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Libya Updates #28: October 2020 Week 3


こんにちは🕊
今週もリビアを巡る動きをまとめました。

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リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進んでいるものの、現地での戦闘が続いてきた。

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1. 国内の動き

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国連リビア特別ミッション (UNSMIL)は10日、11月初旬にGNAとHoRの政治、軍事部門の交渉を再開することを発表した。
会談はチュニジアで行われる予定。


交渉の舞台は国連に限らない。
エジプトのカイロでは12日、GNAとHoRの代表者が一同に会し、紛争解決へ向けた会談を行った。
トルコのアナドル通信社によるGNA側の関係者への事前の取材によると、憲法策定へ向け議論を重ねることを予定していたという。

国連主導の交渉もこれらの成果を引き継ぐ形になるという。


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一方、2019年4月に始まった軍事侵攻による国内の犠牲者数は今後も増加する見込みだ。
トリポリ南部のタルフーナでは13日、新たに3か所で集団墓地が見つかった。GNAの捜査隊は失踪していた少なくとも8名の遺体を発見している。

GNA政府は7月以降、タルフーナで少なくとも8か所に集団墓地があることを突き止めており、これまでに女性や子どもを含む200名以上の遺体を発見している。
同地区は6月にハフタル勢力がトリポリ周辺より撤退するまで、GNA勢力との間の前線だった。この時、ハフタル勢力を支持する現地の民兵組織「カニヤート」が多くの市民を連れ去ったとみられている。

GNA政府は現在、行方不明者の特別チームを作り捜査を進めている。ただ現場では、現地で農業を行っている人なども捜査へ駆り出されている状態だ。


2. 国際社会の動き

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EUと英国は15日、ナワリヌイ氏暗殺未遂を計画したり、リビアへの武器禁輸を破ったとして、プーチン大統領の側近ら6名へ制裁を課すことを決定した。
6名にはEUへの渡航禁止のほか、資産凍結が適応される見込みだ。

リビア関連で制裁を課されたのは民間軍事会社ワグナー・グループに資金援助を行っているとされているエブゲニー・プリゴジン氏。リビアでは2011年以降、国連安保理決議に基づき武器禁輸が適応されており、同措置に違反しているとしている。
ロシアがワグナー・グループを通してハフタル勢力に対して傭兵や軍用運送機などを提供している。同国政府は否定しているが、国連の調査などもロシアの関与を指摘してきた。


3. 新型コロナウイルス

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リビアでは15日 (現地時間) 時点で、累計45,821人の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は6,308人1日に平均約900人以上の新規感染者が確認されている計算。累計死者数は669名で、1週間で61名の増加。


感染者数は5月まで、数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月で、1週間の新規感染者数が前の週を上回る状態が続いてきた。

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リビアの人口は689万人ほど。
情勢不安の続いてきた同国では、パンデミック以前より医療保険制度がきちんと整備されていない状態。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけて、医療施設への攻撃も多発。6月から7月頃には市民が地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いでいた。


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