500文字の読書録

24年5月 日商簿記3級取得/ 24年6月 建設業経理事務士3級勉強中/

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最近の記事

「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈(著)

 表紙カバーの女子が天下を取りに行く成瀬なのだろう。「笑う合戦屋」を想起させるたたずまい。その引き締まった表情は現代日本の女子高生というより風雲急を告げる戦場を眼下に見据え策を練る軍師に見える。外見が全てではないはずだが、明らかに只者ではない気を感じる。  そんな成瀬の思春期を周囲の視点から、コロナ感染症流行下の世相を交えながら紡ぐ。成瀬自身の視点も最後に明かされる。  人生の中年期にもなれば洞察力とでも言うべきか「こうすればこうなる」、「あの人はきっとこうなる」、「次の

    • 20映画「キングダム 大将軍の帰還」

       映画版キングダムにおいて王騎将軍は1作品目から登場し異様な存在感を漂わせている。正当な秦国所属ではなく私兵を率いている姿は雄大ではあるが不気味さも持ち合わせている。  私欲で動くタイプではないことを威風が語っているが、かと言って純朴なお人よしではなく抜け目のない計算高さや、相手が一国の王であろうと謙らない威厳は逆に危険さも感じさせる。  また10万規模の兵がぶつかり合う戦が紀元前に中華の地で行われていることも驚きである。五人の歩兵からなる伍の一員を経て、主人公の信は既に3

      • 19.『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』森永卓郎[著]

         著者である森永氏は研究者人生の集大成として、また遺書として本原稿を執筆したという気概で、その言葉に偽りはないだろう。だから彼のなす指摘が正しいという証左にはならず、錯誤が含まれている可能性も感じた。  まずジャニーズ事務所でのスキャンダルについて。これは既に国民の知るところになっており、私も表面的には理解している。  次に財務省の抱える闇について。これは国策への批判を含む彼の政治的信条が述べられている。なお日本政府の経済対策について批判を加えるなら、これを読むのは避けた

        • 18.「占」木内昇(著)

           探偵への依頼で多い案件は不倫調査だという。それで女性スタッフを雇う必要があると聞いた。では占いで多い依頼は何か。これも不倫である。若年から中年女性の人に言えない悩みとすれば、相場通りであるかもしれない。   では不倫の恋ではあるが相性も互いの運気もよいとしたら応援すべきか。それでトラブルに発展した場合、占い師に過失は問われないのか。止めてほしいのか、応援してほしいのか。止めるべきなのか。応援するべきなのか。  本書を読むと占いを受ける人にも占いをする人にも、占い自体にも

        「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈(著)

          17.【「命」の相談室 僕が10年間少年院に通って考えたこと】 ゴルゴ 松本(著)

           著書であるゴルゴ松本氏のギャグ「命」が生まれた経緯と、その先に広がっていた「命の授業」。好きなことを一直線に追い求める彼の生き方、高校球児がお笑い芸人を経て講演活動を行うようになるまで。その他、読者から寄せられた人生相談への回答、付録として金八先生こと武田鉄矢氏との対談も収録。  最近彼をテレビで見ることはないが、タイトルに惹かれるものがありじっくりと読んだ。(ちなみに読という漢字、讀には見抜くという意味があるらしい。)重厚な内容とは思わないが軽薄なわけでもなく、確かにこ

          17.【「命」の相談室 僕が10年間少年院に通って考えたこと】 ゴルゴ 松本(著)

          16.「飛ぶ教室」エーリッヒ・ケストナー(著)

           1918年から1933年までドイツにはワイマール共和国が存在した。人々は自由の恩恵を享受し、憲法は高らかに人間の平等を謳った。世界史的にも冠たる黄金の20年代がベルリンの都にあった。また蓄財の才覚を持つユダヤ人が資本家として存在感を増した時代でもあった。一方、その光の陰に世の趨勢に翻弄される労働者や元軍人を産み出したともいえる。  物語自体の起伏もさることながら、ナチス労働党の影が世間を覆い始めていた執筆当時(1933年)の時代背景を読み解くとき、主人公たちと同じ世代の現

          16.「飛ぶ教室」エーリッヒ・ケストナー(著)

          15.【いま、なぜ「武士道」か】  岬 龍一郎(著)

           「援助交際はなぜ悪いか」「エコノミック・アニマルと呼ばれた日本人、そして日本が国際社会の中で凋落の兆しを見せているのはなぜか」「日本を再建させるために上に立つ者が持つべき根幹的精神とは何か」というテーマが本書の中で熱量を帯びて、(観念的かつ抽象的に)語られている。上梓されたのが1997年ということで、2024年夏現在の今読むと、むしろ、この頃はまだマシだったように思える。  アフターコロナの今、国内・国際どちらの事情を考慮しても1990年代より悪くなっているように感じるの

          15.【いま、なぜ「武士道」か】  岬 龍一郎(著)

          14.「碁盤斬り」加藤正人(著)

           「不得貪勝」己の利だけをむさぼれば勝負に勝つことはできない。  居住まいが正しい上にも品があり、思いつめると猪突猛進する堅物。およそ主人公らしからぬ謹厳実直なる武士ー柳田格之進に草彅剛がなりきっていると聞き及んで映画を見に行った。さて、この映画の真の主人公とは商家の大旦那「ケチの源兵衛」だとも感じた。それほど境涯の変化が大きい。  せせこましいような碁、いやらしい碁、威丈高な碁、直情的な碁、悠然とした碁、碁とは手談であると側聞したことがある。相対する相手が発している気が

          14.「碁盤斬り」加藤正人(著)

