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大阪にある築100年の古民家で、自分を生きる。社会を生きる。デモクラティックスクール「ASOVIVA」

大阪の南東に位置する南河内郡河南町。富田林駅から車で12分ほど走ったところにあるのが、デモクラティックスクール「ASOVIVA(あそびば)」です。

私の自宅からアクセスの良い場所にあるこのスクールの存在は、以前から気になっていました。先日、ASOVIVAのホームページを覗くと、一般の人でも見学をさせてもらえるという案内が。早速申し込みをして、訪問させてもらいました。

この記事では、デモクラティックスクール ASOVIVA の様子と実際に訪問した私が感じたことをご紹介したいと思います。

やりたいことの中に、必要な学びが詰まっている

静かな住宅地の中に、カラフルな ASOVIVA の看板が見えてきます。

敷地内に入ると、左手に障子が。ここが入り口です。

出迎えてくれたのは、スクールの代表である長村知愛さん。小学校5年生から自身が学校に通わない選択をし、14歳から多様な子どもたちが学べるスクールの立ち上げに向けて活動を始めました。なんと先日20歳になったばかり。

ハタチと聞くとその若さが強調されますが、知愛さんが発する一言一言からは、これまでずっと「子どもが育つ環境」を真剣に考え続けてきたことがわかるくらいの深さと信念の強さを感じました。

「遊びと学びの線引きはしていません。やりたいことの中に、必要な学びが詰まっているからです。困ったことが起こったときに、人は学ぶんだと思います」

まさにそう。遊びと学びの境界線は曖昧なもので、本人以外の誰かが評価するべきことではありません。やりたいことに熱中する中で、気づけばそれが学びに変わっているのだと思います。

民主的な環境で、自由と責任を学ぶ

ASOVIVAは、子どもと大人が対等な立場で関わるデモクラティックスクール。カリキュラムや宿題、テストなどはなく、先生もいません。スクールは10時から17時まで開いていますが、いつ来ていつ帰るかも自分で決めることができます。もちろん日中の過ごし方も自由。朝と夕方にはミーティングがあり、最後に掃除の時間があります。

「自由」とは言っても、何をしてもOKではありません。自分の自由が尊重されると同時に、他人の自由も尊重することは当然求められます。

人と人がともに過ごす中で、「何もトラブルが起こらない」なんてことももちろんありません。何か困ったことがあったときには、ミーティングの議題に出し、みんなが納得するまで話し合います。ミーティングによって新しいルールが決まることもありますし、ルールが変わることもあります。

知愛さんは、子ども達が卒業するときの状態を、こう話してくれました。

「一人ひとりが自分の人生に責任を持って生きていけるような人になってほしいと思っています。ただ、『責任を持つ』というのは、果たせなかったら誰かに罰せられることを意味するのではありません。自分で選んだ結果を自分で引き受けることです」

ASOVIVAは、民主的にあらゆることが決まっていくスクール。責任を持つことを学ぶ環境が整っていると感じました。

今、どこで何をする?を自分で決める

スクールの中は、ミーティングや勉強をする部屋、音楽室、創作室、図書室、ゲーム室などに分かれていて、子どもたちはそれぞれが好きな場所で過ごします。

この日は雨だったこともあり、いつもより来ている子どもが少なかったよう。朝のミーティングを終えてからは、室内でカードゲームをする子、トランポリンをする子など、思い思いの過ごし方をしていました。

誰かの顔色を伺ったり、今何の時間ですか?と聞く子どもは1人もいません。自然体と言ったらいいのか、どの子どももありのままの自分で過ごしているように見えました。

中に入ってすぐにあるスペース
昔お店をやっていた後がそのまま残っている、隠れ家のような場所
壁一面がガラス戸になっていて、光が差し込む縁側
ハンモックになっ転がりながら過ごすのも気持ちが良さそう
創作室には寄付で集まったたくさんの道具が
図書室に置いてある本も、すべて寄付で集まったもの
本を読むスペース
中庭に出ると蔵があり、ここが音楽室になっている
蔵の中には本格的な楽器がずらり
広々とした中庭
トランポリンも自由に使うことができる
子ども達が描いた、ASOVIVAの未来図

人と人が緩やかにつながる、くつろぎ自由研究室

現在、ASOVIVAの子ども達を中心に新たに動き出しているプロジェクトがあります。

スクールからほんの近くにある薬屋さんだった古いお店。この空間を改装して、みんなで新しいお店をつくろうとしています。名前は「くつろぎ自由研究室」。

子どもや地域の人がお店を出したり、イベントやワークショップをしたり、コミュニティを広げる場所として活用していくのだそう。(このプロジェクト、私も何らかのかたちで関わらせてもらいたい思っています…!)

「困ったときに人に頼れることも自立の一つ。どれだけ人と繋がれるかも大切なことだと思っています」知愛さんの言葉から、このプロジェクトもASOVIVAの理念としっかり繋がっていることがわかります。

子ども達だけではなく、地域の人が交差するこの場所がこれからどう変化していくのかが楽しみです。


2019年4月にスタートしたASOVIVAは、今年で開講4周年を迎えたそう。在籍する子どもの数は、現在35人。たくさんの方の応援があることを聞くと、ASOVIVAが本当に多くの方の希望となっていることがわかります。


子ども達が来ている忙しい時間帯にも関わらず、2時間以上も丁寧にお話を聞かせてくださった知愛さん、そして温かく迎えてくださったスタッフの皆さま、ありがとうございます。

スクールの詳細は、以下のホームページからご覧ください。

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最後までお読みいただきありがとうございます(*´-`) また覗きに来てください。