【ドイツと比較】世界から取り残された日本① 環境問題編

この連載記事では、ドイツでの留学・滞在経験に基づいて、世界、とくに欧州と比較して取り残されている点をまとめて掲載します。

ぜひ、アフターコロナにはどんなことがなされているのか、そしてヨーロッパの環境、エネルギー、安全保障、移民など・・・の項目において日本が学ぶべきことはなにかを知りたい方にお読みいただきたいです。

各項目について、現在みられることから、具体例をまじえてお伝えできればと思います。

ペットボトルがお金になる

ドイツでは、ペットボトルや缶がお金になります。つまり、「デポジット制度」があるということです。

昔の日本にも、飲料を売るお店に空き瓶を持っていったらお金が返ってくる仕組みがあったそうです。それを国全体でやっているということです。

ドイツ政府が容器の製造および販売に関わる事業者に対して、法的に回収および分別の責任を負わせています。

これにより、ビンやペットボトル、缶をポイ捨てさせない仕組みがつくれますし、それに応じた環境配慮の取り組みも可能です。(リサイクルなど)

日本でも、ポイ捨てこそあまり見かけませんが、法的な回収などの責任を負わせるなどの方法・対策を見習えるのではないでしょうか。

ただ、この制度や仕組み自体には課題も存在します。

社会的側面では、治安の悪化や時間的コストがかかってしまうということです。

ドイツにも少なからず、家無しの人たちや物乞いをする方々が、とくに中央駅を周辺にいらっしゃいます。

彼らがお金を集めるためにやることは、文字通りの「ゴミ箱あさり」です。

ゴミ箱の中にペットボトルなどがないかを確認し、回収するのです。

それをやって生計を立てるという人も少なくありませんし、衛生的にも問題になります。

また、ぼくたちの生活の話になると、スーパーに行く際、一気にもしくは、毎回たまったペットボトルを持ち込み、機械に入れていく必要があります。

大型のスーパーだと中に2~4台ほど見かけますが、街中にある小型のスーパーだと1台、場合によってはない場合があります。(故障中で使えないということもしばしばあります。)

その際はレジまでもっていく必要があります。

これがかなり時間がかかることで、ドイツは現金社会でもありますから、スーパーのレジで買ったものをカバンに入れ、ペットボトルを渡して、現金で払って・・・ということをしているとけっこう時間がかかってしまいます。

エネルギーの側面でいうと、ほんとうに効率的か、エコなのか、ということがあげられます。

ペットボトル等のリサイクル自体は悪くないのですが、それを使える資材にするまでにかかるエネルギー、その効率などを考慮すると、果たして本当にエコなのか?という疑問がわいてくるのです。

これは、技術の発展を待つしかないかもしれません。

とにかくなんでも「グリーン」

ドイツを走っている格安列車のFLIXTRAINには、

’We Use Green Energy’

というような文言を堂々とかいてあります。

これはいたって当たり前なのですが...。(走る電車それ自体は、CO2を排出しないため)

また、洗濯機/乾燥機にエコモードがついていたり(通常よりも長い時間稼働しますが...)、さきほどのFLIXBUSや、Paypalなどには、「For green」という環境のために1EURほど多く払うという謎のシステムまで搭載されています。

とにかく食品から公共交通機関まで、そんなことを見かける機会が多いのです。

また、街を走るバスは電気自動車であったり、自動車教習所の車がEVであったりします。(これにはほんとうに驚きました。)

それを考えると、日本はモビリティ分野(とくにEVの導入)ではまだまだ遅れているところが多いのではないか、と思わされます。

事実、日本の2021年の新車販売台数約240万台のうちEV(電気自動車)は2万台強で全体の0.9%にとどまっています。(*1)

対してドイツでは、2021年通年の新車(乗用車)販売実績をみると、14%になっています。(*2)

電気自動車用のステーションを見かけることが多く、大学の駐車場にも、街中の車を止めておく場所にも普及しています。

ガソリンスタンドと比較して、設置コストが圧倒的に安く、高密度においておくことができるということをまさに発見できました。

日本の場合、EV、とくにステーションを見かける機会はまだ少ないですが、これも見習っていってほしいものです。

水素分野を引っ張っていくのであれば、まだ可能性はあるものの、海外で水素をみかける機会はあまり多くありません。

また、あまり認知がされていないのでしょうか、負けの姿勢が否めないのが残念なところです。

さいごに

いかがでしたか。

今回は、デポジット制度とその功罪、グリーンエネルギーやEVについてとりあげました。

まだ内容としては少ないかもしれませんが、メモなどを見て思い出したら、追記していきます。


(参考)

*1 Merkmal「EV普及率、日本「0.9%」イギリス「11.8%」 埋めがたい格差はなぜ生まれたのか?」(15.09.22)

*2 日本経済新聞 「21年の新車EVシェア、ドイツは14% ノルウェーは65%」


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?