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  • 英語語源辞典通読ノート

    研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた面白いものを不定期にメモしていきます。

最近の記事

英語語源辞典通読ノート A (arm-artificial) #hel活

研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp65からp69まで。 arm¹, arm²KDEEではarm¹が「腕」、arm²が「武器、武装」の意味でそれぞれ立項されている。同音同綴異義語だが、語源的に無関係というわけではなくどちらも印欧語根 "*ar-"(合わせる)に由来している。 「腕」の"arm"は "*ar-" から "*armo-"(腕)に派生し、ゲルマン祖語 "*armaz" から古英語 "arm" に発達し、

    • 英語語源辞典通読ノート A (aptitude-argent) #hel活

      研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp60からp64まで。 aptitude, attitude"aptitude"「傾向、性向」 と "attitude" 「姿勢、態度」が二重語である。 中英語 "aptitude" は後期ラテン語 "aptitudō" からの借入語である。 一方の現代英語 "attitude" はフランス語 "attitude" からの借入語であり、さらにイタリア語 "attitudine"

      • 英語語源辞典通読ノート A (apperil-apron)

        研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp57からp59まで。 apperil「危険」という意味だが、この語はすでに廃語らしい。KDEEの語釈がちょっと冷たくて面白かった。この語の "a-" 接頭辞には意味がないらしい。 appleなぜこの語が「りんご」を意味するようになったのか語源ははっきりしないらしい。KDEEではイタリアの Campania 地方の街 Abella を "mālifera"(りんごを産する)と呼

        • 英語語源辞典通読ノート A (aphrodisiac-append)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp54からp56まで。 aphro-, aphrodisiac"aphro-" はあまり馴染みがないが、「泡」の意味を付与する接頭辞である。ドイツ語からの借入で、語源はギリシャ語 "aphrós"(foam)である。 この接頭辞と関係するのが "aphrodisiac"「催淫薬、性欲を促す」という単語である。ギリシャ語からの借用で、語源はギリシャ神話の女神 "Aphrodite"

        英語語源辞典通読ノート A (arm-artificial) #hel活

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        • 英語語源辞典通読ノート
          17本

        記事

          英語語源辞典通読ノート A (ante-ape)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp50からp53まで。 ante-, anti-接頭辞 "ante-" は、「(時間的に)前の」や「(空間的に)…の前にある」の意味を付与する。語源はラテン語 "ante" で、印欧語根の "*ant-" (front, forehead)に遡る。 似た接頭辞 "anti-" は、「反…、非…、…に反対の」といった意味を付与する。語源は古フランス語またはラテン語の接頭辞 "ant

          英語語源辞典通読ノート A (ante-ape)

          英語語源辞典通読ノート A (anniversary-antarctic)

          研究社『英語語源辞典』(KDEE)を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp48からp49まで。 anniversary意味は adj.「例年の」や n.「記念日」で、カタカナ語でもなじみがある。語源を遡ると、中英語 "anniversarie" がラテン語 "anniversārius" からの借入語である。この語は "annus" + "versus" + 形容詞化する "-ary" から成る。 "annus" は 英語 "annual" の語源で

          英語語源辞典通読ノート A (anniversary-antarctic)

          英語語源辞典通読ノート A (angle-animal)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp46からp47まで "an-"から始まる単語です。 angle『英語語源辞典』では「角度」の語義を "angle¹"、古い「釣針」の語義を"angle²"として立項されているが、語源的つながりの広がりがなかなか強い。 "angle²"(釣針)はゲルマン祖語 "*anʒulaz" から古英語 "angul" に発達しており、印欧語根 "*ank-"(曲げる)に由来する。つまり、釣針の曲がっ

          英語語源辞典通読ノート A (angle-animal)

          英語語源辞典通読ノート A (ana-andro)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp42からp45、"an-"から始まる単語です。 ana-"ana-" から始まる単語の多くがこの接頭辞を持っているが、とても同じ接頭辞とは思えない多義性がある。 意味に一貫性がないように思えるが、語源は印欧語根 "*an" (on, above) に由来するらしいから、本来的には1番目の意味を与えるのが主なんだろう。しかし実際にこの接頭辞から成る単語を並べてみてもそういう感じはしてこない

          英語語源辞典通読ノート A (ana-andro)

