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人口減少は本当に問題なのか

最近の日本では少子化問題で騒がれ、「少子高齢化」「労働者不足」などの問題がメディアや人の会話の中で、ごく自然に出される.

そして皆、話の根底にある基盤には「少子化はよくないこと」と言う考え方で議論を進めている.

「少子化は悪いことだから子供を産めるように支援をしよう」「制度を変えよう」「企業も変化が必要だ」と.

しかし本当の意味で人口減少は悪いことであると議論されているのか不思議でならない.

最近のSNSやメディアではこの本質的な基盤が崩れている可能性があると私は思っている.

まずは人口減少による問題点を挙げ、それらが議論上に出る事として正しいのかを見分ける必要がある.

そこから人口減少への理解をしていこう.


人口減少で引き起こされると考えられている事象


まず人口減少で引き起こされると考えられている可能性についてピックアップしてみたいと思う.

①人口減少による経済力・国力の低下

②社会保障上で勤労者側の負担が大きくなる

③勤労者が減れば国債が返済できなくなる

④日本人が絶滅する

と言った問題点が挙げられる.

しかし本当に問題点として成り立っているのだろうか.そこについて一つ一つ見ていきたいと思う.

そして今後あるべき姿について言及していきたいと思う.

①人口減少による経済力・国力の低下

一人当たりの生産性は変わらなくとも母数が減ってしまうため、経済力が低下してしまうと言った感じだろうか.

すると議論の根底にあるのは一人当たりの生産性が増えない増やそうとせず人口でカバーする.という事だろう.

人口増加以外での経済力向上を全く考えていない思考停止状態とハッキリ言える.

確かに人口が増加すればその分の労働人口が手に入る.そうなれば一人当たりの生産性は以前と同じでも全体の総和で見れば大きな生産性になるだろう.

しかしその場合で仮定されなければいけないのは人口が増減のリスクにさらされる事なく常に横ばいの状態でなければならない.

それが可能でない限り我々は1000年先まで人口減少の問題を提示し議論されることになる.

では人口減少でも経済成長は可能なのか?についての疑問が残るだろう.

短的に話すと「可能」である.

何故ならば日本には伸びしろが十分にあり、今後大きく経済成長できる可能性は十分にあるからだ.

しかし議論上に出されないという事は経済成長できないと思う何かしらの「ひっかかり」が存在しているのかもしれない.

まず考えられる原因として「労働時間」が考えられる日本は世界の先進国の中でダントツに労働時間が長い.

特にヨーロッパ諸国と比べるとその差は異常である.

日本でGDP3位の上位国としての地位を手に入れ日本人の多くは誇りに思っているらしい.

そのため経済低下の話が出ると反対意見として「日本はそれでもGDP3位の大国だ」と謎の意見が飛び出し混乱する.

しかしGDP自体に何の価値も無い.正直いえばGDPで物事は判断できない.

一見の生産性だけを重要視し、他の事象には一切触れられていないからである.

そこで考えるべきなのが「労働時間」である.

先ほど私が述べた通り日本はGDP3位の国である.そして4位にはスペインがランクインしている.

そしてGDPで見るとスペインとの差はそこまで大きくない.

しかしこの2国には大きな差が存在する.それは他でもない「労働時間」である.

実際にスペインとの労働時間の差では2倍近くある.簡単に解釈するとすれば、「働きすぎ」である.

日本は鎖国後の産業革命によって大きな進歩が出来た.
海外の技術・産業が日本にもたらされ、日本人はその世界観に大きな影響を受けたに違いない.

その後日本という国は産業を生み出す国ではなく産業の中でトップを争う主要国へと発展していった.

当時の高級品であった「一眼レフ」「時計」は日本人の技術者たちによって「安く」「使いやすく」「整備のしやすい」大衆向けへの技術へ変わっていった.

当時、最高級品として世界的な評価を受けていた「ライカm3」は、やはり芸術的である.

しかし大衆は芸術よりも「数」を求めていた.

それを可能にし、大きな産業発展を遂げることが出来たのが日本なのである.

そう考えると日本は素晴らしく、誇らしい国である.

しかし、その反面新たな問題点が顕著化していく事になった.

それは通称「エコノミックアニマル」.働いた分だけお金が手に入るから限界まで働くという新たな概念の誕生と皮肉な表現である.

この概念は佐藤栄作内閣発足時に掲げられた「国民所得倍増計画」の弊害的問題であった.

これにより、技術の自動化の反面その分を労働時間に注ぎ込む事になってしまった.

先ほど比較対象に挙げたスペインはGDPでは日本に劣っているものの労働時間では日本と圧倒的な差があるため、国民の自由時間が多く、家庭への協力精神も強い.

家庭への協力が増えるということは、全体の幸福度も上がることとなる.

労働力だけで維持できているGDPには何の価値も無いのである.

しかし、実際に労働人口が減ればその分の産業を支える人材がいないから、労働時間は増えてしまうだろう.

そう考える人が一般的だろう.

しかしシンガポールなどの先進国に目を向けてほしい.

あの国は人口550万人程度の東京の約半分の人口で世界的な先進国として名を挙げている.

要は人口は経済成長・経済維持にはそこまでの関係は存在しないのであり、それはシンガポールなどの国が証明している.

