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詩の暦

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記事一覧

夏日記 Ⅱ

ひとは嫌いな土地になどいてはならない 時間は何も保護しない 偉大であることは欠乏の戦慄に…

浮島 漣
3年前
2

Ⅰ 吃水線  1-1 相聞

その花のほのかにうつすみなもにも波たち騒ぐあしたとなりぬ(再掲) わすれえぬひととなりせ…

浮島 漣
3年前
1

Ⅲ 万華鏡 3-1 異物

暁に漂ふ花の馨りすらん絡みて咬みて貌(かたち)も知らず その花の青き馨りを封函するときば…

浮島 漣
3年前
1

薔薇の方程式 3

    夜 海岸通りを歩く  海の零度を確かめる  冷たい季節の配列が続いていた  ワイエ…

浮島 漣
3年前
5

わたしの夏、夕べには愛を語る……(詩集 薔薇と夜光杯)

 わたしの夏――ひとりの男とその女のために必要とされた時刻  夕べには愛を語る 習慣の美…

浮島 漣
3年前
5

夕闇の漂う頃(詩集 薔薇と夜光杯)

 夕闇の漂う頃 秋の深まりに街は濃い影を落し  ふたり たそがれを歩いている 静かな夕べ…

浮島 漣
3年前
13

変奏 第6章

 永遠は一瞬のうちにしか棲息しない  美しい季節は確かめる  失明する夜明け前の  海に  偉大な雲の末裔と  裸体の病いに悩む  雲の廃虚を訪ねる  落雷の化石をひとつ拾う  光の階段に踞り (以下略)

異境にて(詩集 虹と鉛管)

 異境にて  誰も待たない  わたくしを棄てた苛政の軋轢も底知れぬ圧政も  そこまでは待て…

浮島 漣
3年前
5

苦い水(詩集 虹と鉛管)

 きのうからの風が  わたしの砂丘のかたわらを過ぎていく  思えば人間ほど殺人を犯したもの…

浮島 漣
3年前
10

美しい帆(詩集 晩夏香)

 彼女は美しい帆を立てた  わたしは白いさざなみになり  五月の海を滑つていく  わたしは…

浮島 漣
3年前
6

かんせいど(詩集 晩夏香)

 秋霖前線てやつが終る頃  別れた彼女が戻ってきた。  木の葉一枚の差で乗り遅れた季節のバ…

浮島 漣
3年前
7

アニュス・デイ(詩集 晩夏香)

 アニュス・デイ  彼女のことは忘れよう  そして五月の木漏れ日に包まれて  優しい動物に…

浮島 漣
3年前
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詩集 薔薇と夜光杯

第1部  リラの花、五月の誰彼に……  リラの花―――五月の誰彼に似合いの  映画のよ…

200
浮島 漣
3か月前
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詩集 虹と鉛管

第1章   淋しい草原  月の砂を食べる  美しい女といふアンニュイ  そのやはらかな質感を確かめる  夜の涙はきつく吸わない  濡れ痛む髪の束ねを解き放ちわれよりほかに誰を抱かん  抱きをれば胸のかたちの痛みゆく雨を呪いしひとのやさしさ  大いなる星座のもとにふたり佇つこんじょうの夜ちきうはひどくめまいする  美しい建築の横顔も  それからは淋しい草原にゐるのだ   ライオンの山  ライオンの山には  黄色い火炎樹と青い一角獣が栖んでいた  ある日戦い

有料
200