物語のトンネル問題の問題

最近、ツイッターで流れてきたブログに興味津々。
それがこれ。

どうやら結構、話題になっているようである。
しかしこれ、何というか……

語弊がありそうだなーと思ったので、僕なりに雑感を書いてみる。
ちなみにブログ主とはまったく関係ないのであしからず。
あくまで記事に対して思った「僕はこう考えるけどどーよ?」ってだけの話なので。

まず1つ目。
どうやらこの記事ではトンネルの定義が曖昧なようである。
僕なりに考えてみて、たぶん「トンネル」ってこういうことかなーと思った。
要するにトンネルは「物語」なのだ。
ブログ主も言っているようにトンネルを通った先を見てみたい、あるいはトンネルを通りながら一喜一憂したいというのであれば、それは多分「物語」と同義だろう。
ちなみにこの場合の物語は「アニメ」「漫画」「テレビドラマ」「映画」「小説」、何にでも当てはまると考える。
ごく一般的な意味での物語だ。
とすると……『物語の「トンネル」を通りたくない人は意外と多いかもしれない』というタイトルはどうもしっくりこない。
ブログ主もどこかで同じことを感じてはいるのか、最終的には奥さんの好みを、

「トンネル」が少ない(短い)、もしくは、ある程度「トンネル」の先の景色が保証された物語。

というように解釈している。
だからつまり、「長いトンネル」を通りたくない人はいるかもしれないが、「トンネル」を通りたくない人は決していないのだ。
少なくとも人生で一度も「物語」に触れないような現実的に不可能な想像上の人物でない限りは。
そんなわけで僕としてはトンネルは「物語」であるというのをひとまずの定義にしておきたい。

その上で、2つ目。
僕はトンネルを物語と定義したから、トンネルを通りたくない人はいない、という前提に立つ。
そこで思うのは、多分「トンネルの種類」は様々あるだろうな、ということ。
これはブログ主と同じで、「短いトンネル」もあれば「明るいトンネル」「暗いトンネル」「血と肉に彩られたトンネル」「ラブ甘い香りのするトンネル」など色々あると思う。
だからそこに優劣は付けられないし、もとい付けるつもりもない。
この点は多分、ブログ主と同じ気がする。

問題は3つ目である。
僕は引っ掛かってしまった。
この一文に。

私は、漫画や映画に限らず、「先の展開が予測できない」ことを好んで楽しむタイプだ。

うん、まあ、分かる。
けどそれは、僕からすれば「本当の予測不能」とは区別されるものだと思っている。
というかあり得ない、というのかな。
人は「トンネル=物語」を通る時になにかしらの期待を抱いていると思う。
そこには方向性がある。漠然とだけど。
あ、なんかスカッとしそうかも、とか。心が洗われるかも、とか。泣けるかも、とか。ゾクッとさせられそう、とか。
そういう意味で「先の展開が予測できないこと」を、彼は期待しているんだと思う。
ハリウッドでは「違うけど、同じものをくれ!」と脚本家に言うようだ(ブレイク・スナイダー著「SAVE THE CATS」より)
全ての視聴者、ユーザー、物語を享受する人は何かしら今まで見てきた中での期待を抱いている。
それは人生経験や、アニメ漫画を見てきた経験、友人の話などから導き出されているもので、はっきりとした言葉には出来ない(それを言葉にした上でコントロールするのが、名脚本家のスキルだったりするようだけど)。

まったく何の期待も抱いていないというのがあり得ないと言うのは、作品には全て「タイトル」があるからだ。
物語をトンネルと定義したから、この場合はタイトルは「看板・道路標識」になるのかもしれない。
トンネルを通る時、あと何キロで、どこへ向かっているのか、必ず道路標識があるだろう。
トンネルの中がどうなってるかは分からないかもしれないが、少なくともそこで「わずかな期待」は抱く。
だから「重いの嫌。気分が暗くなるの嫌。みんなハッピーエンドで結末が分かってて楽しいのが観たい」と「先の展開が予測できないものをくれ」は全く同じ種類の言葉なのだ
ただ、何となく後者のほうが「知的」に見えるし、前者は「軽く」見られがちである。
ブログ主もそのことは分かっているような気がするが、どことなく勘違いを生むようなニュアンスもありそうだったので、余計なことながら雑感を述べてきた。

ちなみに僕なりに定義していくと、

(現在地)今の自分の状態。何が好きか。何を見てきたか。
(看板・道路標識)○○へ行くんだな、という漠然とした期待
(トンネル)物語
(出口)期待通りだったかどうか

大体こんな感じで物語消費は進んじゃないだろうか。
なお、これに

(地図)予告編
(旅行雑誌)ネタバレ

などが含まれたりもしそうだけど、それは各々の好みということで。
(しかしこれ、トンネルじゃなくて旅行とかのほうがもっと分かりやすいのかな? いや、でも……物語を経るのはトンネルっぽいし……)


あ、言うに及ばすですが。
あくまで個人的な勝手な雑感なので、まったく何の根拠もない論なのはあしからず。
僕としてはむしろブログ主うらやましい…。
奥さんとそんな話ができるなんていいなー。

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京和みかん
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