見出し画像

捨てる勇気が人生を変える。手放さなければ新しいものは入ってこない。

人生において何かを手放すことは大切だ。

人は生きていればさまざまなものを手にする。
友達や恋人、家族といった人間関係をはじめ、仕事やお金、地位や権力、車やブランド品、さらには見栄やプライド、欲求や欲望といったものもそうだ。

意識して何かを手放そうとしなければ、生きているうちに色々なものを抱え込み、いつの間にか人生がいっぱいいっぱいになってしまう。
何か新しいことをはじめたり、生活の中に変化をもたらすためには、今まで抱えていたものを手放す必要がある。

コップの中に新しい水を入れるには、まずはコップに入っている古い水を捨てなければならない。
コップが満タンの状態で新しい水を注ぎこんでも、ただ溢れてこぼれるだけだ。
何かを変えるためには、既存のものを手放さなければならない。
何も手放そうとしない人は、何も変えられないのが真理である。

有名なたとえ話のひとつに「この壺は満杯か?」という話がある。
それは以下のようなお話である。

教授が学生の前に、ひとつの大きな壺をに置いた。

教授はその壺の中に岩をひとつずつ入れていき、壺が満タンになるまで岩を詰めていった。

そして学生たちに「この壺は満杯か?」と尋ねた。

学生は「はい」と答え、教授は「本当か?」と言いながら、バケツに入った砂利を取り出した。

教授はバケツの砂利をさきほどの壺にそそぎはじめ、再度満タンになった壺を見せながら「この壺は満杯か?」と聞いた。

学生は「たぶん違う」と答えると、教授は「そうだ」と笑ながら、今度はバケツに満タンに入った砂を取り出した。

教授はバケツの砂を壺に入った岩と砂利の間にそそぎはじめ、再度満タンになった壺を見せながら「この壺は満杯か?」と聞いた。

学生は「いや、違う」と答えると、教授は水差しを取り出し、壺の縁まで水をそそぎこみ、学生に最後の質問をした。

「僕がなにが言いたいかわかるだろうか?」

一人の学生が手を挙げ、「どんなにスケジュールが厳しくても、最大限の努力をすれば、いつでも予定を詰め込むことは可能だということです」

教授は「それは違う」と言った。

「重要なポイントはそこではないんだよ。この例が私たちに示してくれる真実は、大きな岩を先に入れないかぎり、それが入る余地は、その後二度とないということなんだ」

君たちの人生にとって「大きな岩」とは何だろう、と教授は話しはじめる。

それは、仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家庭であったり、自分の夢であったり。

ここでいう「大きな岩」とは、君たちにとって一番大事なものだ。

それを最初に壺の中に入れなさい。さもないと、君たちはそれを永遠に失うことになる。

もし君たちが小さな砂利や砂、水など、自分にとって重要性の低いものから自分の壺を満たしていけば、君たちの人生は重要でない「何か」に満たされたものになるだろう。

そして大きな岩、つまり自分にとって一番大事なものに割く時間を失い、その結果それ自体を失うだろう。

これは人生の優先順位を考えるための比喩として使われる話だが、見方を変えると別の解釈もできる。
つまり、壺の中に何かを入れるには、ほかのものを取り出す必要があるということだ。

私はこのたとえ話が好きだが、現実問題、人生で何を優先にすればいいのかはわからない。
今日優先だと思うことは、1週間後には優先ではなくなっているかもしれない。

仕事を優先するべき時期もあれば、人間関係を大事にする時期もある。
健康や睡眠を優先する時期もあれば、多少無理してでも頑張る時期だって人生には必要だ。
人生のすべての時間を通して、必ず優先すべきものなんてものはない。
時間、場所、タイミング、さらに言うと気分や感情によって優先順位なんてものは簡単に変わっていく。

でもそれは、優先順位を考えるのが無駄だと言いたいわけじゃない。
何を優先に考え、行動していくかを決めるのは大事だ。とても大事だ。
だが、それ以上に大事なのは定期的に壺の中を精査し、必要なくなったものは取り除いていき、新しいものを入れる隙間を作ることである。

望むにしろ望まないにしろ、人という生き物は変わっていく生き物だ。
自分は昔から変わらないという人でも、色々な人と出会い、仕事や恋愛を通じながら、過去の考えや価値観といったものが少しずつ変化していく。
もちろん、何があっても変わらない人もいれば、プライドが邪魔して変われないという人もいる。

だが、変わらない、変われないというのは、今手にしているものを手放そうとしないからであり、手放す勇気がないことで現状維持に満足している状態である。

私は「現状維持は後退である」と思いながら生きているので、今の現状にしがみつき、手放す勇気がない人を見るともったいないと思ってしまう。
本人がそれでよければいいのだが、文句や愚痴を言いながらも、めんどくさいからと何も手放さずに「なにかいいことないかな」とつぶやいている人を見ると、「この人は何を言っているんだろう?」と思ってしまう。

人間には所有欲があるので、一度手にしたものを手放したくないと思うのはしょうがないことだ。
でも、手放さなければ新しいことは何も入ってこず、何の刺激もない平凡な毎日がずっと続くだけである。
別に「刺激的なことで毎日を埋めよう!」と言っているわけではなく、少しでも人生を有意義なものにするためには、学び、行動し、変化していく必要があるのだと言いたいだけだ。

モノの断捨離は一時的にブームになったが、モノだけでなく人生のあらゆることに対する断捨離も必要である。
古い価値観を捨て、新しい価値観を手にすることで、人は少しずつ変わっていく。
捨てる勇気が人生を変えるのだ。

絶対が絶対に存在しない人生で、唯一絶対なのは「すべては変化する」という事実のみである。
既存のものを手放し、常に価値観を新陳代謝することが、この先の時代を生きるために必要なことなのだと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?