生は、一人ひとりの作品のどんなところが素敵か、丁寧にコメントしていきます。
子ども達は照れながらも、とても嬉しそう。
私が体験させてもらったのは、紙にオイルパステルを使って絵を描くアート。
みり先生は、見本を見せながら簡単な指示をします。
「好きな色を取って、下から上に線を引いて」
「今度はパステルを横にして太く引いてみて」
「次は力を入れて、途中から抜いて」
これなら誰でも描ける。
そして、次に「嫌いな色を選んで、今日はこの色と仲良くなりましょう」と言います。
どれにしようかと悩み、私は普段はあまり使わない紫を選びました。
また簡単な指示。カクカクとした線を描いていきます。その後は、指で擦ってみる。
最後に、「全部の色を使って、塗りつぶしたり、しましまを描いたり、丸を描いたりしてみてください」と言います。
私は自分の紙とオイルパステルを見て、塗ったり擦ったり、ただその時間を楽しみました。
作品が完成した後は、子ども達にやっていたのと同じように、鑑賞の時間があります。
私の描いた絵も、みり先生は、「黒って使うのが難しい色だけど、とても上手く使っていてアクセントになっていますね」と丁寧にコメントしてくれます。なんだか照れる。けど、嬉しい。
大人になってから、こんな小さなことを肯定的にフィードバックされるなんて、ほとんどないような気がします。
子どもにとっても良い時間なのだろうけど、大人にこそ良い時間なのでは?と思ってしまいました。
教室が終わった後にみり先生に話を聞くと、
「自由に描いて」と言うと、何か知っているキャラクターを描いたりして終わってしまう。けれど「青を出して、線を引いて」と簡単なことから始めると、段々と“上手く描かないといけない”という鎧が外れるんです。
と、そんなお話をしてくれました。
まさに、その体験をさせてもらいました。
臨床美術の教室は、アートのセンスなんて関係ない。老若男女も関係ない。ただ自分の作品づくりに没頭できる。
そして何より、自分を表現し、鑑賞することで、自分をほんの少し知れたような気になる。そんな教室でした。
講師のみり先生は、普段はフェリシモで働くチョコレートバイヤーさん。
髪飾りもネックレスも腕時計も、身につけているものチョコレートのデザインばかりなのです^^
臨床美術の教室の詳細はこちら
これまでは子どもか親子向けクラスのみでしたが、来月から大人向けクラスもスタートするそう。気になる方はぜひ。(私はもう行く気満々です…!)
最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。