          英語語源辞典通読ノート A (alt-amuse)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp34からp41、"al-"から"am-"までの単語あたり。 alt, alto"alt" は音楽用語「アルトの」を指す形容詞。名詞「アルト、アルト歌手」は "alto" になる。イタリア語 "alto" (high)からの借入語で、ラテン語 "altum" に由来する。"altum" は「高い」という形容詞だが、原義は「栄養が与えられた」で、"alere"「栄養を与える」の過去分詞形である

          英語語源辞典通読ノート A (alt-amuse)

          英語語源辞典通読ノート A (alarm-alligator)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp27からp33までの単語あたり。 alarm, alertこの2つの単語はここまででは珍しくイタリア語からの借入語らしい。 "alarm" はもともと戦闘準備を呼びかける間投詞だった。中英語 "alarm" は古フランス語 "alarme" からの借入で、これはイタリア語 "all'arme!" からの借入である。 "all'" の部分は "to the" のような前置詞で、"arme"は

          英語語源辞典通読ノート A (alarm-alligator)

          英語語源辞典通読ノート A (age-aisle)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp23からp26までの単語あたり。 age「年齢」や「時代」という意味のとても基本的な語だが、中英語 "age" は古フランス語 "aäge" からの借入語である。本来語であった "eld" は駆逐されたらしい。"eld" が生き残ってくれていたら意味の近い "old", "adult" あたりと語源的につながって美しかったのだが、"eld" と "age" は印欧祖語のレベルでも関係がない

          英語語源辞典通読ノート A (age-aisle)

          英語語源辞典通読ノート A (advance-afraid)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp18からp22までの単語あたり。 advance「推進する」とか「前進する」という動詞。中英語までは "avaunce" というように "d" は入っていなかったが、"a-" 接頭辞がラテン語の "ad-" 由来だと誤解され、16世紀に "d" が挿入された形で一般化したとのこと。こういうのはよく出てくる。 また、語源を中英語から古フランス語、俗ラテン語、ラテン語まで遡ると、"abante

          英語語源辞典通読ノート A (advance-afraid)

          英語語源辞典通読ノート A (Adam-adult)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp13からp17までの単語あたり。 Adam人名の「アダム」。語源を遡るとヘブライ語 "Ādhám" が由来。語釈に小話として "Adam's apple" が「のどぼとけ」を意味する由来について書かれている。禁断の果実がリンゴであるのはラテン語において "malus" (evil) と "mālus" (apple) が同形であることから生まれた俗説だが、それに基づいてアダムがリンゴを喉に

          英語語源辞典通読ノート A (Adam-adult)

          英語語源辞典通読ノート A (accurate-act)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp10からp12までの単語あたり。前回に引き続きac-シリーズ。 accurate「的確な、正確な」という形容詞。語源はラテン語 "accūrāre" (to take care of) の過去分詞形 "accūrātus"。"accūrāre" は 接頭辞 "ac-" と "cūrāre" に分解され、"cūrāre" の元になった "cūra" は英語 "care" の語源である。 おそ

          英語語源辞典通読ノート A (accurate-act)

          英語語源辞典通読ノート A (ac-account)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp7からp9までの単語あたり。ac-シリーズがまだまだ長くて早くもひとつめの山場という感じがしている。 ac-接頭辞の"ac-"。立項されている語義は2つあり、ひとつは"ad-"接頭辞(移動、方向、変化、強意など)が、続く文字の影響で「同化」してしまったもの。"accept" や "acquire" など多くがこれに該当する。 もうひとつの語義は、本来 "a-"接頭辞であるべきところで「誤用

          英語語源辞典通読ノート A (ac-account)

          英語語源辞典通読ノート A (absolute-abuse)

          研究社『英語語源辞典』を通読しながら見つけた語源の面白いネタをメモしています。今回はp5からp7までのab-から始まる単語あたり。 absolute「絶対の、絶対的な」という意味でよく使う単語。中英語の"absolut"の元になったのはラテン語の"absolvere"の過去分詞形である"absolūtus"である。"absolvere"は「(義務などから)解除する、放免する」という意味の英語"absolve"の語源でもある。 ラテン語"absolvere"は"ab-"接頭辞

          英語語源辞典通読ノート A (absolute-abuse)