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わかりあわなくてもいい感情を、記録しておくことについて アクト・オブ・キリング感想

アクト・オブ・キリングという映画を見た。 https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0-%E5%AD%97%E5%B9%95%E7%89%88-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AF%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%B3%E

    • 「さみしい夜にはペンを持て」よかった!

      「さみしい夜にはペンを持て」という本を読んだ。すごくいい! とりあえず感想をバーっと書いてみる。 良かったところ ・おしゃべりと文章の違い。文章を書くというのは答えを出そうとすることだ、というところ。とりとめのないことばと計算式を解くように場合分けしてるときのことばは確かに違うなあ。 ・本を読んで「感動しました」の言葉しか出ないとき、本当は「感動」の二文字に収まらないこころの動きがあったはず。ことばをもっと真剣に考えよう、のところ。こんぶチップスの例えわかりやすい!しかし真

      • 本物のキュービックジルコニア

        自分をキュービックジルコニアだと思うことにしたら、精神が安定した話をする。 キュービックジルコニアという鉱石がある。 見た目がダイヤモンドに似ているため、ダイヤの模造品として人工的に生産される物質である。 精巧なものは、専門家でないとダイヤと区別がつかないと言われる。 「本物の」ダイヤという言葉遣いをするときの「本物」とは一体何なんだろう、と疑問に思ったことがある。専門家でないと区別がつかない精巧なキュービックジルコニアは、なぜ「偽物の」ダイヤと呼ばれて価値が劣るとされる

        • あたたかいものとつめたいもののはなし

          つめたいものが好きだ。 つめたいものは、ひとの手から離れているもの。 腐敗しないようにひんやりしている冷蔵庫、ひとの手を煩わせないようなシステム。 工業製品の、たくさんのひとへの配慮が見られるデザイン。 気を使わせない、さまざまな構造。 あたたかいものが苦手だ。 あたたかいものは、ひとの体温が伝わってくるもの。 ひとのオリジナリティが伝わる作品、個別対応の癖がみられるもの。 この世にひとつだけの、自分をいたわったデザイン。 わたしに気を払う、さまざまな構造。 あたたかいも

        わかりあわなくてもいい感情を、記録しておくことについて アクト・オブ・キリング感想

          動物は"楽園"に耐えられないという話

           ネズミ社会の実験で、「外敵や病気などの驚異がない、生きることに全く不自由がない楽園を作ったらネズミ社会はどうなるか?」という実験を行った人がいるそうな。  結論から言うと、そんな社会はすべて滅びた。25回やってすべて滅びた。  自分は日本社会に対して、「日本人が幸福度低いのは、生死に関わるような危機が少なすぎて”生きてて良かったー!”と実感できる人の濃度が低いから」だと思っているのだけど、この実験結果はそんな”楽園”を維持した社会は滅びる、という結果に思える。  少し前

          動物は"楽園"に耐えられないという話

          クソデカ蕩尽会場としてのマインクラフト

          ジョルジュ・バタイユの「呪われた部分」を読んでいる。「人間のエネルギーが抑圧されてバーっと弾けるとだいたいロクなことにならないよね。生産性とか気にしないで、(なるべくハッピーに)エネルギーの無駄遣い(蕩尽)しようぜ!」みたいなことが書いてあり、うんうんと思いながら読んでいる。 そんな中、友人から「マインクラフトおもろいよ」と聞いてダウンロードしたり色々動画見たりした。 「マインクラフト、名前は聞いたことあるけど何やってるかよくわかんないな~。なんかカクカクしたグラフィック

          クソデカ蕩尽会場としてのマインクラフト

          2022年の抱負

           今年の抱負は、「物理アバターをちゃんと動かす」にしたいと思う。  なるべく行くのがめんどくさい場所、そういうところに身体を動かしていきたい。  コロナ下において、人流・物流が今まで通り資本主義的なめらかさをもって動くということがなくなってしまった。そこには地政学的な力学が働き、「出生ガチャ」がかなり行動に制限をかけるようになった。  日本国民である自分は、相対的に見てめちゃくちゃ行動幅のある位置に存在してると思う。政権に融和的であろうと批判的であろうと、関心を持つことも

          2022年の抱負

          「いずれ全てが機械化される」は本当か?

           「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」という本を読んでいる。今回は第6章の話をする。  「仕事は全て機械化され、人は機械に仕事を奪われてしまう」というよくある説が載ってたので、いい機会だと思って反論してみた。  第6章は「恐るべき機械の呪い」という題である。機械化が進むと以下のようになると筆者は主張している。 ①機械化が進み、生産コストが減る ②コストが減ったので人員の削減が起こり、人間に賃金が渡らないので経済全体に回る金が減る

          「いずれ全てが機械化される」は本当か?

