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社会課題に向き合う会社のデザイナーが、ダンスと共に世界に伝えたいこと第2弾-#02-

前回に引き続き、ROUND.4から、LIFULL ALT-RHYTHM22-23シーズンの楽曲ジャケットについてアートディレクターの森がお話ししていきます!

ぜひ前回の「社会課題に向き合う会社のデザイナーが、ダンスと共に世界に伝えたいこと第2弾-#01-」も併せてご覧ください

ROUND.4 ZONE

「ZONE」

LIFULLの実現したい未来「自分らしく生きられる選択肢を」

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ジャケットで表現したこと

「ゲーム」や「夢中」をテーマに、
夢中になることで広がる新しい世界や、
そこにいる仲間、そこに没入するイメージを表現。

担当デザイナーより( 森 瑶子 × 後藤 未来子 )

森:当時、アルトリ同様全勝中の「対CyberAgent Legit戦」ということで、ショーケースの内容を当初の予定からガラッと変えることになり、かなり我々も、臨機応変な対応が迫られていましたが、それもある意味ゲームのようで楽しかったなぁと今では思いますね。曲もアニメの戦闘シーンのような音楽で我々も没入していた気がします。

後藤:ジャケット担当としても、この状況にはプレッシャーを感じていました!!!ショーケースをガラッと変えると知ってからは、森さんに「内容はどうなりました?」って何度も不安まじりのメッセージ送ってましたね(笑)
ですが負けてられないと、我々もできるところから戦闘モードで進めていたのは良い思い出です。

森:「カリムくんのために私が戦う」って言ってくれそうなこのお姉さんも好きですが、最初はもっといわゆる8bitの格闘ゲームみたいにしようかとも悩みましたね。

後藤:そうですね。「ゲームっぽい感じになりそう」とフワッと先に共有を受けていたので8bitで平面のレトロな雰囲気になるのかな?と想像していました。
その場合、音楽はピコーンッといったレトロゲーム音が入っているものだと思っていたので、音楽サンプルを聴いた時は意外というか、想像していたものと違う壮大さを感じたので、そこで8bitじゃないな、と思いました。
デザインに取り組み始めた当初は、音楽なしの想像でアイデアを出していったので、音楽を聴いたことにより今のお姉さんのような新しい世界が見えてくる近未来なゲームのデザインになっていきましたね。

森:VRゴーグルで仮想空間に入ったようなビジュアルにされたと思いますが、視点の作り方や遠近感の出し方で苦労した点はありますか?

後藤:遠近感の出し方には苦労しましたね。
当初は背景の色・形とロボットの配置を別々に考えていたため、遠近感が描きづらく、制作を進めるのが不安でした・・・
遠近感を出すために、奥にあるゲームの中の世界(背景とロボット)と手前の操作画面とでピントの合い方を切り分けたことで、ロボットも空間に馴染み、ぐっと良くなっていったのが印象的でした。
ただそこばかり意識しすぎるとゲームらしさから離れていくので、そこのバランスには注意して検討を重ねていましたね。
奥の空間にうっすらグリッドがあったり、表示画面にプレイヤー名が書いてあったり、じっくり見ないとわからないぐらいの細かいこだわりが散りばめられたところがお気に入りポイントです。(笑)

森:某格闘ゲームのような衣装や、舞台上の空間をガラッと変えるパネルづかいがとても印象的なショーケースでしたね。パフォーマンスと合わせてみた時に感じたことありますか?

後藤:パフォーマンスにこのお姉さんロボットは登場しませんが、ロボットの部分をメンバーが演じたキャラクターに差し替えても良いぐらい「ゲームマスターアラオカカリムさん」の視点を再現できたジャケットになった気がして、嬉しかったです。
他にも小道具のパーテーションにジャケットと同じあしらいが使われていたり、共通点を見つけると一体感を感じられ、より嬉しい気持ちになりました。
セリフがあったり、ストーリー性のあるパフォーマンスに私自身も夢中になって見ていました


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ROUND.5  VALUE

「STEPS」

LIFULLの実現したい未来「あらゆる価値観に寄り添う暮らしを」

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ジャケットで表現したこと

「他者からの評価」や「価値」を大量に積み重なるSNSの記号で表現。

担当デザイナーより( 森 瑶子 × 関根 彩矢 )

森:VALUEは制作時に、ラフ段階の動画も白と黒の衣装も見せていただいていて、詩もかなり読み込みました。ただ舞台の照明やカメラアングルなど演出が入るとこんなにも印象が変わるのかと感動しましたね。本当にかっこよかったし、またチャレンジングな作品で勝利を掴めたのも感動でした(泣)
詩は、我々デザイナーにも非常に共感できる内容だったなと思いますが、関根さんは初めて詩を読んだ時はどのように感じましたか?

