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幸せになっていいんだよ

幸せになりたい。幸せになりたいはずなのに、幸せを感じるとどこか落ち着かなくなるのはなんでだろう。幸せって思ったとき、まるで心のバランスをとるみたいに、わざと落ち込むようなことを考えている自分がいる。幸せでいることが怖いのか、はたまた許せないのか、幸せを幸せのままにしておけない。確証はないけれどやってくるであろういつかの苦しみに怯えて、今の幸せを抱きしめることができないのだ。自分が幸せになることをいちばん妨害しているのは、自分自身なのかもしれないなと思う。

ずっと不幸だった、って言いたいわけじゃないけれど、振り返ったとき目にとまるのは苦しかったときのことばかりで、まるでずっと苦しかったみたいに感じることがある。つらかったんだよって不幸ぶってしまう。苦しみに隠れているだけで、幸せだってあったはずなのに、そっちに目を向けられないのはなんでだろう。
それとも、あえて目を逸らしているのだろうか。不幸だった自分でいるほうが、今の自分の状態に説明がつくから。今こんな自分になってしまったのは、過去が苦しかったからって言えるからだろうか。
今の幸せを認めてやれない限り、過去の幸せも認めてやれないのかもしれない。

でも、幸せを認めるのはむずかしい。わたしはなんとなく、幸せになってはいけない気がしている。自分の胸の中で膨れあがった自己嫌悪が、自分が幸せになることを許容しない。明確な理由もなく、ずっと苦しんでいないといけない気がしている。

幸せって思いたくないのかもしれない。今のわたしは過去のわたしが思い描いていた幸せとほど遠いところにいるから。それなのに、それで幸せなんて思ったら過去のわたしはなんて言うか分からないから。違った形の幸せを選んだ自分のことを許してくれるだろうか。こんなはずじゃなかったのにって言わないだろうか。

幸せになりたい。けれど、幸せになるのが怖い。いつか落ち込む未来が怖い。過去の自分に失望されるのが怖い。それならいっそ、自分が幸せになりたいなんて希望を抱かなくちゃいいのに。苦しみの中でもがいていればいいのに。今のわたしにはまだ、幸せになる勇気がない。

幸せになっていいんだよ、と自分自身を許してあげられたらどれだけいいだろう。不幸でいなくてもいいんだよ。その言葉をかけてあげられる日が訪れることはあるんだろうか。
苦しみにしがみつくのはもうやめたい。ねえ、わたし、幸せになってもいいのかな。

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