浮島 漣

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浮島 漣

詩やエッセイ、写真などを掲載しています。       PIXTA で写真(画像データ)の販売をしています。         pioggia       https://creator.pixta.jp/@prof1376346

マガジン

  • 旅するレンズ 近畿編

    大阪や神戸などで撮影したものを掲載しています。

  • よしなしこと

    日々の断想を綴ります……

  • レンズ談義

    オールドレンズの魅力をお伝えできればと思っています。

  • 雲の名前

    空に浮かぶ雲 常に変化し、決して同じところにはとどまらない。 雲はたぶん天才などではないと思うが そう思いたくなる人の気持ちはよく分かります。 何はともあれ、雲は、水と光とが生み出す 唯一無二の「宇宙のキセキ」です。

  • 詩の暦

    詩や短歌などを掲載しています。

最近の記事

  • 固定された記事

詩集 薔薇と夜光杯

第1部  リラの花、五月の誰彼に……  リラの花―――五月の誰彼に似合いの  映画のように 落日の馨りを埋め  優しさと憧れに 心は盈ちていなかつたか  望みと祈りのようには 恋する人であつたのか  ひとりのままで生きてきたから―――  露台にはさびしい歌を口遊む いつものように  拒まれたままで 誰も振り返りはしなかつた  さみしさは多分音楽のようには響かない  小さくうなづいたか細い肩を抱く  孤独な企みと 夜は深く同意する  やはり 家族を眠るのか  

¥200
    • +21

      神戸 北野異人館

      • +27

        神戸夜景 2

        • 恋愛事変 その7

                  第六篇 濾過摂食性  その人は、一風変わったところのある人で、年の頃は二十歳前か還暦前か、見た目は曖昧模糊としているが、言葉や仕草に残された甘酸っぱさは、紛れもなく、若者だけがもつ熱帯特有の高貴な香りを放っていた。  彼と一緒にいると、いつも、甘美な夢の宮殿でふわふわしているみたいだった。  モンゴルの草原を駆け抜ける荒々しい駿馬に跨がり、どこまでも続く青く高い空に近づいていく。 「蒙古野馬は、ポニーの仲間なんだ。ハーレムを作るらしいけどね」 「ハーレム

        • 固定された記事

        詩集 薔薇と夜光杯

        ¥200

        マガジン

        • 旅するレンズ 近畿編
          21本
        • よしなしこと
          34本
        • レンズ談義
          13本
        • 雲の名前
          106本
        • 詩の暦
          19本
        • 花の栞
          11本

        記事

          恋愛事変 その6 水族

              第五篇 水族 「むしゃむしゃ」  君の食欲は半端ない。まるで地球を今にも食べ尽くすくらいだ。 「くしゃくしゃ」  君の咀嚼力ときたら、岩でも水母でもあっという間に片付けてしまう。  隣りのザトウクジラが驚いていたよ。 「百年近く生きてきたが、こんな人間は見たことがない」  君は、海と陸の境目を壊し、地平線と水平線をぐちゃぐちゃにした。もう元通りにはならないように。  それから、この惑星は、そのことを小耳に挟んだ。  惑星は、深く恥じた。  そして、とうとう前代未聞

          恋愛事変 その6 水族

          恋愛事変 その5 JK

              第四篇 JK  JKのことは、もう忘れよう。  彼女のことは、苦い思い出が醸し出すあのうっすらとした微笑、そのニュアンスだけがいつまでも空気のように漂い、部屋の片隅に残っているから。  彼女のことは忘れよう。  そう決心したものの、まだ、十代の俺には、荷が重すぎる。  彼女とその彼との物語を語るほど、成長し切っていないのは、自分でも分かる。  ある日の昼前近くだった。  久しぶりに学校を訪ねると、ひどく人混みがして、どうやら学園祭だったのかと気付く。 「不味い」

          恋愛事変 その5 JK

          恋愛事変 その4 プラネタリウムの闇

              第三篇 プラネタリウムの闇  高校生最後の冬休みは、昨日好きになったばかりの彼を誘って、制服でデートがしたい。  昔々の、と言っても、そんなに昔の話でもないんだけれど。それはともかく、  テーマパークもいいけれど、できれば、水族館かプラネタリウムがいいかな。  彼のことは、まだよく分からないけど、優しい眼差しがいつの間にかわたしを溶かしてしまいそうで、ほんとは怖いくせに、なぜか少しもひるんでない、そんなわたしに初めて出会った。  最初のデートは、季節に追い立てられ

          恋愛事変 その4 プラネタリウムの闇

          恋愛事変 その3 ハンリュウ

              第二篇 ハンリュウ  シンデレラと言えば、ハネムーンかエクスプレスしか思い付かない。  わたしって、お馬鹿さんなのか。  彼と出会ったのは、偶然の必然、それとも、必然の寓意、ともかくも神の意志、個人的な配慮というか、神慮というものを信じるのが一番無難なようだ。  スクランブルで信号待ちをしていたら、突然雨が降り出し、近くのコンビニに駆け込んだ。  韓流ドラマならそこでイケメン君とバッチン、とかなりそうなものだが。  ついでに、明日の朝食を用意しておくかと、

