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Light Neon Studioというネオンスタジオをやっています。 ネオンについて…

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Light Neon Studioというネオンスタジオをやっています。 ネオンについてのあれこれ、私のメモのような備忘録を書いていきます。よかったらお付き合いください。

最近の記事

ネオンの技③

デザイン "ネオンで創作するには、線で考え、体積よりもシルエットとフォルムを重視しなければならない。" ネオンの主な要素は ⚫︎線 ⚫︎色 ⚫︎光 だと思っている。 したがって、 ⚫︎ネオンの色が背景やベースと合わさってどう見えるのか? ⚫︎曲げの上げ下げによってシルエットの邪魔をしていないか? ⚫︎輝度は違いすぎないか? こんな点に注意して形成している。 "ネオン・アニメーションの技術は、類似した、あるいは組織化されたスケールの並置を順次アニメーションで反復するた

    • ネオンの技②

      次は、ネオン管の中の不思議について。 "管の直径が小さいほど、生成される光は強くなり、必要な電圧も高くなる。電圧が高いほど、トランスの巻数が増えるため、物理的に大きなトランスが必要になります。" 管が細いということは、その分負荷がかかるということなので、電圧も高くなる。 だから、14φのネオン管よりも8φのネオン管の方が輝度が高い。 "希ガスの抵抗または電離性は、すべてのガスの中で最も低い。" どういうことかというと、 "これらのいわゆる希ガス(ヘリウム、ネオン、ア

      • ネオンの技①

        いよいよ、最後の章に入る。 最後はネオンをつくる技術について見ていこう! まずは、材料や設備のこと。 "ネオン工芸の不思議な点は、本質的な製造技術が、1912年にジョルジュ・クロードがパリで開発した当時のまま残っていることだ。工程の各部分は手作業であり、その性質上、機械化や標準化に抵抗する手作業なのである。" 100年以上前から、使っている設備や資材もほとんど変わっていない。これがいい事なのかそうでないのか。。ひとつ言えるのは、設備自体の作りが見た目ほど複雑ではないので、

        • 新しいネオン -作品-③

          この章最後は、目下興味津々のアールデコと、それに関連する建築とネオンを見てみる。 アールデコ建築の縦ラインに沿って「TOWER」のネオン。これは当時のベーシックというか、流行りだったのかなぁ? タワーレコードもきっと、こんなところから来てる気がする、、と思ったらやっぱり↓ どうやら、縦長の建物を「TOWER」と呼んで、それが目印の劇場の場合、タワーシアターとなるらしい。 ※1927年に設計者S・チャールズ・リーによって設計されたタワーシアターは、ロサンゼルスで初めてトー

        ネオンの技③

          新しいネオン -作品-②

          だんだんと、建築の設計段階からネオンが組み込まれるようになってくる。 "エルム・シティ・エレクトリック・ライト・スカルプチャー・カンパニーは、ネオンを最新の識別形式として使用し、照明器具の応用も提案した。" "ネオンのインテリア用途として、いくつかのパリのカフェの天井は、グラフィックデザインと照明の融合を示している。ここでは、発光管は後付けではなく、むしろ建築構想の一部であり、鏡面はすでに統合されたデザインに別の次元を加えている。" 数ページ前には、「光そのものは建築家

          新しいネオン -作品-②

          新しいネオン -作品-①

          現代作品の写真がたくさん掲載されているので、 見ていこう! "ボルド・メフィエルドのタワーは、ネオンを隠し光源以上のものとして使っている。 彼のネオンは、鉄が足場となるリズムを表現している。" "ニューヨークの127ジョン・ストリートのネオン・トンネルは、形と光の興味深い統合である。昼間に主に使用される玄関で、ネオンは人々を引き込む役割を果たしている。青いラインは光のスパイラルとなり、そこを人が通り抜ける。" "トーマス・スカーフによる「Tribute to Seton

          新しいネオン -作品-①

          新しいネオン⑥

          今日は、かわいい建築とネオン♡ "1930年代のアメリカの "流線型 "の外観は、磁器エナメル、スチール、ガラスと並んで、ネオンを建築材料として使用する試みだった。" ストリームラインモダン建築の時代! ストリームライン・モダンとは? ⚫︎フロリダ州を中心にアールデコ様式から派生し、流行した様式。 ⚫︎カーブした外形、長く延びた水平線、欄干や丸窓など海示的な要素を強調したもの。 "建築材料としてのネオンの認知は短期間で終わったが、ネオンという媒体が建築の効果的な要素に

          新しいネオン⑥

          新しいネオン⑤

          建築とネオン、まだまだ続く。 "1930年代のアメリカの劇場では、ネオンは大恐慌の中でハリウッドのファンタジーを映し出す一部だった。" アルゴンガスを発見した、ウィリアム・ラムゼーの弟子は、はじめてネオンが光ったのを見た時、 「Spellbound!」と言ったらしい。 "魔法がかった" とか "魅せられた" という意味。 そういうファンタジーや希望がないと、大恐慌とか乗り切れないよね。。 "ネオンは夜の建築物であり、メッセージである。ネオンはそれ自体が建築であり、それに

