りんがる aka 大原ケイ

最近は東京ベースの文芸エージェント。日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘…

りんがる aka 大原ケイ

最近は東京ベースの文芸エージェント。日本の著作品を欧米マーケットに売り込むべく孤軍奮闘中。Hon.jp、文化通信にて海外の出版ニュースやコラムを提供中。

マガジン

  • アメリカの書籍出版の基礎知識

    よく聞かれるアメリカや、ひいてはヨーロッパの書籍出版産業の全体像をそのうち本としてまとめたいので、思いついたことから少しずつ書き留めていきます。

最近の記事

物議だけは醸したトランスジェンダー否定本の原書や著者について書いておきたいこと

なんだかんだで騒がれて、結局その話題性でアマゾン1位になったらしい、あの本。リンク貼るのも、メンションするのもイヤなんで、「〜になりたい少女たち」とだけ。 その本について、原書の出所についてだけ書いておくと。 Regneryって版元の名前聞いただけで「あ゛〜」って声しか出ないわ。この出版社は首都ワシントンにある、規模としては中堅出版社って感じのとこ。ちなみに大手のトップ出版社はみんなニューヨークにあるんで。確か去年くらいに、テキサス州(テキサスに出版社なんてあるんかい?っ

    • アメリカ司法システムから考える、水原一平の違法賭博で、何がどういう風に起こったのか

      いやでも目に入ってくるニュースなんですが、日本のマスゴミでコメンテーターががあまりにも無知でトンチンカンな解説をかましているし、アメリカの法律に詳しい弁護士コメンテーターの先生方は、いつもworst case scenario(最悪の事態)をかまして、おどろおどろしい見出しになってるし、だからここではmost likely(いちばん可能性の高い)事情を書いていくよ。 実はアメリカの警察って、違法賭博でギャンブルしている人を狙って調査したり、罰したりしないんですよ。日本だとス

      • アメリカだと本の仕入れは買い切り?返品可?

        たまに出版関係の人に聞かれてビックリするのが「アメリカって本は買い切りなんですか?」という質問。まぁこういう基本的なことってかえって調べにくいかもしれませんね。そもそも「買い切り」って英語でなんていうんだろ?ってのもあるだろうし。辞書で出てくるoutright purchaseとか、one-time purchaseとは言わないし、buy outだと企業の話だしw なんていうのか?といえば、「返品可」の英語がreturnableなので、「買い切り」はnon-returnab

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        • ろくでもない宗教が女をがんじがらめの不幸にするから逃げるっきゃないよね、って映画2本

          たまたまネットフリックスで続けて観た近年の映画2本が同じようなテーマを追求してて面白かったので書いておく。別にネタバレする気はないんだけど、とりあえず一緒に観ると面白いかと。 共通点: *一方は19世紀アイルランドのこてこてカソリックの田舎村、もう一方は現代の南米ボリビアに移住した超保守派のメノナイトのコミュニティーが舞台で、男性による未成年女性への性加害と、それを隠蔽したい男性リーダーグループの間で苦しむ女性(たち)が主人公。 *女性はろくに教育も受けられず、ただ盲目

        物議だけは醸したトランスジェンダー否定本の原書や著者について書いておきたいこと

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        • アメリカの書籍出版の基礎知識
          1本
          ¥500

        記事

          以前から読まねばと思いながらもいつ読んでも同じかなと思っていた河野至恩さんの『日本文学の翻訳と流通』近代世界のネットワークへ、を読み終わりました。まぁ、今までの話は色々とありますが、今の日本文学の読まれ方、これからについて語るのであれば一言お声がけいただければ、と思います。

          以前から読まねばと思いながらもいつ読んでも同じかなと思っていた河野至恩さんの『日本文学の翻訳と流通』近代世界のネットワークへ、を読み終わりました。まぁ、今までの話は色々とありますが、今の日本文学の読まれ方、これからについて語るのであれば一言お声がけいただければ、と思います。

