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夏が、好きだ。

真夜中、暑さで目が覚めた。猛烈な渇き。
冷蔵庫からキンキンに冷えた麦茶を取り出し、喉を鳴らして一気に飲み干す。爽快な潤い、鼻に抜ける麦の香り。

夏!

しばらく冷えた余韻に浸る。
この時間がとても好きだ。


朝、家を出ると刺すような日差し。
肌に当たる熱感から、季節が変わったと悟る。
歩くだけで汗ばむし、ジムに行けばビショビショだ。たった5分組み合うだけでも、全身から汗が噴き出す。
「暑いね」が挨拶になる。
カラリと肌焼く熱線ではない。蒸し器に入れられフタされたような息苦しさ。
かつてバイクに乗っていたけど、地獄だった。日除けのない中、ヘルメットとプロテクターで重武装。走ってたら涼しいのでは?とよく言われるが、気温が高すぎてドライヤーめいた熱風が来る。暑い、キツい、逃げ場がない。

でも、わたしは夏が好きだ。


「暑いね」と挨拶を交わす人々からは、同じ敵と戦う連帯感がある。
灼熱地獄から帰宅し、37℃を指す室温計を横目に見ながら冷房を思い切り効かせて汗まみれの服を脱ぎ捨て風呂場に駆け込む。
シャワーを浴びて身体を拭くと、いい感じに涼しくなり始めた室温と相まって、なんとも言えない爽快感が身を包む。
一人暮らしの気楽さゆえ、とてもお出しできない格好でエアコンの下をうろつく。
適当に肉でも焼いて、冷えたビールを喉に流し込む。


生きてる。

バイクも、格闘技も、暑かろうと汗にまみれようと、その瞬間に集中しなければ大怪我するか命を落とす。猛るスリルから生還し、熱を冷ます瞬間。たまらなく「生」を感じて病みつきになる。

だから、夏はやめられない。




夏ならではのイベントも外せない。
身軽な季節。開放感。
さらりとした浴衣が花咲く夏祭り。
海やプール。背中に日焼け止めを塗り合ったり、水着姿にドキっとしたり。
少し暑さの引けた夜、窓を開けて夜景ドライブ。
日照時間の長さが感情に好影響なのか。
夏休みという嬉しい時期を10数年に亘り経験したからか。
夏のイベントは、他を差し置いた「特別感」がある。


今年の夏は何をしよう。
海も、プールも、花火も、色んなことをやりたい。
「暑い!」と文句を言いつつ、わくわくしながらそんなことを考えている。

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