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深読み

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少し考えた時の記録です。回顧、反省なども。 他には、クリヤヨーガやヴェーダに関する書籍の読書記録も。
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#村上春樹

深読み:井戸の底

深読み:井戸の底

前にも漠然と書いたかもしれませんが、ドラマ「シャーロック」と村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」は深いところで共通点があるように思います。
「シャーロック」ではシャーロック・ホームズ自身が過去の記憶に蓋をしてしまっていた事件「赤ひげ」を自分自身で解決することが最終的な仕事です。少々、荒治療ではありますが。幼き頃の友人「赤ひげ」少年を失ったことと、現在の相棒ワトソンが重なり合います。水の入った井戸の底

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深読み:音と耳

深読み:音と耳

アルジュナの第二の通過儀礼(イニシエーション)では、音と姿が深く関係しています。二度目の放浪の旅の途中、ユディシュティラは、インドラ神のもとで武器を獲得するように命じました。ヒマラヤの森の中に入った際に、アルジュナは、まず法螺貝と太鼓の音が天空に鳴り響きにより、神の存在を悟ります。その森で苦行を続けるアルジュナは、キラータの姿をしたシヴァを見ました。

ある研究者によれば、神々の出現と音との関

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深読み:空井戸と地下道

深読み:空井戸と地下道

村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」で、主人公24歳の青年トオルが、水の涸れた井戸を降りていくシーンがあります。トオルは深い井戸の底の暗闇の中で、突然失踪した妻のクミコとの出会いから結婚までのいきさつ、クミコが堕胎したときの奇妙な体験などを振り返ります。井戸の底では、記憶がこれまでにない力で様々なイメージを呼び起こしていきます。会社での些細なトラブルまで、まるでそれが今起こっていることであるかのよう

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