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ラグジュアリーなインバウンドを満足させるために必要なもの

最近の瀬戸内におけるビッグニュースのひとつに、
「マンダリン オリエンタル ホテル」の進出があります。

マンダリンは世界最高級のホテルグループ。
国内にはまだ東京にしか館(やかた)がありません。

そのマンダリンが、
国内進出2か所目に選んだのが、
瀬戸内・香川ということです。

高松市に1棟92室の都市型ホテルを、
直島に文化財である日本家屋を含めた
3棟22室の宿泊施設を整備します。

マンダリンが、なぜ、
瀬戸内を選んだのか。

報道によると、ホテル開発責任者は
「日本の文化や歴史を象徴するような地域。
アートや景観美の素晴らしさも決め手になった」
「高松では宿泊料10万円以上、
直島ではそれ以上を考えている。
直島は「京都以上」もいけるのでは」
と述べています。

香川県には、
1泊1人10万円以上するような
ラグジュアリーホテルがほとんどなく、
海外からの富裕層の滞在に課題があります。

ハイグレードかつユニークな宿泊施設は、
直島にベネッセハウスの「オーバル」がありますが、
キャパシティとしては不足しているのが現状です。

この点は県も課題だと認識していて、
「都市の国際的なステータスを高め、
長期滞在と消費拡大につながる
世界レベルの商業施設・宿泊施設等を誘致する」
ことを目的に、
今回のホテル用地となる県有地を活用する
民間事業者を公募していました。

ぼくもかつて、
ラグジュアリーホテルの誘致に
関わったことがあります。

香港の大企業が
日本でのホテル運営に関心を持っていると聞き、
お土産にイチゴを用意して、
現地へ飛びました。

出発日の朝、
市場でイチゴを調達し、
陸路で関空へ。

機内では
手荷物スペースに保管していたんですが、
当然あったかいところに置いているので
鮮度が落ちてきます。

ハラハラしながら、
空港に到着後、
大急ぎでホテルへ直行。

客室に入るなり、
小さい冷蔵庫に
無理やり1ケースを押し込みました。

翌日、
恐る恐るイチゴを先方に渡し、
その場のみんなでいただくことになりましたが、
「とても甘くておいしい!」
と笑顔で言ってもらって
ほっとしたのを覚えています。

当時はホテル誘致に至りませんでしたが、
あれから数年。

ついに
ラグジュアリーブランドの進出が決まり、
感慨を覚えます。

ただ、
目の肥えた富裕層の眼鏡に適うには、
満足させるコンテンツが必要です。

マンダリンも当然手を打っていて、
すでに地元のコンテンツホルダーに
コンタクトを取り、
ユニークな体験を宿泊者に提起すべく
動いています。

観光客数など、
「数」を求めるフェーズから、
消費額、満足度
(これは観光客だけでなく住民もですが)
で評価するフェーズへの移行が
本格化するポストコロナ。

ぼくは、
地域に当たり前のように根づいた「本物」こそが、
人々を引きつけると思います。

観光客向けに作られた
うわべの体験を、
お客さんは見抜きます。

さぬきうどんのように、
地域の人々の暮らし
そのものと言えるコンテンツこそが、
非日常ではなく異日常、
つまり「誰かの日常」を感じさせる
「本物」ではないでしょうか。

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