関根:まず興味を持ったのは「ケンジ ミスズ ゴッホ カフカ ディキンソン マルクス ガリレオ モディリアーニ」の関連性についてです。
調べてみると、卓越した才能が死後に大きく評価された点で共通していることがわかりました。彼らの名前を象徴的に据えたこの詩は「今、誰からも評価されなくても、あなたが本当に表現する価値があると思えるものをつくり続けて欲しい」という表現者への熱いエールになっています。
確かに「他者からの評価」は結果であり、それが目的化してしまうと表現者としての軸がぶれていってしまう。デザイナーは仕事柄、どうしても他者からの評価が前提になりますが、私個人も日々の仕事とはまた別に、表現を通じて自分にとって心から価値があると思えるものを探求できたらと思いました。

森:他者からの評価をどう表現するか、抽象的にするか、具体的なものにするかモチーフ選びもかなり苦労しましたね。このSNSのアイコンになるまでの過程で悩んだものなどあれば教えてください。

関根:「表現者 vs 他者からの評価」をワンビジュアルでどう表すか、とても悩みました。森さんにご相談しつつ様々な角度から探ってみましたが、最終的に詩の原文に立ち返り「即効性のあるlikeが拡散する」という言葉をわかりやすく表したものにしました。現代の人にとって身近な「SNSのアイコン(👍)」を「即効性のあるlike(他者からの評価)」のメタファーとして扱い、それを大量に積みあげることで、「時に背中を押し成長を支える評価も、成長の中でいずれノイズになる、俯瞰して向き合おう」というメッセージを印象的に伝えられたらと思いました。

森:無造作で多すぎるくらいのこの量感が、良い意味で違和感も感じるのですが、表現するために気をつけたことがあれば教えてください。

関根:「他者からの評価は客観的に、冷静に捉えよう」ということを伝えたかったので、俯瞰的な視点の白黒ビジュアルにしました。画面中央部の光は、表現者の意思を表しています。光の部分とその他の部分のギャップの作り込みを意識しました。

森:自然と呼吸するのを忘れてしまうくらい、美しく完成されたショーケースでしたね。
パフォーマンスと合わせてみた時に感じたことありますか?

関根:白と黒の衣装を着たダンサーさんが入り乱れる中、舞台中央で白黒の衣装をきたまゆむさんが全身で葛藤を表現されていて、その様子が、まさに「他者からの評価に翻弄されつつ争おうとする表現者」だカッコいい...と身震いしました。ダンスを超えて、舞台芸術を観ているような充実感があり、アルトリの圧巻のパフォーマンスにしびれました。


ROUND.5 VALUEはこちら


ROUND.6 CYPHER ROUND

ROUND.6はサイファーラウンドというダンスバトルの回でしたので、ジャケットの制作はありませんでしたが、メンバー一人一人のスキルと個性がよく見え、かつcalinさんがMVD(most valuable dancer)に選出されるなど特別な回になりました。ご興味がある方はそちらもぜひご覧いただきたいです!


ROUND.7 HANG OUT

「Mr. tickle」

LIFULLの実現したい未来「自分らしく生きられる選択肢を」

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ジャケットで表現したこと

年齢に関係なく、音楽の楽しさに足元が自然と躍ってしまう様子を表現。

担当デザイナーより( 森 瑶子 × 瓜田 理揮 )

森:瓜田くんは昨シーズンのStride以来ですね、また参加してもらえて嬉しいです!今回はショーケースも楽しかったですが、この曲自体も楽しかったですね。遊園地で聞こえるようなウキウキする音とリズムがたくさん盛り込まれていて、聞いていてこちらも心が躍りました。

