15.【いま、なぜ「武士道」か】  岬 龍一郎(著)

 「援助交際はなぜ悪いか」「エコノミック・アニマルと呼ばれた日本人、そして日本が国際社会の中で凋落の兆しを見せているのはなぜか」「日本を再建させるために上に立つ者が持つべき根幹的精神とは何か」というテーマが本書の中で熱量を帯びて、(観念的かつ抽象的に)語られている。上梓されたのが1997年ということで、2024年夏現在の今読むと、むしろ、この頃はまだマシだったように思える。

 アフターコロナの今、国内・国際どちらの事情を考慮しても1990年代より悪くなっているように感じるのは私だけではなかろう。ひょっとすれば個人単位では「今が最高」という人もいるかもしれず、できれば私も「日々是好日」のような心境で生きたいが、到底それを望めない現状なのに言葉を偽っても仕方がない。

 全編について「高貴なる者の務め」ー「ノブレス・オブリージュ(Noblesse oblige)」が述べられていることを考察すれば、いま日本が凋落してしまった原因は政治家など指導層が責務を疎かにしたからだと言えそうだが、いかに。日本国および日本国民としての責務を明確にすることが第一歩のよう思える。責務を明確にするとき、指針が生じる。
(500文字)

「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の 足らざるを尋ぬべし 」西郷隆盛


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