          恋愛事変 その3 ハンリュウ

          恋愛事変 その2 人魚の家

              第一篇 人魚の家  人形町の隣りにある人魚の家、そこが今度のわたしの勤め先だ。  契約社員だが、うまくすると、一年後には正社員になれるらしい。実際、なった子が隣りにいるから、希望は持てる。  格差社会というが、ネーミングなんてすべて思い込みか思わせぶりかのどちらかで、真実を言い当ててしまったら、使えない。  前の彼とは半年も続かなかった。  水族館も、映画館も、プラネタリウムも、お洒落なカフェも、実際二人で行ってしまうと、何だか、後は色褪せてしまうのを待つだけ

          恋愛事変 その2 人魚の家

          恋愛事変 その1 序の口

          あらすじ  あらすじというほどのものはないが、時代を超え、世代を跨ぎ、時流とともに、世相に背き、人は、性懲りもなく恋をする。  人を愛することは、事の性質上、たやすいものではないが、人を恋することならば、満更できぬ相談でもあるまい。  老いも若きも、賢きも愚かしきも、ひとたびこの世界に産み落とされたからには、誰か恋せざるには、自らの生きる意味を見失うほかない、としたものか。     序の口  残酷な初恋ほど甘美さを増すものだ。  甘美さは却って痛みを深くするが。  塩と

          恋愛事変 その1 序の口

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          神戸 散策 2

          神戸 散策 2

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          レンズ談義 その13 ヴェロスティグマートの謀略~キノ・プラズマートの呪縛を逃れて

          Wollensak Cine Velostigmat 1inch F1.5 4群4枚 キノ・プラズマート(4枚玉バージョン)タイプ Cマウント 最小絞り値 f16 最短撮影距離 2inch 絞り羽根枚数 9枚 シルバー鏡胴  小振りな、ちっちゃな、滲み系のレンズである。  かの巨匠ルドルフがツアイスで開発し、フーゴ・メイヤーに移籍後、同社から製造販売された革新的なシネ・レンズであるキノ・プラズマート(50mmF2 4群6枚)、その4枚玉バージョンと同じレンズ構成である

          レンズ談義 その13 ヴェロスティグマートの謀略~キノ・プラズマートの呪縛を逃れて

          ドラマ劔 その14 風姿歌伝~尾崎豊の場合

           尾崎に殉教は似合わない。  それゆゑ、あのように手荒な死を迎えることになる、と言っていいものか。  選びようもなく、選ばれたかの如く、すべての飾りを脱ぎ捨て、突然の中断に身を委ねる、驚きの目も悲しみの声もなく。  26年は、電光の煌めきと化し、残された者たちは、そのキセキにただ目を奪われ、耳を劈く。  疾走する魂は、やがて行く手を見失い、失踪する運命を予感し、受諾する。  15の夜(珠玉のロック魂)  僕が僕であるために  自分に勝ち続けることは、誰にも出来ない、不可能事

          ドラマ劔 その14 風姿歌伝~尾崎豊の場合

          ドラマ劔 その13 韓流の最果てに

           インフルエンザの予防接種も済ませ、冬支度の前に、連日、紅葉を撮りに飛び回る。  オールドレンズをとっかえひっかえ、最低3本、シネレンズ、準広角、標準、中望遠の組み合わせを考えながら。  広葉樹の黄変に始まり、カエデ、モミジへと進む秋の展覧会、気忙しい。  それでも、合間合間に、韓流ドラマを見て、体を休める?  最近は、ほぼ、Netflixがメインになっているが。  「愛の不時着」をとうとう見てしまう。キム・ソニョンの堂々たる演技に舌鼓を打つ。  「ロマンスは別冊付録」イ・

          ドラマ劔 その13 韓流の最果てに

          ドラマ劔 その12 ノマドのドラマ~ひとり森(キャンプ)を行く

           ノマド、遊牧の民、放浪者  時に、キャンプで火を囲み、酒を酌み交わし、星や波、風や砂のことなどを語る。  時に、ひとり、草を枕に仮の宿りをする、月と雲、草と木との諍いに耳を澄ませながら。  青春、それは、さすらいの旅に似て、あてどなく、どこかしら辿り着く前に、別れを告げなければならないもの、かもしれない。  LONGMANの「Replay」、TVドラマ「ゆるキャン△」の主題歌を聴く。「ウチカレ」からの流れで、福原遥を追っかけて辿り着く。  男女のツイン・ヴォーカル、女声パー

          ドラマ劔 その12 ノマドのドラマ~ひとり森(キャンプ)を行く

          ドラマ劔 その11 百恵伝説

           山口百恵は、女王ではない。  美空ひばりと山口百恵については、書くつもりはなかった。畏れ多いのである、ということにしておこう。五感に障るわけでもないが。  今朝、ふと耳にした「横須賀ストーリー(1976年)」が、わたしの何かを揺り動かした。  「これっきり これっきり もう これっきりですか」と繰り返すパロデイーっぽい歌い出しが、印象に強すぎて、ストーリーの最後までは見届けてはいなかったようだ。  「そう言いながら 今日も私は 波のように抱かれるのでしょう」  横須賀という

          ドラマ劔 その11 百恵伝説