13.「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」ジョシュア・ベッカー(著)

 開運に関する本を読むと、迷信や脅しに過ぎないと思うものも相当ある。簿記の原則から言えば、何かを得ることだけを考える方法には無理がある。株式や固定資産売買で利益が出ていたとしても、本業で損失が出ているなら企業として均衡を欠いているように、人も根本の生き方を見直さずして開運などありえない。
 
 有形無形とを問わず何かを得る時には、それと釣り合う何かを失う。逆に何かを失う時は、それと釣り合う何かを得る。得失に若干の時間差があるのでわかりにくいが繫栄する企業や一族は徳を積み続けている。徳とは言い換えれば高貴なる者の務め(=負債)であり、それで財産(=資本)の嫉妬を受けずに済むという実在的効果がある。

 「より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」ジョシュア・ベッカー(著)には、お金を手放す一例として寄付の効用が述べられている。まず1ドルから始めてもよいという指摘に敷居の低さが感じられた。
 金銭・物質的寄付によらず慈善的な活動をしている人は多く精神的に安定しており人間関係にも恵まれているという指摘で、また本書は米国の本らしく宗教書ではないのにイエス・キリストの逸話が随所に出てくるのも新鮮だった。
(500文字)


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