          ミラノの女子大生がニーハオ言って笑い転げている映像のコンテキスト

          イタリア人の女子大生3人が列車内でアジア人客を見ながら「ニーハオ」っていって爆笑しているTikTokの動画がなぜか日本でもバズっていたようだけど、色々とコンテクストが足りなくて、何が起こっているのかわかっていない人も多いようなので、あくまでも個人的な背景の説明を試みようと思った次第。 まず、イタリア人気質というか、アメリカとかイギリスとかとも違う理解の仕方な。おそらくこれ、レイクコモ(ジョージ・クルーニーとか、アメリカ人にも最近は人気のあるらしい湖畔のバケーションスポット)

          ミラノの女子大生がニーハオ言って笑い転げている映像のコンテキスト

          アマゾン(Books&Devices)の解雇キター!

          つい先日のJEPAのセミナーで「アマゾンのリアル店舗閉店は特にニュースバリューはないけれど、ジェフ・ベゾスがCEOの座を去った後のこれからのアマゾンでは、Booksは他の商品と同じカテゴリーでしかない」ってなことを言ったんだけど、早速、Devices and Books部門でレイオフが発表された。

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          ファクトチェッキング団体ってそもそも何?って人にとりあえずアメリカのを紹介してみる

          日本にもようやくファクトチェッキングの団体ができたようで、そのこと自体は悪いことではないとは思うものの、早速ツイートに「2022年の大統領選挙では〜」みたいなまつがいがあったみたいで、どうなることやら。 アメリカでも、テレビや新聞などの大手メディアの偏向報道が激しく、保守とリベラルじゃ異次元か?ってくらい伝えられている情報世界が違うし、SNSではQアノンやロシア発の陰謀論が渦巻いている状態なので、果たしてファクトチェックをやってる団体があったからって何かが良くなっているとい

          ファクトチェッキング団体ってそもそも何?って人にとりあえずアメリカのを紹介してみる

          アマゾンの流通倉庫で北米初の労働組合ができたことの意味

          (結局、長い文章になったんで、小見出しをつけました。興味のない部分は飛ばしてもらっても結構です。私もずいぶん成長したなw) 4月1日に流れてきたこのニュース、最初はエイプリルフールかと思ったよね。 いや〜、ニューヨークのニュースだったから気にはなってたんだけど、昨年アラバマ州でも労組結成運動が盛り上がってた時も結局ダメだったし、今回も無理だろうなぁと思っていたので投票日のことも忘れていたんだけど。なもんで従業員の過半数が賛成票を投じたと知って「なんと天晴れな!」とビックラ

          アマゾンの流通倉庫で北米初の労働組合ができたことの意味

          ブームになってるWordle、3回で当てるコツ

          ニューヨーク・タイムズ紙のクロスワードパズルはずっとやっているので、今さらSUDOKUなんてできないぜ、と思ってきたし、黄色と緑のWordleのタイルがSNSで上がってきても、これ以上毎日のルーティンを増やしてもなぁ、と思っていたが、やっぱり始めてしまった。 コツを掴んだらだいたい毎回3行でできるようになったので、そのコツを伝授しとく。基本、英語の語彙がそこそこあるのを前提にしてます。SNS見てると、答え出しときながら、意味知らねーとか言ってる人も結構いて、こっちが驚く。私

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          ブームになってるWordle、3回で当てるコツ

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          ハニヤ・ヤナギハラの新作は相変わらず長くてくどくて一気読みするしかないTo Paradise

          ハニヤ・ヤナギハラの新作、To Paradise、読み終わりました。相変わらずヤナギハラ節全開です。 つまり、長いんですよ。(3部構成、700ページ) くどいんですよw でも読み始めるとやめられない。あんなに先が長いと思ってたのに、いざページ数が残り少なくなってくると、終わっちゃうのが惜しくなってくる。そして今回の作品は題名の通り、主人公が「もしかして幸せになれるかも?」って新天地を求めて出発するところでイキナリ終わるんですよ。それが3連発。その先ハッピーエンドなのかも

