10年間御守デザイナーをやってわかったこと。#01 神社とお寺違うの?
こんにちは。元御守デザイナーのりいなです。
10年間御守デザイナーをやってわかったことをデザイナー目線でご紹介するマガジンです。
今回のテーマは『神社とお寺は違うの?』
①そもそも・・・
御守のデザインをやってます!と話しをすると、よく聞かれたのが
「神社とお寺の違いがわからない」
という質問です。
神社とお寺、日本人の生活に入り過ぎてるのか、特に習わないからか。
ほとんどの方が知らないんですよね…
なので、まずデザインの話をする前に。
神社とお寺の成り立ちを書こうと思います。
②神社の成り立ち
神社というものは自然信仰が始まりで、災害や恵みに名前をつけて具現化(擬人化)し、【災厄から身を守り豊かな生活になる】ように祈りをささげる場でした。
日本は自然災害が多い国とも、自然が豊かな国ともいわれます。
季節毎に旬の食材があったり、穏やかな気候や厳しい気候が交代したり、台風シーズンがあったり、突発的な災害があったりと。。。
良い面でも悪い面でも自然に生活が左右されていた。
なので、人間の手に届かないエネルギーに向かって祈るという行為があり
その場が生まれました。
神社というのは、古いものは山や巨石が神様になっていますし、科学的な調査をするとゼロ地場だったーという事もあります。
「あの場所には不思議な力がある」
そう考えた昔の人の感じ取る力は凄いと思います。
②お寺の成り立ち
お寺というのは、そもそもは仏教の開祖であるブッダによって生み出されたものです。
掻い摘んでブッダの事を書くと
インドのある所の王子として生まれたブッダは、生まれた時に占い師から
「この子は成長すると、素晴らしい王になるか、悟りを開きます」
と言われます。
父親は王になって欲しいので悟りと真逆の贅沢三昧をさせますが、
そういった生活をしていても宮殿の外の様子を見たブッダは
・老いる事が怖い
・病気になることが怖い
・死ぬことが怖い
と、今の生活を続ける事が嫌になり本当の幸せを求めて出家(旅立ち)ます。
そこから癒余曲折があり6年かけて悟りを開きます。
そしてその悟りの内容を多くの人に説き、伝え、弟子もどんどん広めました。
そうして大陸から伝わった【良き人生の暮らし方】が仏教です。
③誰に拝んでるの?
神社と仏教の成り立ちを簡単に説明しましたが、だいぶ違うんだなと思ったのではないでしょうか?
そうなんです。お寺には仏教の教えというものがありますが、神社は自然信仰が元なので教えというものがないんです。
そのため、神道は宗教ではないといったりもします。
(利権によって利用されたものは除く。)
では、参拝・参詣して何を拝んでいるんでしょう?
神社では八百万の神というくらい、対象が多いです。
山や巨石や滝といった自然だったり、台風や火山や津波などの自然現象であったり、菅原道真や平将門といった人だったり…
畏敬の念を感じる相手が全部対象なので何にでも神様がいます。
そういった多くの神様に向かって、
「健康でありますように」
「家族が幸せりますように」
「無事に旅から帰ってきますように」
「豊作でありますように」
「大漁でありますように」
「水に困りませんように」
「商売が繁盛しますように」…
そういった生きていく上での大切な願いを拝んでいました。
拝む場所はもちろん神社です。神様は土地に宿っているので神域に行って拝みます。
ただし、遠くてなかなか行けない場所の場合は遥拝所という遠隔参拝が出来る場所があります。
実は、近隣にある稲荷神社、神明神社、八幡神社。こういった神社は総本山のおおもととなる神社から神様の魂を呼んで祀っているので、大きく分けると遥拝所です。ただ、神様は1対1で魂が分かれるので実質一緒。
他には、富士塚なんかも遥拝所です。
富士山の溶岩も持って帰ってきて、実質富士山。
他には、「この方向の先に伊勢神宮があります」といった遥拝所はその方向に向かって参拝します。
さらには、自宅の神棚もそうです。お札には神様の魂が宿っているので、
お札に向かって参拝すればリモート参拝です。
*
一方でお寺は拝む対象は仏様(ブッダ)のみです。
ただし、〇〇如来や〇〇菩薩、〇〇明王、〇〇天など聞いたことがあると思います。
これらは色んな角度からブッダをみた名称…といって言いと思います。
優しい顔、怖い顔、穏やかな顔、理性的な顔、厳しい顔…
人には合う合わない性格があるので、自分に合った性格の仏様を通じて拝んでいいよーっという事です。
ただ、〇〇天だけちょっと性格が違います。大黒天や帝釈天などの天は、元々はインドの神様でしたが仏教が広まり仏教の傘下()に下った仏様です。なので、〇〇天はブッダではありません。
仏教は今の苦しみを修行の一環と考え、
苦しみを受け入れる→穏やかな心になる
事を目的としています。ヨガをやった経験がある人は似たことを聞いたことるのでは?
雑念を捨てて、不満をなくして、そうして悟りを開く。
そうすると死後に幸せを得るといった考えです。
細かい宗派の違いは置いておきます。
*
つまり、生きてく上の願い事→神社。死後の幸せ→お寺。
といったすみ分けが生まれ、
七五三や厄年・地鎮祭・結婚式が神社で行われ。
お葬式やお墓がお寺にあることが多くなりました。
④神社とお寺の見分け方
これも良く聞かれます。
神社もお寺も立派な建物で見分けがつかないという事です。
ざっくりとした見分け方ですが。
神社=入口が鳥居
お寺=入口が門(山門)
これでOKです。
たまに、鳥居がない(鳥居に見えない)神社があったりしますが…
え?お寺の中に神社があった?お稲荷さんなのにお寺だった?
これは、日本の長い歴史がややこしい事をしたので仕方ないです…
浅草寺の中に浅草神社がある事も。
豊川稲荷が寺なのも、日本の歴史のせいなので。
鳥居や門での区別が出来ないときは、入口の名称を見てください。
神社=〇〇神宮、〇〇大社、〇〇神社、〇〇明神、〇〇八幡
お寺=〇〇山〇〇寺
わかりやすい!!
神社とお寺の違いがわかったでしょうか?
似た雰囲気で似たアイテムでも入口が違えば出口も変わります。
デザイナーとしてはこの違いを意識して個々のブランディングを考えていくわけですが、参拝をする方々には是非ともその神社・仏閣の背景を感じ取りながら参拝してもらえたらなっと考えてました。
次回は神社やお寺のアイテムについてです。
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