          新しいネオン⑤

          新しいネオン④

          次は、建築とネオンについて。 "しかし、建築家がネオンを看板としてだけ、あるいはファサードの装飾としてだけ考えるのは、視野が狭すぎる。" アールデコ→ストリームライン→グーギーときて、行き詰まったのかな? "残念なことに、多くの建築家にとって、ネオンはピンク色の粗悪な「ピザ」の看板に過ぎず、空間的・環境的要素として大きな可能性を秘めた媒体を、あっさり拒絶してしまう。ほとんどの建築家は、この媒体が自分たちのために何ができるかを考えたことがないのだ。" ネオンの前ではみん

          新しいネオン④

          新しいネオン③

          アーティストとベンダーの協力関係について、続く。 "ネオン彫刻を扱う美術批評家は、ガラス曲げ工の役割をもっと認識すべきである。" なぜなら、 "あるギャラリーの作品における重要な選択と決定の多くは、彼らによるものだからである。" どういうことだろう? "職人と構想者の共同作業によって、選択肢の幅や美的オプションは大きく広がるが、実現可能性の限界は職人の経験によって決まることが多い。" 前回にもメモしたように、ネオンは自由度が高いように見えて、実は非常に制限が多い。

          新しいネオン③

          新しいネオン②

          ネオン彫刻 "一部の例外を除いて、ネオン彫刻家は地元の看板屋でガラスを曲げてもらう。" ネオンは割れ物だから、わざわざ遠くから取り寄せることは滅多にしない。地域密着型の工業制手工業だと思う。 "彫刻家の中には、自分でガラスを曲げる方法を学ぶことに興味がある人もいれば、技術を学びたいとは思わない人もいる。" そこは様々だよなぁ。 完璧な曲げを自分でやり遂げるとしたら、数年単位の時間が必要になってしまう。 "しかし、後者の場合はたいてい、店の人と効果的にコミュニケーショ

          新しいネオン②

          新しいネオン①

          次の章は、新しいネオンの使い方。 だんだん、現代に近づいてきた。 "エネルギーが不足すれば、ネオンの技術革新に繋がり、建築やインテリアデザインに多くの新しい用途が生まれるのは必然である。" 新しい切り口を探すのは、当然だよね。 "ネオンには燃え尽きるフィラメントがないため、再点灯が必要になるまでの真空管の寿命は30年か40年かもしれない。変圧器の寿命は15年で、物理的なもろさにもかかわらず、この媒体は耐久性がある。" 私の知っている古着屋さんでは、もう40年も点灯して

          新しいネオン①

          世界のネオン -イギリス-

          最後は、イギリス。 "イギリスの状況はフランスと似ている。ここでもプラスチックが大流行しているため、古い会社はネオンに力を入れなくなってきている。" 1970年当時の欧米では、ネオンが既にかなり低迷していたことがよーくわかった。 "イギリスのネオンは、戦争から完全に立ち直ることはなかった。戦争後の深刻なエネルギー不足は、ネオンの発展を著しく遅らせた。" そんな、当時のエピソードがある。 奇跡のネオン!ではあったけど、、 戦後10年間もネオンが点灯されることはなかった

          世界のネオン -イギリス-

          世界のネオン -スウェーデン-

          次は、スウェーデン。 寒い国のネオンの違いに注目したい。 "スウェーデンのネオンは、主にドラゴンシネマのような大型の屋外看板に関わっている。" 「ドラゴンシネマ」と検索しても出てこなかったけど、スウェーデンの大きな映画館だったんだろう。 今回もまた、いいネオンなので見開き。。 "寒冷な気候のため、極端な温度に弱いアルゴンはほとんど使用されない。" ⚫︎気温の低いところでは、アルゴンガスは光が弱くなってしまうので、ネオンガスオンリー! ⚫︎そうすると、寒色系の色は蛍光塗

          世界のネオン -スウェーデン-

          世界のネオン -日本-

          さあ、いよいよ日本! "世界最大のネオン生産量を誇るこの国では、いくつかの大手ネオン会社が優位を占めている。" ⚫︎1970年代当時、オイルショックの影響もあり、日本の生産量も確実に減っていたと思うけど、それでも、当時は世界最大の生産量だったのかぁ。 ⚫︎大手の看板会社が優位を占めながらも、多くのMOM&POPのネオン屋さんが活躍していたんだ。 お父さんが曲げて、お母さんが排気する、とかね。 "その中でも、驚くほど多彩な色彩(常時40色が使用されている)と、どこよりも洗

          世界のネオン -日本-

          番外編 -ピカデリーサーカス-

          1924年のネオン全盛期。 皆んながネオンを手放しで喜んでいたわけじゃなかったみたい。この年のニューヨークタイムズに、(小説家の?)ジョージ・ムーアがこう書いている。 "ロンドンは美しくなければならない。しかし、例えば電光掲示板のような野蛮なもので、私たちのビジネスや今日の趣味を邪魔するようなことはやめよう。ピカデリー・サーカスは、その怪物のような電飾のせいだ。" "ピカデリー・サーカスは、野蛮人が発明したどんなものよりも馬鹿げている。どの惑星にとっても不名誉なことだ。人

          番外編 -ピカデリーサーカス-