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小説

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超短編小説。短編小説。漢字一字シリーズなど。
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#小説のようなもの

最後の家族旅行

最後の家族旅行

 お墓参りの帰り道、行ったことのない道を走りたくなり一人でドライブ。〇〇養鱒場という看板を見て、ふと入ってみようと思った。
 冷たく綺麗な澄んだ湧き水の池にたくさんの虹鱒が泳いでいる。川の水も綺麗でそこにも鱒がいた。歩いていくと釣りができる池があった。釣った魚は塩焼きにして食べることも出来るというので釣りをすることにした(釣り池)。そうだそうだここだったよなぁ、両親と自分と3人で来た場所は。自分に

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占

 私は 火水木曜日占い師をしています。とあるビルの一角。看板は出していません。ブログを書いているのですが、その読者さんから是非占ってほしいとコンタクトがあれば、場所をお教えしています。
 一度来てくださった方が再度来てくださることが多いです。偶然発見した、という方もいます。 タロットカード、顔相、あとは霊感のようなもので占います。 恋愛問題に悩んでいる方(年齡はさまざま。若い人ばかりじゃない。)の

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破 

破 

 鏡に映った自分の顔に驚いた。鏡を久しぶりに見た。蛍光灯に照らされた顔は老婆にみえる。肌はくすみ、ごわごわして、きたならしい。これは、本当に私なんだろうか。記憶にある私とは別人、、あれから何ヶ月たったのか何年たったのか、まさか何十年たったのか。今はなんねんのなんがつなのだろうか。私は22歳だったのに。
 ぼんやりした頭で、夜の公園のトイレからでて、歩く。目についたベンチに座る。汚れた足をみる。素足

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前世の記憶

前世の記憶

何度か、同じ夢を見る。    とても温かい部屋でついうとうとまどろんでしまいそうになる。 リビングルーム?私は部屋全体を見渡せる。テーブルも椅子も壁にかかる絵画も観葉植物も。よりくっきりとわかるようになってきた。木の止まり木に脚を置いている感覚。置くというかつかまっている。木の感触まで、はっきりと感じる。 そしてなんとも優しい声で私に話しかけてくる人。女の人の声。心がほんわかしてくるの。温かさも感

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