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平安男子とお近づきになりたいと思ったら?

おもしろくて、スルっと読める一冊。

『平安男子の元気な!生活』   川村裕子

岩波ジュニア新書だけれど、中・高校生をターゲットに書かれているので、わかりやすい。そして、難しい語句も図や絵とともに、話しかけるような書き方なので、理解もはやい。

たとえ、中・高校生がメイン読者層であっても、「大人が読んではダメ」ではない。(もちろん!)難しい内容が理解でき、知らなかったことが新しい知識としてプラス。大人にも、ありがたい一冊だと思う。

本の中で紹介されている平安男子・藤原行成ふじわらのゆきなりくん。平安男子には、「くん」付けされているところが、これまた親近感。

当時の一般的な平安貴族男子のイメージを、第1章は、行成くんを例に書かれている。例えば、超朝型の平安男子が、女房達に手伝ってもらって「束帯」そくたいの完全正装で出勤。それに、帽子「冠」をかぶり、細長い板の「笏」しゃくも持つ。この頃、いろいろなセレモニーが多かったので、そこでの失敗を防ぐために、笏の後ろに注意事項を書いた紙を貼りつけたらしい。カンニングペーパー利用だなんて、今も昔も考えることは同じだな。

そして、他の登場人物も興味深い。平安時代一番成功した有名男子・藤原道長。この道長さまの奥さん源倫子みなもとのりんしさん。この倫子さん、90歳まで生き、6人の子どもを出産。(なんと44歳で最後の女子出産!)平安の世に90歳まで生きるなんて、すごいの一言。その子どもたちのうち、80歳以上生きた人も3人。加えて、3人の娘もトップレベルの「中宮」となり、帝に嫁ぐという快挙。

いつの世にも、スーパーマン・スーパーウーマンの存在は絶大。

実は以前、同じ筆者でこちらの本も読んだことがある。

こちらも目からウロコの連続で、おもしろかった。一生懸命、人間らしく生きていた平安女子。

今回、平安男子の想いや、生活ぶりに思いをはせることができ、上の「平安女子」編と合わせて、私の心は、あっという間に平安時代へ。この本を読むまで、平安男子は、優雅でのんびり過ごしているとばかり思っていた私。

「平安男子の皆さま、毎日、本当にお疲れさま。そして、ありがとう。」

と、思わず声をかけたくなった。









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