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Trip|フィンランドの風景と音 〈03.ヌークシオ国立公園〉

刻々と移り変わるフィンランドの季節と自然、街並み。このコラムでは、ヘルシンキ在住の音楽家・サウンドアーティストのSeiji Kokeguchiさんが、独自の感性で切り取った「風景と音」を通して、フィンランドの今をお届けします。

フィンランドの短い秋が終わりを迎えようとするこの時期、10月では貴重な快晴の日があったので、以前から興味がありつつ実際に訪れたことはなかったヌークシオ国立公園へ向かうことにしました。今回は、フィンランドらしさが詰まったヌークシオハイキングの様子をお届けします。


晩秋のヌークシオ国立公園

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ヌークシオ国立公園は、フィンランドに現在40個ある国立公園のうちの一つで、ヘルシンキのお隣の都市、エスポーにあります。ヘルシンキからのアクセスが良く、私の友人もよく訪れているようです。

ヌークシオには、距離や難易度別に八つのハイキングコースと、サイクリングコース、そしてホースライディングのコースまで用意されています。今回は初めてという事もあり、ハウッカランピというスタート地点から始まる、初心者に最適だという周回ルートを歩くことにしました。ハウッカランピに最寄りのバス停のハウッカランメンティエまでは、ヘルシンキから電車とバスを乗り継ぎ、所要時間は約1時間半でした。


スタート地点のハウッカランピへ向かう

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バス停に着いたら、まずはスタート地点のハウッカランピを目指し、2キロ程の舗装された道を歩いて進みます。この時点でもすでに自然に溢れていますが、車でハウッカランピを目指す人も多いのか車通りが激しく、少し緊張しながら車道の端を歩いて進みます。向かう人々の中には、大きなバックパックを背負った重装備の人もいましたが、私と同じ様に軽装な人も見かけて少し安心しました。


ハウッカランピに到着、コマドリの道へ

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30分ほど歩き、無事にスタート地点のハウッカランピに着きました。ここから始まるルートは、コマドリの道(Punarinnnankierros:2キロ)、鷹の道(Haukankierros:4キロ)、ワタリガラスの道(Korpinkierros:7.5キロ)の3種類があります。今回は、景色と音をゆっくり楽しみたいということもあり、一番距離が短く、難易度も低いとされているコマドリの道というコースを選びました。

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ルートを決めてしまえば、あとは木や看板に付いている赤いサインを目印に進んでいくだけです。

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いざハイキングルートに足を踏み入れると、途端に辺りが静かになり、風で揺られた木々からは綺麗な葉音が鮮明に聴こえてきます。スタート地点にたくさんいた人達も気が付いたら見当たらず、落ち葉をシャリシャリと踏みしめながら、気ままなペースで進んでいきます。

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木々の隙間から太陽が現れる度にとても眩しく、美しいです。ただ、この日の気温は約6度。さらに空気が澄んでいる分とても肌寒く、木陰に入ると手が悴んでしまいそうでした。

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ルスカ(紅葉)も終わりかけの時期で木の葉はもう落ちてしまったかな、と心配していましたが、さすがは国立公園、この時期でも様々な姿かたちの緑があり、まさにフィンランドという景色を楽しむ事ができました。

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このコマドリの道ルート、傾斜の少ない易しいルートということだったのですが、この様に意外に多くの傾斜があり、中には足場をしっかりと注視していないと転がり落ちてしまいそうなエリアもありました。


一つ目の湖、ヴァルクランピに到着

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30分ほど歩くと、ルートの中で出会える一つ目の湖、ヴァルクランピが見えてきました。穏やかな水面に太陽の光が燦々と降り注いでいて、本当に綺麗です。

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印象的な睡蓮の葉もとっても絶妙なバランスで浮かんでいて、まるで自然が作り出すアートのようです。

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しばらくヴァルクランピ沿いを歩き美しい景色を満喫した後は、再び森の小道へ。


二つ目の湖、「黒い池」ムスタランピ

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そのままさらに歩みを進めると、二つ目の湖、ムスタランピが見えてきました。ムスタランピとは、「黒い池」という意味。この日は空の青さを鏡のように綺麗に映していましたが、天気の悪い日や暗い時期は、おそらく吸い込まれるような黒になるのでしょう。

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このエリアは簡易的なキャンプサイトとなっていて、マッカラ(ソーセージ )を焼いている香ばしい匂いが漂っています。国立公園内は基本的には飲食店がないので、私は行き途中のエスポー駅で購入したサンドウィッチを食べました。次回は私もしっかりと食材を持参してバーベキューを楽しもうと決意しました。


さらに歩みを進める、絶景の連続

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キャンプサイトを後にして、さらに歩みを進めます。道中には、このようなさらなる絶景スポットにたくさん出会いました。

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ここは、難易度の高い別ルートとの分岐点のようです。いきなり急勾配がそびえていて、その厳しさが伝わってきます。冬の時期には、雪の降り積もった道や凍った湖の上をスノーシューで進むことができるルートもあるそうです。きっと今回とはまた違う絶景が広がっていることを想像して、次回はしっかりと装備を整えて、別のコースにも挑戦してみたいと思いました。

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しばらく進むと、小川のせせらぎが聞こえてきました。きっと先程のムスタランピから流れてきているのだと思います。その柔らかくて繊細な音がとても心地良くて、自然と足を止めてそのリズムや音色に耳を傾けます。水流が作り出しては消える気泡にもとても癒されます。


あっという間にゴール地点へ

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川沿いを歩いていたら、スタート地点であるハウッカランピに戻って来ました。スタートしてからの所要時間は約1時間半です。

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自然豊かなフィンランドの恩恵をあらためて感じた今回のハイキング。大学で過ごす時間が多い最近の私にとって、本当に良いリフレッシュになりました。道中にはたくさんの絶景があり、思わずシャッターを切る手が止まらないことも。美しい自然の音を聴くことで、たくさんのインスピレーションが得られました。みなさまにもこのコラムを通して、ヌークシオ国立公園の音と風景を楽しんで頂けたら幸いです。


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https://www.seijikokeguchi.com/
Youtube:Seiji Kokeguchi
Instagram:@seeeeeiji




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