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意味の次元とブッダの物語【新人読書日記/毎日20頁を】(11)
「人生の意味の心理学」201-220頁、読了です。
6章に入り、著者がこれまで検討してきた人生の意味に関する哲学・心理学理論と、実証研究の結果をベースにし、人生の意味のモデルを構築しています。様々な意味のキーワードと意味論が入れ子の形の図に分類され、とてもわかりやすいモデル図になっています。
既存の理論では、この入れ子の外側になればなるほど、つまり主観的な快楽から対人関係的な意味へ至るほど、そしてより社会的なものへの奉仕から宇宙的・霊的な意味に至るほど自己超越的であり、意味が深まるとされることが多い。
ここで、手塚治虫の漫画、手塚版の釈迦伝といわれる「ブッダ」を思い出しました。釈迦族の王族として生まれた釈迦は、29歳で王族の地位や世俗の全てを捨て、生命の意味を探究するために、修行に旅立ったのです。釈迦の人生の流れはまさにこのモデル図のように、内側から外側へ、すなわち家族、恋愛、成長などの具体的な追求から、宗教的・宇宙的なものへと人生の意味が変わります。
手塚治虫が「漫画の神様」と呼ばれる原因も、面白い漫画をたくさん描いただけではなく、彼の作品に含まれる宇宙的な意味や生命の本質への究極的な問い、人類社会の未来に対する深い懸念なのだと思います。私たちは常に無意識に意味の深い映画、漫画を求めているのではないでしょうか。それも心の奥で求めている人生の意味の示唆かもしれません。
🐈… ブッダの話に興味のある方に、こちらの本もおすすめですよ。
内容
インドで生まれた〈仏の物語〉は、ユーラシア大陸を横断し、北端と東端の地に辿り着くまでにさまざまな変容を遂げる。モンゴルの『仏の12の行い』と日本の『今昔物語集』を題材に、サンスクリット語、チベット語、漢語、日本語のさまざまな一次史料を駆使しながら解明する。
著者プロフィール
山口 周子(やまぐち なりこ)
(公益財団法人)中村元東方研究所研究員,東方学院講師。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。京都大学博士(文学)。
研究分野はモンゴル仏教(仏教説話,仏伝文学)。
主な業績
‘On the Praise of the 21 Tārās in the Arjai Cave Temple’(『印度學佛教學研究』58-3,2010年),「Lalitavistaraモンゴル語テキストに見られる人名および尊格名称の「サンスクリット化」について」(共著,『人文知の新たな総合に向けて』京都大学大学院文学研究科21世紀COEプログラム第5回報告書,下,2007年),「「雲馬王譚」の変容―Jātakaから『今昔物語集』まで―」(『佛教史學研究』54-2, 2012年)など。
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