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脱却!ピントのずれた振り返り

リープに入社して10日ほど経ったある日、OJTの一環として新たな作業に挑戦することになりました。

それは、お客さまに納品するレポートの作成練習をするというものでした。

①まず、お手本となる完成形を確認します。

②そのお手本を例に、レポートに入れる項目や、その項目を算出するための作業説明を受け、類似する別のレポート作成にチャレンジ!

さて、私のレポート作成チャレンジは、どのような結末を迎えるのでしょうか。

チャレンジ失敗……その理由は?

説明を受けてすぐに取り組んだ1回目のチャレンジは、設けられた期限までに完成形まで持っていくことができず、途中で終わりました。

このとき、私は「最後まで終わらなかったな。完了までの時間を短縮させなくては」という振り返りをしました。

新しく取り組むことについて、私は説明を受けるだけでは吸収しきれないことが間々あります。
なので、自分で「お手本」をひも解きながら飲み込んで、慣れとともに少しずつスピードも上がってくるというタイプ。

今回も、この自分の癖が出てしまったのだろうと思っていました。

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裏を返せば、このレポート作成は、「今はまだ時間がかかる。でも、数をこなせば所要時間も減らせるだろう」と捉えたのです。

ところが、この振り返りは、後から考えるとちょっと的が外れていました。

なぜ的外れになってしまったのか?

そこには、「自分に不足している技能を把握できるかどうか」が大きくかかわっていたのです。

真の原因を突き止めるステップ

1回目のチャレンジから数日後、再び別のレポート作成にチャレンジする機会がありました。
今度は前回よりも多少時間に余裕がある状況です。

そのため、説明を受けたときに取ったメモを見返したりしながら、「お手本」をひも解いてひとつずつやっていけば終えられるだろうと思っていました。

ところが、いざ取り組んでみるとこれが全然進まない! とうとう2回目のチャレンジも失敗に終わりました。

できなかったと報告したときは、
「せっかく説明してもらったのに、2回もできなくて申し訳ない」
「時間が迫っていたわけではないのにどうしてできないんだろう?」
という気持ちで頭がいっぱいでした。。。

ただ、このままだと同じ失敗をずっと繰り返してしまいます。

それはなんとしても避けたい!

\\ そこで、真の原因を探ることにしました //

◆なぜ進まなかった?
→どのデータを用いて作業を進めてレポートを作り上げたらいいかわからなくなってしまった。
◆なぜ、どのデータを用いたらよいかわからなくなった?
→考えられるのは、「そのレポートでお客さまに何を伝えたいのか」を意識できていなかったから?
◆伝えたいことを意識できていないとどうなってしまう?
レポート内の項目でそれぞれ何を示したらいいのかはっきりしない

示したいものがはっきりしないと

どのデータを、どのように加工すればよいのかもはっきりしない

ここまで掘り下げてやっと気づきました!

今回の失敗は、「慣れるまでスピードが上がらないという自分の癖」ではなく、「どのデータを選んでどのように加工すればよいかわからない部分を残したまま着手したこと」に起因していたのです。

真の失敗原因を、「ガニェの学習成果5分類」で
整理してみた!

弊社メンバーにも手伝ってもらいながら、真の失敗原因をインストラクショナルデザインの観点で整理してみました。

インストラクショナルデザインの大家であるガニェは、学習成果を5つに分類しました。

まず、知識・スキル・マインドの3つに大きく分類し、知識についてはさらに3種類に細分化しています。

実務スキルについても、この分類方法を用いて、効果的な練習方法を考えることができます。

がにえ

ご参考:実務スキルってどうやったら最速で鍛えられますか?

私のケースをこの「ガニェの学習成果5分類」に沿って考えてみると、下記のような結果になりました。

◆思い込んでいた振り返りポイント
→スピードが上がらない……
=「数をこなしてスムーズさを磨いていこう!」=運動技能の練習方法で克服できるだろう
◆真の振り返りポイント
→どのデータをどのように加工してレポートを作成すればよいか把握しきれていない
=レポート作成の背景と、それを踏まえた規則(適切なデータ選択と加工の仕方)が把握できていない
=「つまずいたら、わかるところまで戻って再度規則を確認する」という、知的技能の学習課題に合った練習方法が必要

参考:鈴木克明『放送利用からの授業デザイナー入門 : 若い先生へのメッセージ』(日本放送教育協会、1995年)

学習成果の5分類を意識すると、振り返りポイント、すなわち、「失敗原因の捉え方のずれ」が一目瞭然です。

今回の真の失敗原因は、不足している知的技能に対する練習が必要だったのに、運動技能の練習方法をとってしまったことだったのです。

失敗原因の捉え方が外れると、何度チャレンジしても成功に近づかない事態に陥ってしまいます。

なぜなら、原因に合っていない練習方法を繰り返しても、失敗の原因(=できていないこと)は解消されないからです。

自ら振り返った内容が失敗した原因ときちんと合致していれば、どのような練習に取り組むとうまくいくかがクリアに見えてきます。

今回は個人的な失敗からお話をさせていただきましたが、うまくいかない原因に合っていない対策をずっと繰り返してしまうことは、社員個人に限った話ではなく、組織全体にも起こっているおそれがあります。

「部下を育成にどう着手したらよいのか困っている」「課題克服に適したトレーニングを知りたい」という方は、ぜひお問い合わせください!

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