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カリフラワーの季節 - 東インド会社の研究の賜物

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コルカタに冬がやってくると、いつもよりもたくさんの野菜と魚が市場に並ぶ。

とりわけ目立つのは、採れたてのカリフラワー。

外葉の一部は切り落とさずに、販売のデコレーションとして。持ち帰り時の「持ち手」になるよう残される。
価格はひとつで15~20ルピー。交渉によって、さらに値が下がる事も。

茹でるとカリフラワーは美しい翡翠色になる。ほくほくとして、とても美味しい。


今ではインドの食卓によく上るカリフラワーだが、インドで栽培がはじまったのは、ここ200年ぐらいのこと。
ウッタルプラデーシュのサハーランプール(Saharanpur, सहारनपुर)にあった東インド会社の保護区である植物園、カンパニー・ガーデン(Company Garden)に、カリフラワーの種が1822年にイギリスから持ち込まれたことから始まる。インドで生育が可能か、あらゆる場所で何度も観察を重ねたところ、暖かくて湿度の高い場所で成長する品種が好ましい結果を示し、それらをベースとして改良を重ねた。最終的に、輸入した品種と比べて成熟が早く、11~12月に収穫期となった。これらインドで改良されたカリフラワーは、イギリスのサットン・アンド・サンズ社(Sutton & Sons Ltd.)の1929年取り扱いリストに、ヴァラナシ種、パトナ種として掲載されている。

日本の野菜売り場を思い出しても、どちらかといえばカリフラワーよりもキャベツがメインだという印象があり、事実、世界的には生産量からみてもキャベツがカリフラワーを上回っている。しかし、インドにおける両者の生産量は、逆で、カリフラワー(プール・ゴービー)がキャベツ(バンド・ゴービー)よりも多く生産されている。主に北インドで生産されているが、南インドの丘陵地帯でも栽培は可能である。現在もカリフラワーの品種改良は進められている。

道端で売られているカリフラワー©筆者撮影

このカリフラワーの品種改良に一役買ったのが、コルカタでインドでの茶栽培の基礎をつくったウィリアム・ジェイムソン(William Jameson)であったといわれている。彼も1842年にサハーランプールのカンパニー・ガーデンの責任者に着任しているが、その前任者であるヒュー・ファルコナーは、エジンバラ大学でウィリアム・ジェイムソンのおじにあたるロバート・ジェイムソンの教えをうけている。インドという魅力的な国を舞台に、植物研究者らも研究のバトンを引き継いできたのだ。

インドで生活していると、思わぬところで当時の東インド会社の研究の賜物にであうことがある。今や、インドのひとに「カリフラワーってイギリスから来たんだよ」と、伝えたところで、どれくらいの人が信じてくれるだろうか。

参考文献:
Vishnu Swarup and S. S. Chatterjee, ‘Origin and Genetic Improvement of Indian Cauliflower’, Economic Botany, Vol. 26, No. 4 (Oct. - Dec., 1972), pp. 381-393, Springer.
Pushpendra Kumar, Manish Kumar Singh, Rajesh Kumar and Prateek Kumar, Treasure of Vegetable Crops, Sankalp Publication, Chhattisghar, 2020.

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