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中国語あれこれ

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儒林外史 第一章 序にかえて (5)

儒林外史 第一章 序にかえて (5)

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翟の報告を聞き、知事は思った。
「なにが病気だ! きっと翟のやつ、農村で威張り散らして、縮み上がらせたんだろう。これまで役所の人間に会ったことのない若造だから、すっかり怖くなってしまったに違いない。危先生の頼みだというのに、連れてこられなかったとなれば、私のメンツは丸つぶれだ。ここは私自ら村へ行って、相手の顔を立ててやり。困らせるつもりはないと分からせれば、自ずと肝も太くなってくる

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儒林外史 第一章 序にかえて (4)

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翟は里へすっ飛んできて、秦さんの家に着くと、王冕を呼び寄せて事の次第を話した。王冕は笑って言った。
「左様でございましたか。しかしこの王冕は一介の農夫でございます。畏れ多くもお話しなどとんでもない。謹んで辞退いたしますとお伝えくださいませ。」
調達役の翟は顔をこわばらせ、だんだん赤くなりながら言った「せっかく知事殿が来なさいと言っているのに断るやつがあるか! そもそも今回のことは俺

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儒林外史 第一章 序にかえて (3)

儒林外史 第一章 序にかえて (3)

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ある日、秦さんと話をしていると、外から一人の男が入ってきた。頭に三角屋根の帽子をかぶり、真っ黒な服を着ている。秦さんは出迎え、椅子を勧めた。この人は翟という人で、諸暨県役場の庶務課を仕切ったり、資材調達をしている。秦さんの息子さんが彼にお世話になっていて、ここにはよく来るらしい。秦さんは息子にお茶をお出ししなさいと声をかけ、鶏をつぶして煮物を作った。その間、王冕が翟さんの相手をする

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儒林外史 第一章 序にかえて (2)

儒林外史 第一章 序にかえて (2)

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王冕がぼんやりそう考えていると、遠くの方から、大男が肩におかもちをかついで近づいてくるのが見えた。もう片方の手には酒瓶を下げている。おかもちの上にはフェルトの敷物がかかっている。柳の下までやってくると、敷物を広げ、おかもちを開いた。さらに、学者帽をかぶり、きれいな直綴を着た3人の男たちがやってきた。1人は紗の入ったサファイヤ色の直綴、あとの2人は墨色の直綴を着ている。みな四、五十代

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儒林外史 第一章 序にかえて (1)

儒林外史 第一章 序にかえて (1)

人生南北多歧路。将相神仙,也要凡人做。
 百代兴亡朝复暮,江风吹倒前朝树。
功名富贵无凭据。费尽心情,总把流光误。
 浊酒三杯沉醉去,水流花谢知何处。

“人生には数多の分かれ道があり、将相、神仙もまた凡人からなる。百代の興亡は朝暮を繰り返し、江風は前朝の樹をなぎ倒す。
功名富貴に縋っても、心を使い果たし、ただ時を失うのみ。濁酒三杯の酔いに沈めば、落ちた花の流れ行く先がわかるだろうか。”

よく歌

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中国語表音法へのエスペラントの影響

中国語表音法へのエスペラントの影響

【中国語ピンイン誕生60周年記念】

 中国語をラテンアルファベットで表記する方法として、現在、世界では広く「漢語ピンイン(Hànyǔ Pīnyīn)」が用いられている[1]。漢語ピンイン成立以前には、中国語母語話者のために「国語ローマ字(Gwoyeu Romatzyh)[2]」や「ラテン化新文字(Latinxua Sin Wenz)」が作られ、使われており、漢語ピンインの基礎となった。特にラテン

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中国語入門者に知っておいてほしいピンインの -n と -ng

中国語入門者に知っておいてほしいピンインの -n と -ng

事実上、中国語学習の唯一の登竜門である「汉语拼音」。多くの学習者が振い落される第一の難関である。ここを通る者だけが中国語発音の奥義を体得すると言われることから、その高い難度にも関わらず、日々挑戦者は絶えないという。

こんにちは。つぁいにゃおです。

今日はピンイン学習者を最初に迎え撃つ騙しの石「-n と -ng」について考えてみましょう。

ものの本にはもっともらしく、次のように書いてあることが

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