広報実績がない会社(人)が広報活動で最初にすべきこと
※本稿は、バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」でリープフロッグ代表の松田が執筆している専門家コラム「スタートアップの広報戦略 ~逆転の発想で考える「○○と言えばこの会社!」になる方法(前編)~」をより多くの方に読んでもらえるように許可を得て転載しているものです。※元記事
リープフロッグ 松田純子について URL:https://peraichi.com/landing_pages/view/leapfrog/
今回のテーマは、B2B企業の広報活動における一つのゴールと言える「○○と言えばこの会社(人)!」になるための方法についてです。「○○と言えばこの会社!」になることは、重要だと思っていてもハードルが高いと感じるでしょう。現状はまだほとんど広報活動をしていない「実績のない人(会社)」であれば尚更です。
しかし、実は難しく考える必要はありません。どんな小さな会社でも、広報経験がなくても、「○○と言えばこの会社!」になるためのステップについてお伝えします。
■「第一人者」になるとどんなメリットがあるか?
まずは、「○○と言えばこの会社!」つまり、自社が特定領域の「第一人者」になると、どんな良いことがあるのかから確認しましょう。以下のように、さまざまなメリットが挙げられます。
ある分野に興味を持つ人・企業にとって、最初にリーチしたいのはその分野の第一人者(トップ企業)です。
第一人者には、実績や人脈やオリジナルのノウハウなど、必ず“第一人者たる理由”があるはずです。だからこそ、その領域をよく知らない人も含め多くの人が、第一人者の会社から物を買ったり、一緒にビジネスを行いたいと考えるのです。
筆者の過去の経験でも、勤めていた会社が海外のある分野の大企業から「日本における○○分野のトップ企業だから御社と業務提携したい」と突然依頼されたことがありました。その会社は、海外進出の際は基本的に各国のトップ企業と提携してビジネスを行うことにしていたそうで、実際にその提携は成立しました。
どんなに小さな分野でも、その分野に興味を持つ人・企業にとって第一人者(トップ企業)はとても魅力的な存在です。
そう、“どんなに小さな分野”でも、です。
■逆転の発想! 自社が第一人者になれる場所を“自ら探す”
実は、ハードルが高いと考える多くの会社は、「○○と言えば」の○○を大きく考えすぎているのです。例えば、IT業界や自動車業界、アパレル業界のトップを目指す(トップと認識されることを目指す)ことはあまりに難しく、スタートアップや中小企業が行う広報活動としては意味がないかもしれません。
しかし本来、その「場所」はどこでも良いのです。最初は、極端な話「そんな分野あるの!?」というぐらいニッチな分野の第一人者から目指せばよいのです。インパクトに差こそあれ、どんな分野であっても、第一人者としてのメリットはちゃんと得ることができるからです。
ここではイメージしやすいように一般消費者向け(toC)商品で説明します。例えば、EC業界のトップには、Amazonやアリババ、楽天などさまざまな巨大企業が居並びます。今からEC業界の第一人者になることは、かなり難易度が高いとすぐに分かります。
しかし、EC業界のなかでもアパレルのEC、アパレルの中でもD2Cブランド、アパレルD2Cのなかでも女性向け下着、女性向け下着のなかでも○○機能があるなど、自社の強みが発揮できる場所を追い求めてどこまでも深く深く掘り下げていけば、どうでしょうか? 必ず自社が第一人者になれる場所があるはずです。
その際、どんなにニッチでも良いので、競合と商品・サービスに関する具体的な差がある場所を探すことが重要です。
ときどき、「商品はほとんど同じだけど営業体制が違う、顧客フォロー体制が違う」という説明を聞きます。企業としては重要な強みですが、そうなると、強みは商品・サービスそのものではなく「営業」や「マーケティング手法」ということになります。
そうした企業が、第一人者として該当領域のトレンドやテクノロジーを語ってもあまり説得力がありません。「同種の商品は多いけれど、この機能がついているのはうちだけ、だから○○業界で圧倒的に使われている」など、具体的に商品、サービスの強みを語れる場所を探しましょう。
■ポイントは、2つのシンプルな壁を超えること
こうしてお伝えすると、広報担当者の方には「意外とやれそうだ!」と感じていただけたかもしれません。「○○と言えばこの会社!」になることを目指す際、障害になるのは意外とシンプルなこの2つの壁です。
1つ目は、「○○と言えばこの会社!」になることはハードルが高いと思いこんで、最初から「まだできない、やらない」と判断すること。
2つ目は、「そんなニッチな分野しか訴求できない会社だと思われたくないからやらない」と考えることです。
特に、2つ目は経営者の方に多い判断です。「もう少し言えることがはっきりしたら」、「もう少ししっかり誇れるものができたら」広報活動をはじめよう、という考え方は理解できます。実際に、はじめからスピード感を持った右肩上がりの成長が見えている企業であれば、正しい判断だと思います。
しかし、そうではない場合、例えば設立されたばかりの会社が生き残っていくためには、どんなにニッチな分野でも、まず「会社があること知ってもらう」「○○分野の第一人者だと認識してもらう」ことは、企業のビジネスや採用、メディアリレーションにとって大きな意味があります。
どんなにニッチな分野でも、その分野に用事のある人(企業)は必ず第一人者に声をかけるからです。知られていなければ、声をかけられようがありません。
■ある領域で認知されれば、そこからチャンスが回ってくる
また、みなさんも普段の仕事や生活でそうした場面に遭遇することがあると思いますが、一定領域で信頼を貯蓄できると、別の領域、次のステージへのチャンスが回ってきやすくなります。
メディア取材を例にして説明します。広告業界のなかでも特に「SNSを使ったデジタル・マーケティング支援で大きな成果を挙げている(と認識されている)企業」は、いずれ「SNSマーケティング分野」の取材にとどまらず、「デジタル・マーケティング全体」の潮流を解説して欲しいとメディアから取材依頼が来るようになります。これは、「○○領域で大きな成果を出している企業のトップがどう考えるのか解説してもらいたい」というニーズがあるからです。
そして、こうした所で取り上げられるようになると(特定分野の第一人者として扱われるようになると)、この領域で一つ突き抜けた存在と認識され、新たにSNSマーケティングをしたいと考えている企業から候補企業として声をかけられる確率がさらに上がります。
メディア取材だけでなく、ビジネスにおいても同様です。例えば、自社が持つ最新テクノロジーをビジネス活用できる領域として「SNSマーケティング」に目をつけたテクノロジースタートアップがあるとします。
その会社は、当然まず「SNSマーケティング」でよく名前が挙がる第一人者(トップ企業)に声をかけて、自社にとっての新規事業を有利にはじめようとします。先程の海外企業との提携もそうですが、こうした事例はまったく珍しくありません。外向きにはそう言わないですが、実際は「たまたま声がかかった」ことからはじまるビジネスはたくさんあります。
ある特定分野でナンバーワンになるためには、それだけのスキル、ノウハウ、人脈などが必要であり、「それを持っている(成し遂げることができた)会社」だと認識されることが次のステージへのチャンスを生むのです。
以上、今回は、逆転の発想を使って広報活動をはじめたばかりの会社が「○○と言えばこの会社!」になるためのステップについてお伝えしました。
「後編」では、「第一人者と認識されている」とはどういう状態なのか、また、企業が特定分野の第一人者と認識されるための具体的な施策について解説したいと思います。
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