「 ここから広がれ!! 」

酷い言葉、悪い流れ、良くない空気、暗い雰囲気、、、
そういうものは自分の番でなるたけ終わりにしてしまいたいと、そう思う。

読んでいる本にこんな一説があった。
「こちらが、腹をたてなければ、こちらの方が強いと相手にわかるんだ。
それはこちらには、怒りを抑えるだけの強さがあるのに、向こうにはそれがないということだからだわ。
すると、そういう人たちはくだらないことを口走って、そのあとで言わなければよかったと後悔するんだわ。
怒りは強いものだけど、その怒りを抑えることができる方が、もっと強いんだわ。」

言い返さないこと、口を紡ぐこと、反論しないことは、自分が思っている以上に大きな力を秘めていることに気づかされた。
「伝えない」ことで、全ての解釈を他者に委ねることになる。
ひどい言葉も、重い空気も、悪い流れも、受け取らないことで、その持ち主は相手になる。


ただただ受け止めているようにも感じるし、
まるっと手放して拒否しているようにも感じる。


自分の中でとどめること、自分の心におさめるということ。
そのあと、自分の中で、上手に、静かに、密やかに、処理することを忘れなければ、私というここからほんの小さな「平和」をつくることができるのではないだろうか。

一旦言い返すことをやめてみる。
同情をせずに、肯定も否定もしないでみる。
グンとハンドルを回してまるっと話題を変えてみる。


冷静に考えると、なんてことないような気もするけど、実際そういう場に身を置くと難しい判断だったりする。
気を抜くとあっという間にそこにある空気や流れにがぶりと飲み込まれてしまう。マイナスな空気や流れは強い。あっという間に足元をすくわれる。

グンと踏ん張って立ち続けられる強さと、
こっちの方が素敵じゃない?といえる強さを。

できるのであれば、自分を一つの区切りとして、流れや空気を「私」というポイントで変えられる人でありたいと思う。そう願う。
ここで断ち切る。
ここでおしまい。

そしてここから、清らかで、明るくて、元気で、瑞々しく、楽しい前向きなものに。

またここからはじめていきたいと思う。



不純なものを静かに取り除いて、美しく澄んだ水を生む、ろ過装置のような、そんな人でなるべくありたいと願う。

そのためには、何が必要であろうか。
全てをまずは受け入れられること。大きな器。
咄嗟に純・不純を分けることのできる判断力。正しい知識。
残った汚れを昇華できるように、自分の面倒をしっかりみてあげられること。
自分の汚れも、しっかり取り除くことのできる俯瞰した目。
頭ごなしの否定ではなく、「不純」を「純」として見られるような広い視野。私にとって、多数派にとっての「不純」も見方を変えれば「純」であることは大いにあり得るから。

「言葉はあなた以上にあなただから、あなたのようなふりをして残り、伝わっていくから言葉を上手に使うのよ」

どんなに強く強く「思って」いたとしても、それを言葉にしない限り、その思いは自分の中でとどまり、周りに広がっていくことはない。

イライラや怒りや悲しみそういう思いも「言葉」にしなければ広がることはないということ。

だからこそ、逆に大切な思いは一生懸命「言葉」に託して届けていかなくてはいけないと思う。「察してほしい」なんて馬鹿げている願いであり、通じ合えているなんていうのは、大きな大きな中のほんの小さな断片の微かな重なりにすぎないのだと思っている。

伝えるか伝えないか。広げるか広げないか。
どうやって伝えるか。どうやって広げるか。
なるべく自分の軸にずれることなく、己の意志で選択できる人でありたい。

それでも、どんなに言葉を尽くしても、「言葉」は完全に「思い」を背負うことはできなくて、多くを取りこぼしながら他者に届いていく。意図せず想像もできないように広がっていく。

そう考えると、なんとも孤独で心細く感じる。それでもやっぱり、どうにか繋がっていたくて重なりがほしくて、わかってほしくて、このほとばしる「思い」をなるべく正確に届けたくて言葉を必死に紡いでいくのだ。

とはいっても、そんなこと意識せず、無意識に、沢山の言葉を発して、ぶつけて生きているんだと思う。

私の発するあらゆる言葉から色々な波が広がっているのだろう。


すべての言葉が私の分身だとするとなんとも恐ろしことだ。ゾッとしてしまう。
私が私と受け止めている「自分」と他者が私と受け止めてくれている「自分」は想像するまでもなく大きくずれていて、まるで違う人間のように存在しているように思えてしまう。

考え出すと途方もなくて、なんだか全部わからなくなってしまうけど。
自分の心と、身を置く環境は、自分の力で清らかに、明るくできたらと。なるべくなるべく。できることから。

ここから広がれ!

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