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広報実績がない会社(人)が広報活動で最初にすべきこと※施策まとめ※

※本稿は、バックオフィス業界専門メディア「オフィスのミカタ」でリープフロッグ代表の松田が執筆している専門家コラム「スタートアップの広報戦略 ~「○○と言えばこの会社!」になる方法(施策まとめ編)~」をより多くの方に読んでもらえるように許可を得て転載しているものです。※元記事

リープフロッグ 松田純子について                URL:https://peraichi.com/landing_pages/view/leapfrog/

今回のテーマも前回に引き続き、界隈の「第一人者」になるための方法についてです。前回記事では、まだ何の広報実績もない人(会社)が、「第一人者」になることで得られるメリットとなるためのステップについて解説しました。後編となる今回は、「第一人者と認識されている」とはどういう状態なのか、また、企業(人)が特定分野の第一人者と認識されるための具体的な施策についてお話しします。

■「第一人者」とはどんな人か? どうすればなれるのか?


まず、ある領域の「第一人者」とはどんな人なのか、から考えてみます。本連載は企業の広報担当者向けですので、企業トップなどを自社に関わるビジネス領域の「第一人者」にすることで、企業広報に繋げることをイメージしていただければと思います。

企業トップなどを業界の「第一人者」として認識させて企業広報につなげる手法は、まだ知名度が低い企業でも取り入れやすく、成功しやすいと思います。みなさんにも「社名は知らなくても、この人は知っている」という界隈の有名人がいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、「ある領域の『第一人者』とはどんな人か?」と問われたらどんな人物を想像しますか?

図4

例えばこんな感じでしょうか。自社のビジネス領域で○○分野の第一人者と言えば「アノ人だな」と具体的にイメージすると分かりやすいと思います。

これらを踏まえると、第一人者と呼ばれる人は、「誰もが知る実績」があり、それを知ってもらえるだけの「情報発信がしっかりされている」人物だと言えそうです。

情報流通量が少なかった昔であれば、「確固たる実績」を出すことで、さまざまな立場の人が情報を探し出し、仕事や講演、メディア取材依頼などをしてくれたかもしれません。しかし、今は情報が多すぎます。

一方で、世の中全体に向けた情報発信自体が簡単にもなりました。自らの情報発信によって自身の「存在」や「強み」を知ってもらい、いろいろな場面で“声がかかる”「第一人者」になっていくために、まずは何を行えば良いのでしょうか?

図4

まずは、自身の“存在”を知らせないことには何もはじまりません。はじめは自ら情報を発信して、関わる人に「存在」や「強み」を知ってもらいます。そうした情報がオンライン上に溜まっていくと、今度は第三者からコラボの打診や講演依頼が舞い込むようになります。

例えば、ターゲットは被るけれど、商品は被らない企業からのコラボイベントの打診や自社の人間がnoteに書いた考察を「ウチのメディアの読者向けにも書いて欲しい」というようなメディアからの依頼です。もしくは、そうなるように自社から売り込んでしまえば早いかもしれません。

広告と広報の違いでもありますが、「自分の実績を自分が伝える」のと「自分の実績が第三者から伝わる」のでは、相手に与える印象が大きく変わります。今後、自社の人間を取り上げてくれそうな第三者に存在を知ってもらうために、まずは自ら発信していくことが重要です。

■「第一人者」になるために発信すべき情報とは?

ここで忘れてはいけないことが、発信する情報が独りよがり(会社よがり)では意味がないということです。

自社が言いたいこと、会社や商品の宣伝だけでは、もともとその会社や商品に興味を持っている人にしか情報が届きません。重要なのは、相手(業界に関わる人、メディアなど)が知りたいこと、相手にとって有益な情報を発信することです。

ごく当たり前のことですが、実際には多くの企業が相手の知りたいことではなく、自社の言いたいことだけを発信し続けています。これは、企業活動であるからには、情報発信そのものによって直接的に利益を得たいと考えるからでしょう。

しかし、ターゲットを厳密に定めて、ターゲットが多く集まる場所に、大量の情報を投下する広告でもない限り、情報発信だけで利益を得るのは簡単なことではありません。

広報活動では、情報発信によって直接利益を得るというよりは、情報発信によってステークホルダーからの「認知」と「信頼」を獲得し、「第一人者」として理解されることで生まれるメリットを享受するという流れを狙うのが自然です。(※「第一人者」になることで得られるメリットについては前編をご参照ください)

業界の人が参考にできる有用な情報とは、例えば以下のようなものです。

図5

※失敗の共有については、自社のメリットを考える必要はありますが、情報としてのニーズは高いです。

個人ではなく、企業が持つノウハウであったとしても、どなたかの名前を集中的に使って情報発信をしていくことで、その方を「第一人者」にしていくことができます。

自らの情報発信から第一人者と認識されるまでの流れは、○○分野・業界向けの有用な情報発信をつづけることによって、「自社の存在、取り組みを知ってもらう」⇒「自社の強みを知ってもらう」⇒「○○分野の第一人者だと認識してもらう」となります。

相手が知りたい情報であることを前提としながら、そのなかで自社の「存在」、「強み」をしっかりと伝えていくことがポイントです。また、情報発信においては、情報の質とともに頻度が重要です。

■企業が「第一人者」と認識されるための近道


最後に、特定の個人ではなく、企業そのものが「第一人者」になるための近道についてお話しします。

企業そのものが「第一人者」と理解されているとは、どういう状態か。それはマーケティング用語で言う「ユーザーにとっての第一想起になる」ということです。

そして、そうなるための近道は、まず自社のありたい姿(「○○分野で○○と理解される存在になる」など)を決めて、そう理解されることに繋がる上質な情報を徹底的にオンライン上に溜めていくことです。

つまり、簡単に言うとユーザーが○○分野の○○について「ググったら最初に出てくる会社になる」ということです。

会社から発信する(したい、できる)情報には、さまざまな種類があります。その際、単純に「必要性が生じた順」に発信するのではなく、戦略的に「第一人者」になるための情報発信を行っていく、発信できる情報を“作っていく”ことが重要です。

また、上記のような「攻めの広報」に加えて、矛盾した情報が出ないようにきっちり管理することも必要です。

まずは、「自社が取りたいワード」を決めて、「そのワードでググったら出てくる会社になる」ことを意識した情報発信をはじめてみましょう。そうした情報が自社から、また第三者から豊富に発信される状況を少しずつ作っていくことがまさに広報活動と言えます。

■「ググったら出て来る会社」になるために発信すべき情報とは?


図6


以上、「○○と言えばこの会社!」になるための方法について前・後編に分けてお伝えしました。

ただし、こうしたことはもちろん、一朝一夕にはできません。「ググったら出てくる」状態になる(さまざまな人の第一想起になる)まで、少なくとも年単位の時間がかかります。

会社の成長速度によっても変わり、時には事業の方針転換によって発信すべき情報が180度変わることもあるでしょう。まったく一筋縄ではいきません。

それだけ人の認識を作ったり、変えたりするのは容易ではないということです。何かで“バズった”結果、一気に知名度が高まることがあります。しかし、そこは英語のことわざ「Easy come, easy go」(簡単に手に入るものは、簡単に失う)の通りで、その情報を聞かなくなるまでのスピードも早いです。筆者は、継続的に上質な情報発信を続けるしか方法はないと思っています。

企業トップや広報担当者の方には、誠実な情報発信を続けることで自分たちがたどり着きたい場所を目指していただければと思います。

※前編はコチラ

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