          ハニヤ・ヤナギハラの新作は相変わらず長くてくどくて一気読みするしかないTo Paradise

          ラーム・エマニュエル駐日大使はなかなかのやり手で曲者で食わせ者だぞ、楽しみなことに

          去年の話で申し訳ないが、ラーム・エマニュエルが結局、駐日大使に無事に承認されたと聞いて、思わず「うぎぇ!」とか「んぐ!」みたいな音をたててしかめっ面をしてしまいました。誰も欲しがらない花いちもんめなジャイアンが隣に引っ越してきたのび太とでも言いましょうか、これは日本側の外交担当者も苦労するだろうなw 日本のマスゴミは彼のキャラなんぞ理解してないだろうから、過去の親日あるいは嫌日エピソードを探し出して、一方的に何の意味もない期待したり、警戒したりするのが今から目に見えるようだ

          ラーム・エマニュエル駐日大使はなかなかのやり手で曲者で食わせ者だぞ、楽しみなことに

          日本の選挙は諦めがついてたりもするのに、バージニア州の州知事選で胃がキリキリ

          まさかこんなことでトニ・モリソンを再読しようかな、という気になるなんて…ちょっとそれはそれで情けないんだけど。 アメリカの赤い州、青い州ってよく分けて呼んでるでしょ? でもその境目ってどうなってるのか、例えば州境のあたりを旅するとどういう感覚なのかわかんないよね? 目の周りの景色が赤かったり青かったり、色がついてるわけじゃないんだから。ハロウィーンといえども赤鬼みたいな人やアバターみたいな人が歩いているわけじゃないんだから。 で、その昔、東海岸をニューヨーク(真っ青)から

          日本の選挙は諦めがついてたりもするのに、バージニア州の州知事選で胃がキリキリ

          経歴詐称とか、ロン毛がどうとかでネチネチイヂめてんじゃねーよ、みっともねーな

          小室とかいう御仁のことは全く知らないし、興味もない。若い2人が結婚したい、って言ってるんだから勝手にさせとけばいーだろ。 何としても彼のことを叩きたいマスゴミが多いようで、文春砲も「経歴詐称」とかって言ってて、アメリカの就職事情なにも知らないんだな、って笑った。日本の履歴書って学歴とか、資格とか、写真(つまりは見た目)がどうとか、誤魔化せない細かいところにうるさいけど、それって「仕事ができる」ことの保証にはならないよね。 英文のレジュメってのは、どう自分の能力を文章で表現

          経歴詐称とか、ロン毛がどうとかでネチネチイヂめてんじゃねーよ、みっともねーな

          Personal Grievances of 9-11 ー20年経っても収まらない怒りがあってだな

          なんだかんだ言ってもう20年も経つんですね、9-11のあの日から。これまでにも何度か節目にあれこれ書いてきたはずなんだけど、やっぱり薄れない記憶というのはあって。でも生々しい歴史の証言的な番組はあちこちでやっているので、興味のある人はそっちを見ていただくとして、とりあえず個人的に吐き出したくなったことだけ書いておきます。 私自身はたまたまあの日は数ブロック先のウォール街の高層ビルという、普段は寄り付かない場所にいたわけだけど、歴史に残る大事件といっても、近くで実際に目の当た

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          トランプ派議員にもカネ出さんと!と地雷を踏んじゃったトヨタ

          TOYOTAがアメリカでやらかしてしまって、かなりボコられている。ただし、日本のカイシャだから、ではない。 空気が読めなくて、政治献金をやめる潮時を見誤って、今や「アメリカ最悪の反民主主義企業」とマスコミに書かれている。これから東西の都市部でプリウスボイコットなどの不買運動が始まり、売り上げ激減、株価どん底〜につながりそうな。 日本の企業に限らず、出版社でもこういう目に遭う危険があることは、4月末にHon.jpに書いた。 つまりはこれ↓ ...これからはBLM運動の高

          トランプ派議員にもカネ出さんと!と地雷を踏んじゃったトヨタ