Recipe|ハーブで美味しい北欧料理 〈10. バニラが香るティーケリカック〉
フィンランド好きの我が家には、ハーブや香りの良い花木を中心に50種類の植物があります。この原稿を書いている2月中旬はまだ、コートなしでは出歩けない気温ですが、少しずつ花芽が膨らむのを見ると、春がすぐそこまで近づいていることを感じます。
そして、花屋さんの店頭に明るい黄色のミモザが飾られる今の時期。小さくてふわふわのミモザの花を見ると、一気に春気分も盛り上がります。3月8日の「ミモザの日」はイタリアが発祥ですが、ここ数年は日本でも、ミモザの花やミモザモチーフの服や小物などを目にすることが増えてきましたね。
フィンランドでもミモザは人気です。南部のヘルシンキでさえ、3月の平均気温がマイナス3℃〜4℃というフィンランドでは、残念ながらミモザが戸外で咲くことはありません。その代わり、お花屋さんに入荷したミモザが人々に春を届けます。ミモザの可憐で明るい黄色を通して、春のあたたかな陽射しを感じる気持ちは、イタリアも日本もフィンランドも、きっと共通ですね。
ぜひ春の陽射しを感じながら、味わってほしいのが本日ご紹介するケーキ。2色の生地をマーブル模様に焼いたケーキで、フィンランドでは「tiikerikakku(ティーケリカック *tiikeriは虎、kakkuはケーキの意味)」と呼ばれます。マーブルを虎模様に見立てるなんて、なんだかかわいいですね。ティーケリカックは、ふだん日本で口にするケーキよりもバターが多めでとても豊かな味わいです。フィンランドの家庭でよく焼かれているお菓子なので、ぜひ手作りにチャレンジしてみませんか。
日本では小麦粉に含まれるタンパク質(グルテン)の量によって薄力粉、強力粉などの分類がありますが、フィンランドで店頭に並ぶのは実は全て強力粉。また、お菓子にバニラの風味をつける時はバニラシュガーを用いることが多いですが、日本ではあまり一般的ではありません。そんなフィンランドと日本の食材事情を踏まえて、日本でも作りやすい材料と分量にアレンジしたレシピを作りました。
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●バニラが香るティーケリカック
【作り方】
1: 卵とバターは室温に戻しておく。薄力粉とアーモンドパウダー、ベーキングパウダーを合わせ、ふるっておく。
2:
バターをハンドミキサーで白っぽくなるまでよく混ぜる。グラニュー糖を3回に分けて加え、さらによく混ぜたら、塩をひとつまみ加える。
3:
卵液を加える。一気に加えると分離してしまうので、4~5回に分けて加え、都度よく混ぜる。分離してしまった場合は、ふるっておいた粉を少量加えながら混ぜていく。(下は卵を全て加えた状態)
4:ふるっておいた粉とバニラオイルを加え、ヘラで切るように混ぜる。練ると生地が固くなるので、ヘラで下の方の生地をすくって真ん中に落とすようなイメージ。粉が見えなくなり、表面にツヤがでたらOK。
5:
ココアパウダーにぬるま湯を加え溶かす。そこに生地の1/3を加えてココア生地を作る。元の生地の表面を軽く平らにしたら、その上にココア生地をのせてざっくりと3回切るように混ぜ、マーブル生地にする。(混ぜすぎないよう注意)
6:
離型用オイルスプレーを吹き付けた型に生地を入れる。型をトントンと作業台の上に打ち付けて、空気を抜いて表面を平らにしたら、180度に予熱したオーブンで35分程度焼く。
7:
型から外し粗熱がとれたら、レモンタイムを添えて召し上がれ。フィンランドの春の雪をイメージして、お好みで粉砂糖(分量外)を振りかけても。
レモンタイムは、タイムの爽やかさと、ほんのり香る柑橘の風味が魅力のハーブです。見た目も可愛らしく、焼き菓子に添えると、彩りと香りのアクセントになります。ティーケリカックは作りたてよりも、翌日~3日目くらいがしっとりとして美味しいです。焼き立てを一気に食べてしまいたくなるのを我慢して、ゆっくりのんびり数日にわけて楽しんでくださいね。
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