タッチケア(触るケア)で、幸せホルモンのオキシトシンが分泌され、痛みの緩和、認知症の人の乱暴な言動が減るなどの効果。声を聞くだけでも分泌
「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」。
例えば、実験によると、5分間、人と抱き合う(ハグする)と、カップル同士ではなく友人同士などでも、オキシトシンが増えて(ホルモンの量は唾液を採取して調査)、幸せな気持ちになる。
そのオキシトシンが、「タッチケア(触るケア)」によって増加するということが注目されている。
スウェーデンでは、医療の現場や保育所、小学校でもタッチケアが行われ、痛みの改善・解消、子どもによる問題行動の減少などの効果が出ている。
日本でも、7年間、24時間365日、リウマチで痛みに苦しめられていた人が、10分間、背中を触って(さすって)もらうタッチケアを受けたら、楽に歩けるようになり、痛みが消えた。
また、認知症の人に対しても、毎日10分間、1週間、タッチケアを行ったところ、乱暴な言動や徘徊がなくなった。
※フランス発祥の認知症ケア「ユマニチュード」でも、「触れる」ことが柱の一つとなっている。
タッチケアは、病気などを治療できるわけではないが、症状の改善が見込める。
ストレスがかかったとき活発化する、脳の扁桃体を、オキシトシンが和らげるのだ。
触ることによって興奮状態を収めることは、人間だけでなくチンパンジーやサルなど動物にも効果がみられる。怒ったりけんかをしたりしても、触れ合うことで気持ちを落ち着かせるのは、共同体が崩壊するのを防ぐための知恵だという。
直接触れられなくても、電話などで大切な人の声を聞くだけでも、オキシトシンが分泌される。その結果、ストレスが軽減する。
そうした人間の存在を、ロボットで代用できるかという試みもなされている。
研究の結果、人の声を電話などで聞きながら、それに加えて、人間本人でなくても、抱き心地が似ているもの(抱き枕でもOK)を抱き締めると、オキシトシンの分泌がさらに促され、「幸せ」になれる効果があることがわかった。
※コンテンポラリーダンスなどのワークショップで、ウォーミングアップなどとして、参加者同士が体に触れることがある。その際も、気持ちが落ち着き、安心し、眠りに落ちそうになることがある。
Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash
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