          13.「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」ジョシュア・ベッカー(著)

           開運に関する本を読むと、迷信や脅しに過ぎないと思うものも相当ある。簿記の原則から言えば、何かを得ることだけを考える方法には無理がある。株式や固定資産売買で利益が出ていたとしても、本業で損失が出ているなら企業として均衡を欠いているように、人も根本の生き方を見直さずして開運などありえない。    有形無形とを問わず何かを得る時には、それと釣り合う何かを失う。逆に何かを失う時は、それと釣り合う何かを得る。得失に若干の時間差があるのでわかりにくいが繫栄する企業や一族は徳を積み続けて

          13.「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」ジョシュア・ベッカー(著)

          12.「糖質疲労」山田悟(著)

           江戸時代の著名な観相家(占い師)である水野南北は凶相を吉相に改め、過剰な諸欲の働きを抑制し、吉運をもたらす鍵は「食を慎む」ことだと考えた。 近年、胃腸の働きと脳神経さらに言うなら幸福度(セロトニンホルモン)の相関が指摘されていることや、現在の日本で肥満症新薬の認可がおりても美容(ダイエット)目的の需要が多く、必要な患者に届かない懸念があるという報道を見るとき、食欲を自律的にコントロールすることは立派な修養法たり得ると考えられる。  本屋に行くと「糖質疲労」という本があり1

          12.「糖質疲労」山田悟(著)

          11.「ただいま神様当番」青山美智子(著)

           働き続けることに何の意味があるのだろうと考えていた一時期がある。「働いたら負け」とまではいわずとも「金銭を得る必要があるから」働くとすれば、労働とは好むと好まざるとによらず就くべき苦役になる。ただ自分の社会的な関係性が小さくなると、無償でも世のために役立ちたいと考えるようになったのも確かなことだ。   「ただいま神様当番」青山美智子(著)では、拾い物をした縁で神様当番をすることになった主人公たちが神様と繰り広げるバトルが面白かった。人は立場や義務によって望まぬことでも社会

          11.「ただいま神様当番」青山美智子(著)

          10.「はぐれ宮司の事故物件お祓い事件簿」金子雄貴(著)

           「運をよくする」ということを突き詰めて考えると怪しげな開運法に頼るのは得策ではなく、「徳を積み続ける」という答えにたどり着く。ではどうすれば徳を積むことができるのか、それは金があるなら金を、知識があるなら知識を、力がある力を世に役立てるということになる。  別の観点から考えると、運という捉えどころのないものをよくしようとするより、縁つまり対人関係をよくするほうが具体的だと言える。人間関係をよくする方法として接遇的な対人関係を学ぶとか、アンガーマネージメント(怒りにより後悔

          10.「はぐれ宮司の事故物件お祓い事件簿」金子雄貴(著)

          9.「千夜一夜物語 アラジン」

           以前は占いやスピリチュアル的なものに関心があったが、今は発信者の収益システムを分析する見方をしている。  例えば「龍」即ち気の流れであるということは問題ない。そして人の思念にもエネルギーが宿されており、祈りが捧げられる場所、政治・経済の中心地、また欲望が渦巻くところに流があるというのもうなづける。  また蛇行する河川を上空から眺めれば龍そのものの形をしているし伏流水、人工の上下水道、ガス管なども龍に見立てられる。また未来にかける願いの強さも流であると言える。  平安時代

          9.「千夜一夜物語 アラジン」

          8.「将来を本気で考える君へ 人生100年時代の就活相談」 野島廣司(著)

           今年の3月から簿記を習い始めた。私はその世界観に魅了されると同時に反骨神から満点での日商簿記3級合格を目指した。今思えば「なんとなく」の勉強ではなかったのがよかった。  合格後、更に2級を取ろうと思っていた折、図書館で本書を読む。稼ぐということについて、タイパ=時間効率のみを追求すればブラックに行き着くという指摘に苦笑してしまう。劇的に稼ぐという発想が犯罪やギャンブルと結びつくのは頷ける。また結果として自己が成長できる仕事に就くことが未来の高収入にもつながるという指摘に、

          8.「将来を本気で考える君へ 人生100年時代の就活相談」 野島廣司(著)

          7.「究極の仕訳集 日商簿記2級」TAC株式会社(著作)

           のどかな田園風景の中に遅咲きの桜が咲いている。さらさらと流れる小川はまるで私の選択を後押ししてくれているように感じた。  日商簿記3級は、早ければ商業高校の1年生が1学期の内にとってしまう資格である。それでネットでは簿記2級ならともかく3級を持っているだけでは逆にマイナスという指摘も見受けられる。そうかもしれないが、うっせーわと思う。  自己のアイデンティティに苦しみながら、ここで資格を取れなければ先はないと必死になって勉強してとるのが商業高校生にとっての簿記3級ではな

          7.「究極の仕訳集 日商簿記2級」TAC株式会社(著作)

          6.「知識ゼロから学べる簿記入門」 桜田はな(制作)

           日商簿記3級は個々の単元は基礎的な内容でも仕訳、勘定記入、決算など初学者が学ぶべき範囲は広い。そして日常的に使用しない用語のインプットが多ければ負担となる。苦手とする箇所が1つ2つと生じてくると合格は途方もない道のりに思え、学校で習うにしても授業だけでは理解が追い付かず、一人おいていかれたような気持ちになる。  そんなときに何度も繰り返して視聴することができる動画チャンネルはありがたい。自身の体験談を述べれば簿記の勉強を始めて2週間目にひょっとしたら50点くらいとれると考え

          6.「知識ゼロから学べる簿記入門」 桜田はな(制作)