瓜田:分かります、ハッピーな気持ちになりますビッグバンドのような厚みと軽快さがあって多彩な音色を扱った楽曲だったのが特徴的でとても好みでした。ストーリーが展開していくブロードウェイのようなショーケースにも惹きつけられました。

森:ラフ段階の映像と、杖やマスクを使うのは伺っていましたが、どんなマスクかまでは前々日ぐらいまで知らなかったので、足だけにしてよかったなと思いました。(笑)
年齢を感じさせない足元のファッションと、ダンスを感じる足の動き方はかなり試行錯誤しましたね。

瓜田:自分はパフォーマンス当日までアイテムの使い方を知らなかったです。(笑)
デザインについては、どうすればアルトリらしく(ひいてはLIFULLらしく)バイアスのない描き方ができるかを考えました。元々ROUNDのテーマとして高齢化社会が掲げられていたのですが、いかに「年を重ねても変わらない人生の輝き」を楽しく、伝える(描く)ことができるか?を考えると難易度の高いチャレンジでした。
足元のファッションひとつでも絵にすると人格や年齢を感じさせてしまうものです。様々な人が共感できるよう、高いヒールはあえて描かないようにしたり、杖の傾きひとつにもこだわりました。
さらに、心も足も踊っているように見せるために足を上げた描写にしたり、つま先を伸ばして動いている瞬間を切り取った描写をしました。靴のデザインや靴下のデザインもディレクションいただきつつ作り込みの工夫を行うことができ、隅々までこだわることができてよかったです

森:イラストレーションの風合いも少しレトロさがあって素敵だなと思いますが、工夫したところがあれば教えてください。

瓜田:具体的な工夫は以下の5点です。手触り感や印刷手法っぽさのある加工を行うことでレトロ感をより演出しています。

  1. パスのラフ効果(線をランダムなギザギザにする加工)で線画を手書き風に。

  2. 背景に「ハーフトーン調」を重ねることで20世紀の網点印刷っぽさを演出。

  3. 印刷の多色刷りで起こるような、「版ズレ」を模した色の重ね方を工夫。

  4. ベタ塗りの1色の中でも色むらを出すために、Illustratorのブラシを重ねる。

  5. 経年劣化でレコードジャケット(厚紙)の塗装が剥がれたような、白くザラザラな質感をPhotoshopで手書き。

特に印刷の版ズレに悪戦苦闘しました。画面上で印象的なアイキャッチをどこにするか?を先に考えてレイアウト(足の本数や配色の位置)を数パターン作ったのが大変でした。

森:おじいちゃんたちのマスクが目立ちますが、根底にある“年を重ねても揺るがない友情”みたいなところが見るたびに心温かくなるショーケースでしたね。パフォーマンスと合わせてみた時に感じたことありますか?

瓜田:パフォーマンスは時間軸があり"物語性”があるように思います。今回のビジュアルでは、その”物語性”の一瞬を切り取ったかのように描くことができたと感じました。
表現する際に直接言葉を交わさなくとも描きたい世界が一致していたことにも感動しました
前回のデザインを担当した時(前シーズンROUND.11)以上に、共に戦えたような気持ちになり楽しかったです


ROUND.7 HANGOUTはこちら


ROUND.8  Shantay

「Queen Quality (feat. A.Y.A) 」

LIFULLの実現したい未来「多様性のある公平な社会を」

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ジャケットで表現したこと

固定概念にとらわれず、自分らしい美しさを追求することを一般的なリップラインから大きくはみ出したメイクで表現。

担当デザイナーより( 森 瑶子 × 谷口 昂 )

森:曲、最高じゃないですか?どれも最高だけど、これは特に大好きです!制作時の情報として、当日はドラァグクイーンのメイクをされるということを聞いていて、実際のドラァグクイーンの方のメイク動画などをみながらモチーフ探しをしましたね。ただいわゆるドラァグクイーンのメイクにはしない方が良いと考えがまとまったあたりで作品の軸がグッと決まってきた気がします。

谷口:私もこの曲大好きです!BGMとして流しながら、強くて芯のある人物像を頭の中に思い浮かべて制作に臨みました。
何しろドラァグクイーンなので、アイデア出しの頃はとにかく煌びやかでゴージャスな「飾り」の部分がないと表現しきれないと思っていました。でも今回表現したいことは「枠に囚われない、自分らしい美しさを追求する」ことだったため、結果として飾らない表現に持っていくほうがよりコンセプトが際立つことに気づいて方向性が定まっていきましたね。

