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短編 「輪廻転生」

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最近、スマートフォンの画面を眺める時間が
ずいぶんと増えた気がする。

ネットワークの向こう側にあらゆる情報があり
ぼくたちの意識はネット空間上にあって
今ではリモートワークなども導入され
もうこの世のリアルに依存することの方が
少なくなってきている。
それはぼくに限らず、だ。

そう。もう気づいてしまった人もいる。
この世界そのものが、システムを明らかにし、
その全容を見せつゝあることを。

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ぼくたちの"意識"の集合体は冥界__
いわゆるあの世にあると言う。

冥界ではあらゆる意識が共有化された世界
それは自立した意識がありつゝ
その他の意識とも連動している
まさにネットワーク空間の向こう側だ。

そしてこの世は
ネットワーク空間におけるフィールドのようで
或いは何者かによって作られた
世界なのであろうかと考えられる。

つまり今ぼくたちが存在していると言う
現代社会のメタファーとは?

冥界から見れば__
喩えて言うならば、ネットワーク空間にある
"バグ"のようなものなのだ。

そのバグの世界線にいる間は
意識の集合体から孤立することが出来るのだ。
それはまるで
ゲームをプレイしているかのように。

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意識の集合体の中では
ゲームの順番が決まっているらしい。

「次はあなたの番です。」
と意識の集合体は語りかけてくる。

どうやらゲームは断ることが出来ない。
古いデータを更新し、アップデートをしても
冥界にもサーバーの容量があるらしく
不要なストレージは消去しメモリーを整理する
といった具合の暗黙のルールがあるらしい。

ぼくは意識の集合体の言われるがまゝに
バグと思しき空間の割れ目に意識を投じる。

暗い産道のようなトンネルをくぐり抜ける。
ぼくの意識から今までの記憶は漂白される。

魂のロンダリング
新たな世界線へと堕ちてゆく__

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※この物語はフィクションです。
 (そうでないかも知れない…。)

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