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エッセイ「ふたり咲き」〜#推し短歌


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祝して

ふたり咲き 想い想われ 根を張らむ
底に流るゝ 優しさの露




娘の彼氏が
プロポーズのあいさつに来ると云うのです。

妻からは常々
「娘のことを本当に幸せに出来るのか?
威厳を持って確認すべし。」と
リクエストされており
どのように対応するのか頭を巡らせる日々が
ここ数日続いていました。


小生の母親のエピソードですが、
結婚のあいさつに来た妹の彼氏を
無下にも一蹴していたのを記憶しています。

昭和時代の流儀とは?

男子たる者__
拒絶される精神的ダメージの試練を乗り越え
それでもなおかつ食い下がるくらいの
気概や気魄を示せないことでは
長い結婚生活を全うすることは出来ないぞと
超絶スパルタな対応に翻弄されていたのです。

(ちなみに妹夫婦は無事に結婚しました。)

小生が若かりし時も
妻のご両親にあいさつする時は
物凄く緊張したのを憶えています。

ガチガチに緊張した小生に
今は亡き義理のお父様が
「まぁ堅いこと言わずに寿司でも食え。」と
胸襟を開いて話を聞き入って下さいました。
ホントに大人の余裕と言うものを感じました。


それから三十年余りが経って
あいさつを受ける立場となりました。

威厳や余裕のある応対の仕方
過去のエピソードなどを振り返りつゝ
実際に彼氏と会ってみて
自分なりの言葉を掛けたいなと思ってました。

そして__
ついにその日がやって来ました。

まずはお土産などを持って来てくれて
和やかにあいさつした後
小生の前にふたりならんで
しばらく無言の時間がありました。

「それで、今日来られた話とは?」
と問うてみると

娘の彼氏は緊張しながらも
しっかりとした物言いで
「今まで二年半お付き合いさせてもらって
(中略)
○○子さんと一緒に過ごしていきたいです。」

その言葉を聴いた瞬間です。

あろうことか__
込み上げてくる感情が解放されたかのように
感極まり涙がとめどなく溢れてしまいました。

嗚咽交じりで声を詰まらせながら
「うぐぐ…娘を幸せにしてやってくれ。
娘は君と出会えて…成長させてもらった。
出会ってくれてありがとう。(泣)」

これでは威厳も余裕もありませんね(笑)

小生が一番伝えたかったのは
胸の片隅には常にお互いを想う"優しさ"
を忘れないでほしい。

言葉を超えた"想い"は伝わったのかな?
と思います。






冒頭の短歌は
初秋の風に揺れる秋桜コスモス
その寄り添う姿が愛らしい。

しかし、この生きゆく世界には
晴れの日ばかりではなく風雨も吹く日もあり
時に崩れ落ちそうになるけれども
二人の恋人が互いに想いを寄せ合い
深く根を張っていく様子を描写しました。

「底に流れる露」は
二人の間に流れる優しさや愛情を表しました。


生涯忘れ得ぬ一日となりました。
長文お読みいただきありがとうございます。

秋桜コスモス

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