森:リップの形が斬新でとてもかっこいいなと思うのですが、この形に行き着くまでのお話も伺っていいですか?またメイクというところでどうしても”女性らしく”なってしまいがちだと思うのですが、気をつけた部分があれば伺いたいです。

谷口:唇から大きくはみ出るメイクで表現しよう!と決めてはいたものの、唇がそのまま横にずれたような形ではピエロのような奇妙な印象になってしまうので、あれこれ形状を試してみました。ゆったりとした曲線を使ったメイクや派手でカラフルなメイクも検討してみましたが、強い意志を感じられるような直線を使った今の形が楽曲やテーマに対して一番しっくりきました。

森:以前担当してもらったCanvasとは変わって、とてもシンプルな一枚になりましたね。シンプルゆえの強さを感じてすごく好きな一枚なのですが、シンプルにしていく過程で気づいたことなどあれば教えてください。

谷口:当初はもう少し派手なものも試していました。ジュエリーやコスメ等のモチーフを入れたり、口元にもっと表情を持たせたり、画像の色味を変えてみたり。絵として画面がもつかどうかが不安だったんです。でも森さんからFBいただく内容はいつもシンプルな方向で、私としては暗中模索状態でした(笑)でも制作を進めていく中で、説明的になりすぎるとむしろテーマとの乖離が生まれそうだと気づいて引き算していった結果、シンプルな画面で表現することができました。

森:ROUND.8は、観た人の心を動かし背中を押してくれるような、本当に多くの人に届けたい最高の作品でしたね。Shantay!
パフォーマンスと合わせてみた時に感じたことありますか?

谷口:歌詞を何度も読みながら、ドラァグクイーンのショーをイメージして当日を待っていたので良い意味で期待を裏切られました!実際は性の多様性というテーマを超えて、個々人の持つ美しさと、自信を持ってそれを発揮できる素晴らしさが表現されていて、見た後は色んな感情で胸がいっぱいになりました。
背筋がシャンとするというか、視界が晴れるというか、前向きな気持ちになれる作品に仕上がっていて、きっとこれから何度も見返す動画になるんだろうなと思います。そして、このテーマで勝利を掴めたことが本当に価値あることだと思うので、観客の1人として本当に嬉しかったですね。


ROUND.8 Shantayはこちら


まとめ

本noteでは、ROUND.4〜7のジャケットについてお話しさせていただきました!

ROUND.3までの三連勝から、ROUND.4、ROUND.7に関しては敗戦となり、ジャケットを制作を通してではありますが同じテーマに向き合った身としても悔しさを感じました。ただ、アルトリラブレターでも書かれていたように

「勝敗で作品の価値は決まりません。」

そのテーマに思いを馳せ、伝えるための表現にこだわった時間は確実に、関わった人全ての糧になると思っています。
このテーマを与えてくれたチームの皆様に心からお礼を述べたいです。

またROUND.8では、ショーケースを通じて「自分らしく生きることの美しさ」を見せてくれましたが、この作品も本当に多くの方の心に響いたのではないでしょうか。
レインボーのボードをもち堂々と歩く、美しいメンバーたちが本当に誇らしく、頭が下がる思いでした。この作品が長く多くの人の心を支えてくれることを祈ります。

#03で完結編 !こちらも併せて、ぜひご覧ください!
スキ♡&シェアのほどよろしくお願いします!

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森 瑶子

株式会社LIFULL
クリエイティブ本部 コミュニケーションデザインユニット
コミュニケーションデザイン2グループ

2011年新卒入社。LIFULL HOME’Sのキャラクター「ホームズくん」のデザイン、LIFULLのリブランディング、LIFULL HOME'Sのコミュニケーションデザイン、EarthCuisine #1、LIFULL ALT-RHYTHMなどを担当。

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採用について

LIFULLでは、LIFULL  ALT-RHYTHMに関わるデザインをはじめ、LIFULL HOME'Sなどのブランドデザイン、コミュニケーションデザイン、サービスデザインなど、幅広い領域でデザイナーを募集しています。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ採用サイトよりご連絡ください!
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