要は産業の内容によって経済は大きく変化することができ、人口減少による経済力の低下は議論上崩れている.

人口減少による経済停滞と考えられる問題は以前の経済状態を用いたものでありイノベーションを起こせればいくらでもレジリエンスできる.

現在の我々の意識は黒船が来航する以前の日本によく似ている.しかし来航して数年で鉄砲を量産させることに成功し、戦での大きなイノベーションが起きた.

日本国内で野球をやり、海外ではサッカーをやっていた事が日本国内でもサッカーが普及し人気を誇り世界での挑戦が可能になったのだ.

この産業に関しては他の機会で解説したいと思う.....

②勤労者が減れば国債が返済できなくなる

コレは妥当である.

要は人口減少は納税者が減ると言う事だろう.

勤労者がいなければ社会保険料も所得税も払う人間はいない.

そうなれば確実に国債残高は引き延ばされていく.どう思考チェンジしても変わらない事実である.

これは国債の返済面での話であり,経済面での話ではない.

思っている以上に経済は人口減少の影響を受けていない.勤労者が減れば国債が返済できなくなる.という所では勤労者が減れば国への納税額が減るとしたが,経済面で言えばそんな事はない.

なぜならば.現在の経済と4、50年前の経済では全く違う.

21世紀に入ってから急激に進化したインターネット産業は文字配列からコミュニケーションに大転換し大きな産業を作り出すことに成功した.

このインターネット産業は仕事の効率化を可能にし,自宅労働のような場所を問わない仕事の形や自動化が行えるようになり1人あたりの生産性は大幅に向上する事に成功したのである.

ここで勘違いして欲しくないのは,勤労者が減れば経済も低迷するというわけではないという事である.

実際にシンガポールの例を見てみよう.

人口はたったの545万人ほどで国面積を見ても東京23区よりも少しだけ大きいだけの国家である.

しかし経済面で見れば日本以上に発展し,豊かな国である事は間違いない事実である.

この背景には、シンガポールという国の経済と政治の構築が上手かっただけでは説明できない.

この一つの考え方として「人口が少ない」という事が大きく関係していると考えられる.

要は人口が少ないことでリーダー的存在が強調され,リーダーシップの取りやすい政治が可能になった可能性が高い.

日本は良くも悪しくも中途半端な人口を抱える中堅国家である.1億2000万人という多くの少なくもない人口はリーダーシップをとっても全体への反映は難しいだろう.

この可能性を考えるとシンガポールだけでなくヨーロッパ諸国も同じような状況が説明できる.

ここで説明したいのは,経済面の話では人口は関係ないという事であり,1人あたりの生産性で経済は大きく変化するという事である.

③日本人が絶滅する

他に言う事がなくなったのかと言わんばかりの暴論だが、この論は数十年前であれば通用していたかもしれない.

人口が減少すれば子供を産むための母数が減り、最終的に絶滅してしまうという考え方なのだろう.

考え方としては妥当である.

そのためには人口が減少するインセンティブを考える必要がある.

例えば、労働時間や金銭的問題、インフラ設備、幸福度、年齢、体、遺伝子など多々の事象が考えられる.

大量の原因によって引き起こされているわけだが、実際のところ子どもを産もうと思えば産める技術は大量に存在する.

倫理的に問題視される事が多いが人口減少による問題が最大限まで引き延ばされた場合倫理など話す暇はないだろう.

さらに言えば倫理観というのは教育や生活の事象により徐々に変化する.

特に人工授精技術は数年前までは被人道的で倫理観に欠けていると世論は言っていたが今は違う.

他にも精子凍結技術もある.

今までに比べれば圧倒的な技術的進歩により絶滅の可能性を防げる.

絶滅とは誰もが考えず無意識的に存在が消滅する事であり、今この場で人口減少が囁かれていれば絶滅などまずあり得ない.

ここまで熱心に語れば日本人が絶滅するという暴論を繰り出す事はないだろうと願いたい.

(ここではあくまで日本人であり、海外との混血も理解の範囲内である)

人口減少で伝えたいこと

さてここまでは人口減少の議論は正しく行われているのか?について言及してきた.

しかし実際問題人口減少は国内の伝統文化の継承や技術の継承に関して問題になってくる.

やはり人口減少は解決すべき問題点なのである.

この問題に関して岸田首相は新年の記者会見で言及し異次元の人口減少問題に取り組んでいくと述べた.

人口に関する歴史を見ていくと過去に多くの人口を失う機会はたくさんあった.

特に戦争時には多くの労働者が戦場へ行き、多くの命が失われた.

日本に限らずヨーロッパ諸国ではペスト菌によって全体の3分の1程度の人口を失った.

人類社会は病気と戦争によって何度も人口の減少を経験してきた.

しかしそれでも一定の人口を取り戻し、今の社会を構築できている.

それは病気かもしれない.それは戦争かもしれない.

今は全く違う問題に直面しているかもしれない.

しかし人類は諦めず人口を守ってきた.

ここは人口減少に関して政府の政策に委ね,人口減少を食い止めるために努力してもらいたいとしか言えない.

今回は少子化問題の議論は本当に正しい議論が行われているのか?に対する疑問の投げかけのような形になった.

今後は少子化問題に対する解決策や考え方などを述べて見たいと思う.

ここまで付き合ってくれた読者の方々本当にありがとうございます.


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