          大人のための国語ゼミを読んだら文章の整理整頓の仕方がわかって嬉しい!という話

          大人のための国語ゼミという本を読んでワイワイする会をこの前やった。 大人のための国語ゼミというのはこの本である。 「わかりやすい文章がよいのはわかる。でもわかりやすいって何?」と長年思っていたのだが、この本を読んで目からウロコが落ちる体験をめちゃくちゃした。要は自分は、文章の整理整頓ができていなかったのである。 「大人のための国語ゼミ」は8章からなっている。このうちの「第3章 言いたいことを整理する」と「第4章 きちんとつなげる」が特に良かった。 まず第3章の話をする

          大人のための国語ゼミを読んだら文章の整理整頓の仕方がわかって嬉しい!という話

          敵センサーと人権バグ

           ひとはよく嫌いなひとの近くに寄りがちだな、と感じていて、それはなぜだろう?とずっと疑問に思っていた。例えば、嫌なツイートしまくってる人をわざわざ見に行ってしまうとか、そういう心の動きだ。嫌なものについ近寄ってしまうのはなぜなんだろう?  そこで、「人には敵を排除するために敵に近づく性質があり、敵に近づいたあと敵を排除できないと、その場に留まってしまうというバグがあるのではないか?」という仮定が思い浮かんだ。  敵はなるべく排除したい。それは全動物の願いだと思う。群れの安

          敵センサーと人権バグ

          やわらかい食べ物と資本主義のやさしさ

           自分は資本主義のやさしさを歯で感じていた、という話と、資本主義のやさしさの話をする。  歯が悪くなったのをしばらく放置していた。この前やっと歯医者に行ったのだけど、医者に行く前と後では食べられるものが全然違うことがわかって、世界が変わった気がして嬉しかった。  歯が悪いときには、自然とやわらかい食べ物ばかりを探していた。日本は高齢者にやさしい国なので、やわらかい食べ物を探すのは難しいことではなかった。  やわらかい食べ物は、大抵は機械によって粉砕されたものだった。成型肉

          やわらかい食べ物と資本主義のやさしさ

          時間軸と人間性、あるいは気づきの話

           人は情報を食うと気づきになり、過去や未来から情報がダウンロードできるのではないか?という話をする。わけがわからないと思うが、すごく面白い話なので聞いてほしい。  最近、人間の精神性は時間によって作られていることがわかってすごくびっくりした。  多分「当たり前だろそんなの」と思う人も多いと思う。でも自分はマジで本当に知らなくて、「こっちの方向、動けるの!?」ってなった。二次元平面に生きる生物が三次元空間を知ったような気分だ。  そこで、「情報の空間座標の時間的変化を知り、

          時間軸と人間性、あるいは気づきの話

          アルベール・カミュ「異邦人」の映画版(ルキノ・ヴィスコンティ作)を見てきたよという話

           ルキノ・ヴィスコンティ氏が撮った、アルベール・カミュ作の「異邦人」の映画を見ました。自分は映画には全く詳しくないのだけれど、カミュの「異邦人」については偏執的なまでに好きな作品なので、今回映画版を見れてとても嬉しい。  早稲田松竹が7/3〜7/9までヴィスコンティ祭りをやってるらしいので、全人類見てください。 http://wasedashochiku.co.jp/archives/schedule/10799  ネタバレ等気にする人は見ないでください。 ・最後のムルソ

          アルベール・カミュ「異邦人」の映画版(ルキノ・ヴィスコンティ作)を見てきたよという話

          所有が苦手なのでコンビニ(広義)を増やしたい

           何かを持っていることが苦手だ。正確には、昔自分が何を持っていて、どこにそれを保存していたかを覚えておくのが苦手だ。だから、必要なものはその都度現地で買えるか借りれる世界になってほしいと思っている。  よくイヤホンをなくす。買っても買ってもなくすから、出先では音楽を聞かない。どうしても音が聞きたいとき、コンビニでイヤホンを買う。東京はコンビニがどこにでもあるから、いつでもイヤホンが買える。「金さえ払えばいつでもコンビニからイヤホンがダウンロードできる現代に生まれて本当に良か

          所有が苦手なのでコンビニ(広義)を増やしたい

          「電気サーカス」を読んだ

           「電気サーカス(唐辺葉介)」を読んだ。とても面白い話だけど、かなり露悪的な「電気サーカス」なので、万人におすすめできる感じではないなあというのが全体としての感想。 https://www.amazon.co.jp/dp/B00GU6A8YG/ref=cm_sw_r_cp_awdb_c_Dmw9FbYGW5QCM  向精神薬乱用やら、(当時の)合法ドラッグやら、酒びたりやら、セックスやら、暴力やらがガンガン行き交う最悪シェアハウスの住人の破滅人間の話を、そのまま小説という

          「電気サーカス」を読んだ

          カルピスの出し方と薄め方の文化について

           ここでいうカルピスは、アウトプットされた思考のことをいう。  いわゆるオタク(専門家集団)の文化では、各人のカルピスは薄めずに出すのが礼儀である。それぞれこだわりのカルピスを市場に出して、客がそれぞれ自分で持ってきた水で好きなように薄める。オタクがそうするのは、客の舌を尊重するからである。カルピスを提供する側から濃度を指定するのは、客を尊重していないという考え。  対して、非オタク集団では、カルピスはあらかじめ薄めるのが礼儀である。カルピスのラベルに「これは○倍濃縮です

          カルピスの出し方と薄め方の文化について